この日は転院してから2回目の点滴の日。
14時の予約だが、1時間前には採血を済まさなければならない。混雑の具合がわからないので、12時前に出発した。
家の駐車場から病院の駐車場までちょうど15分。隣県の大学病院まで40分かかっていたことを思うと、とても近い!
採血・採尿はたいして待つことなく済ませられた。免疫血液内科の受付を済ませたらあとは診察を待合室で待つだけなのだが、診察予約の時間まで1時間以上ある。
地下の食堂が営業していたのでお昼を済ませることにした。チャーハンとミニサラダ。レトルトか何かわからないが意外に美味しかった。サラダはドレッシングがたっぷり過ぎて…。
ガラガラに空いた食堂ではあったが、本を読んで時間を過ごすという雰囲気でもないので、待合室へ移動した。
診察順を示すパネルに時々目をやりながら本を読み始めた。診察室に居る患者さんの番号と次の患者さんの番号が表示される。私の番号に近い番号が出ると、「もうすぐかなぁ」と本を片付けて待機する。
私より後の受付番号の人が次々と先に診察室へ入る。私の受付番号が若いのは必要以上に早く来ていたから当然だ。予約時間が優先される。
採血・採尿はあまり待たなくても良さそうなので、これから家を出るのはもっと遅くてもいいようだ。
パネルを気にしているとなかなか本に集中することができない。それに通路を隔てて隣に座っていた若い女性がスマホを見ながら、組んだ足の上の足をブラブラブラブラ揺らせるものだからイライラした。貧乏ゆすりなのか、音はしなくても動きが視界に入るのではた迷惑な行為だ。
斜め前の席に私より年配の男性が座った。近づいてくるときに気付いたのはベストの左わきの白いラベル。何で表に?と思っていた。座った後姿を見ると、背中にブランド名が書かれていて下には小さな【M】。
〈このおじいさん、裏表(うらおもて)着てはるわ〉と思って、声をかけたものかどうか迷っていた。〈小さな親切大きなお世話かも…やめとこう〉と無視していたら、席から立ち去ってしまった。
しばらくしたら戻ってきて同じ席に座ったので、〈やっぱり言ってあげよう〉と声をかけた。本人は「うわっホンマや!おおきに、おおきに」とすぐに着替えて、喜んでくれてホッとした。
なかなか本に集中できないので、ついつい人間観察をしてしまう。診察中の人が居る診察室を勝手に開けて入って行く人や、周囲を気にせず座席を陣取る人…すべて年配の女性だった。
結局呼ばれたのは、待合室で待ち始めてから2時間近く経った頃。ほぼ本は読めないままだった。
以前の大学病院では早く到着した時など案外臨機応変に対応してくれたので、予約時間より1時間も早く点滴を開始してもらったこともあった。
診察の際、まずはコロナワクチンを接種してもいいのかどうかを尋ねたら、「受けておいた方がいい」との答えだった。
そして、一回目点滴後の不調や変化などを伝えたが、思った通り、「気のせいでしょう」的な反応だった。それでも10年間で100回以上受けてきた点滴薬(先発薬)に戻して欲しいことを訴えた。
「先発薬でも毎回処方が違うんですよ…」とか、あくまで後発薬を押し付けたい様子だった。その日はまだ後発薬しか手配が出来ないということだった。次回はどうだろうか?
この先生とラポール(相互に信頼している状態)を築くのは難しそうな気がする。
診察後、点滴室へ移動してからも薬が調剤されるまでずいぶん待った。点滴を終えて会計を済ませたのは4時55分。駐車料の障害者割引をしてくれる警備員が引き上げる寸前だった。
〈日赤病院に転院したのは間違いだったかなぁ〉と思いながら帰途に着いた。ただ看護師さんは皆さん愛想が良くて、感じのいい人が多い。それは今の所、この病院の唯一の長所。
大学病院ではこれほど疲れることは無かった。10年の習慣からの変化はまだ始まったばかり。