[春画先生] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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塩田明彦監督・原作・脚本。芦澤明子撮影。ゲイリー芦尾音楽。23年、パピネットファントム・スタジオ配給。

DVDにて鑑賞。23年度キネマ旬報日本映画第10位。これが思ったより面白い!

塩田明彦監督というと売れるきっかけになった[月光の囁き][カナリア][さよならくちびる]等、異能な愛の世界を撮ってるイメージがある監督だが、本作は春画、江戸文化の裏世界を題材に描き官能コメディだ。

平凡な毎日を送る春野弓子(北香那)は、偶然目にした春画に心奪われる。その時出会った「春画先生」こと芳賀一郎(内野聖陽)に誘われ、彼のもとに通うようになった弓子は、一人で研究に没頭する芳賀から春画の奥深さを学び始める。やがて図々しく彼の家に出入りする編集者の辻村俊介(柄本佑)と怪しい関係になるがそれは妻を失った先生に原稿を書かせる手段であった。ある日その妻の姉藤村一葉(安達祐実)が現れ…。

ヒロイン弓子を演じた北香那というと、大河ドラマのファンの方でれば[鎌倉殿の十三人][どうする家康]に2年連続で出演したので記憶にあると思うのだが、清楚なイメージの彼女が喫茶店で春画先生に出会い、惹かれてやがてのめり込む役を大胆にヌードまで披露しての熱演。主演女優賞モノの好演だったと思う。

一方。春画先生役の内野聖陽もイメージをかなぐり捨て、後半の乱れっぷりには恐れ入る。柄本佑は相変わらずこの手のエロス映画は得意なのか実に上手いし、安達祐実もよくこの役をやったなという役所。映画後半でそれぞれの性の秘密何明らかになる塩田流の脚本が秀逸。本作のようなエロスを絡めた人間ドラマはキネマ旬報の評論家たちには昔から人気で
ベストテン入りは納得がいく。

若干エロ表現があるが、それを気になさらない方にはお勧め。春画をモチーフに後半、性癖を題材に人間を描き出す塩田監督らしい秀作だ。