[さらば愛しき女よ] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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ディック・リチャーズ監督。デイヴィッド・ゼラク・グッドマン脚本。レイモンド・チャンドラー原作。ジョン・A・アロンゾ撮影。デヴィット・シャイア音楽。75年、アメリカ映画。

スカパー、ザ・シネマの録画にて再観。レイモンド・チャンドラーの人気ハードボイルド小説の映画化。本作が公開されるまで、チャンドラー作品に登場する探偵フィリップ・マーロウはハワード・ホークス監督のハンフリー・ボガードのイメージで読んでいたが、そこまで強くない味のあるマーロウを演じたロバート・ミッチャムのイメージで読むようになった。 
 家出娘を連れ戻したマーロウを大鹿マロイ(ジャック・オハローラン)が訪ね、銀行から8万ドルを盗み、刑務所に入っている間にかつての情婦ベルマを探して欲しいという依頼を受ける。ベルマのかつて働いていたナイトクラブに近づき、バンドマンから偽の写真を渡される。また紹介したジェシー(シルヴィア・マイルズ)から情報を得る。一方、別の依頼で盗まれた翡翠の受け渡しに立ち会ったマーロウは何者かに襲われ、コレクターグレイル議員の妻ヘレン(シャーロット・ランプリング)に出会い、その魅力に惹かれていくが…。
   マーロウの身に起きた二つの事件がやがて、繋がっていき、事件の裏の黒幕がわかってくる。監督のディック・リチャーズは写真家出身の監督でクールな視点で物語を見つめ、グッドマンの脚本は原作の文体を何とか映像に生かそうとマーロウの独白による作品世界を構築している。時代を再現する美術、ムードたっぷりのシャイアの音楽も作品にマッチしていた。何より、作品のキーポイントであるヘレン役のシャーロット・ランプリングの妖艶な美しさに引き込まれる作品でもある。ミッチャムは[大いなる別れ]でもマーロウを演じて、ハマり役になっていった。
 探偵映画の秀作の一本。