[空軍大戦略] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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ガイ・ハミルトン監督。ジェームズ・ケナウェイ、ウィルフレッド・グレートレックス脚本。フレディ・ヤング撮影。ロン・グッドウィン、ウィリアム・ウォルトン音楽。69年、英・西独・米合作。

スカパー、ザ・シネマの録画にて再観。第二次世界大戦前期1940年7月から10月、英本土上空の制空権争い[バトル・オブ・ブリテン]を描いた戦争映画。
 前回観た時の方が面白く感じた。特定の主人公を置かず、英独の双方から戦況を時系列に描き、視線も指揮官、指導者から一飛行士や女性隊員まだ様々な立場から描いている。
本物の英戦闘機スピットファイアやハリケーン、ドイツ側も本当を使って撮影されているあたりが実にリアルではあるのだ。
 今回感じたことは人間ドラマの薄さ。空中戦のドッグファイトをリアルに再現することに主眼を起きすぎている。英国側のダウディング大将(ローレンス・オリビエ)はフランスからの撤退とチャーチルの宣言による[バトル・オブ・ブリテン]の準備を指示する。ファンリヒター男爵(クルト・ユルゲンス)はイギリスケリー大使(ラルフ・リチャードソン)を恫喝するが、取り合わず、両軍は戦闘大勢に入る。
 キャンフィールド少佐(マイケル・ケイン)、スキッパー少佐(ロバート・ショウ)など戦闘機のパイロット達が描かれるが、印象に残るのはコリン・ハーヴェイ少佐(クリストファー・プラマー)は妻であるマギー・ハーヴェイ(スザンナ・ヨーク)に転属願いを提出するように説得するが…。
 イギリスは側は英語、ドイツ側はドイツ語で字幕で表現され、大変リアルな作りなのだが、ロンドン、ベルリンそれぞれの空襲を挟み込み、ヒトラーが激怒して指示する様子まで挿入され、戦時下の市民の狼狽ぶりも描きこんでいる。
 群像劇は難しく、もう少し登場人物にドラマを描かないと観る側に何を伝えるのかを明確にならずと緊迫感が伝わりづらいのだ。戦闘場面の特撮、ミニチュア・ワークも良いだけに勿体ない作品ではある。