腸炎騒動からもう半月?
かかりつけ医で整腸剤など処方されてから程なくして、トイレに走ることは無くなった。整腸剤のせいで下痢から便秘気味に移行してきたようで、それはそれで不安だった。
先週の点滴の日、血液内科の主治医に、整腸剤は処方された分を飲み切った方がいいのか訊いてみたら、「どちらでもいいですよ。整腸剤ってヤクルトみたいなものだから」というお答え。
〈ヤクルトならいらんわ〉とあっさり止めたら、腸は以前の調子に戻った。それに、腸内環境が変化したようで、以前よりも快調になったような気がする。
思うに、腸炎の原因として考えられたのは :
① たいして動きもしていないのに、普通の量の食事をしていたこと
② ワインを炭酸水で割ってがぶ飲みしていたこと
③ 一晩中、エアコンを点けて眠っていたこと
④ その他、諸々の頭の痛い問題によるストレス
要するに、食生活の不摂生と冷えとストレスによるものなのだが、連日の暑さが大いに影響していたと思う。
いつも拝読しているブログのブロガーさんたちが次々とコロナに感染されたことを報告されていて、症状の軽重はあるものの、熱やのどの痛みや咳でとても読書どころではなさそうな状態だったようだ。
その点、私は熱も無く、ただ頻繁にトイレに走るだけで、他の症状が無かった。
三食を食べないということは、すごく時間があるということ。食事の用意や食べる時間、そして片付ける時間、それらに全く時間が盗られないということで、私には絶好の読書タイムとなった。
そこで選んだのがこの本
新聞広告に出たときに、そのタイトルに惹かれていたのだが、読み始めてほったらかしている本が数冊あったため、〈またの機会に〉と一旦購入を延ばすことにしていた。
そしたら、拝読しているブログの記事にこの本のことが!
ブログを拝見してからすぐにAmazonで購入。他の読みかけの本を差し置いて読み始めた。意外に分厚い本で、〈時間がかかりそうだ〉と感じていたのだが、最近の私の基準から言うとかなりの速さで読了した。
ブロガーさんの記事はこの小説の核となる部分を書かれており、私自身に当てはまりそうな気がして、だからこそ早く読みたいと思ったのだった。
読後、自分の言葉で感想を書くにはあまりにも茫漠としていて言葉にならない。帯の惹句に「人生で一番刺さった小説」とあったが、≪刺さった≫という言葉は読書中の私が感じたピッタリの表現だった。
巻末の朝井リョウ氏が書いた解説の中から抜粋した:
ジャンル分けするなら本作は、やはり"婚活"小説、"恋愛”小説となるのだろうが、私たち読者はいつしか、二人の婚活や恋愛の行く末と同等に、いやそれ以上に、自己の内面を見つめさせられる。自分の中にある無自覚の傲慢さを探られる。
…本作で著者は、登場人物がある一つの言動に至るまでの心理をひたすら細かく分解する。普遍性が宿るまで、人間心理の分解を止めないのである。…この「もうそんなことまで書いちゃわなくていいから!」といったん休憩したくなるような解像度の高い描写…
これがこの本の(500ページ近い)長さの所以であったのだ。辟易しそうだったが、そこからあぶりだされるものを見過ごさないように、飛ばし読みはできなかった。
思いがけない人間心理のカラクリに気づかないままこれまで過ごして来た。これからも気づかないまま生きていくのだろう。そうして私はコーマンにゼンリョーのヒトを演じていくのだろうと思う。
考えさせられたものの、考えられないまま≪刺さった≫心が疼いていた。
それとこの本。スーパーのレジ横に陳列されていて、【受賞作全文掲載】とあったので手に取った。
『ハンチバック』という作品が芥川賞を受賞したことは知っていた。作者は重度の障害を持っている人と言うことも新聞で読んだ。しかし作品の内容についてはほぼ何も知らないまま読み始めた。
作品の冒頭のネット記事には驚いた。のっけから知らない言葉のオンパレード。初めて見る単語を調べながら読み進めるも、その意味するところに驚きながら、衝撃的なストーリーを追っていた。
そこでふと、芥川賞はどんな作品に授与されるのだろうか?という疑問が湧いた。改めて芥川賞と直木賞、そして純文学について調べてみた。
芥川賞は、雑誌(同人雑誌を含む)に発表された、新進作家による純文学の中・短編作品のなかから選ばれます。 直木賞は、新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)が対象です。
では、純文学とは何ぞや? : 大衆小説に対して「娯楽性」よりも「芸術性」に重きを置いている小説を総称する。日本文学における用語。 (Wikiより)
芸術性かぁ…。芸術全般を解しない、または味わうことを知らない私には、所詮理解をするのは無理な話だろう。
これまで、いわゆる純文学も読んできたが、今更ながらその≪ゲージュツ≫を知らずにエンターテインメントとしての読書に終始してきたように思う。
『ハンチバック』は、ただただ驚いて、ひたすら字面を追っていただけの読み方だったので、もう一度じっくりと読んでみたいと思っている。
…こちらは紙の本を読むたび少しずつ背骨が潰れていく気がするというのに、紙の匂いが好き、などと宣い電子書籍を貶める健常者は呑気でいい。・・・(『ハンチバック』本文より)
紙の本にこだわることに気が咎めた。