[男と女] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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クロード・ルルーシュ監督・脚本・製作・撮影。ピエール・ユイッテルへーベン脚本。パトリス・プージェ撮影。フランシス・レイ、バーデン・パウエル音楽。66年、フランス映画。

スカパー、ムービープラスの録画にて再観。
追悼、アヌーク・エーメ。本当は[モンパルナスの灯]にしたかったのだが、見つからず。彼女の代表作でもあり、クロード・ルルーシュの名前を売り出した名作を観直してみた。
第19回カンヌ国際映画祭グランプリ、アカデミー外国語映画賞受賞作品。

 かつてロベルト・ロッセリーニ監督が[イタリア旅行]を撮影した際に、[男と女がいて車があれば映画は撮れる]と語ったが、本作はそれをまさに地で行った映画だ。
 設定としてはカーレーサーで妻を自分の自己の際に亡くしたジャン=ルイ・デュリック(ジャン=ルイ・トランティニアン)が息子アントワーヌ(アントワーヌ・シレ)を日曜に寄宿学校に迎えに行くと、娘フランソワーズ(スアド・アミドゥ)を迎えに来たアンヌ(アヌーク・エーメ)を送るところから始まる。
 ルルーシュはカラーとモノクローム、音楽を巧みに使い分けながら、男と女の微妙な心理の変化を表現していく。霧に煙るドービル。男女それぞれの情景をカラーで撮っておきながら、終電に乗り遅れたアンヌを愛車ムスタングでパリに送るところから映像はモノクロームになる。ジャン=ルイはアンヌに仕事と夫について聞く、彼女は徐々に夫ピエールのことを語る。彼は映画のスタントをしており、彼女は映画の記録等の仕事をしていることを語るのだが、ここはカラーになり彼女と元夫の愛の日々が語られるが、別れ際、彼女は夫は死んだことを告げ、妻のことを聞かれたジャン=ルイは何も答えず、次の日曜日もドービルまで送ると誘う。彼女は少し警戒気味に前日に電話をくれるよう番号を教える。
 約束通り、モンテカルロ・ラリーの準備の合間にアンヌに電話したジャン=ルイは大雨の中、彼女を乗せてドービルに向かう。それぞれの子供達と出会い食事するところから、またモノクロームになり、よく注目して頂きたいのはジャン=ルイの手の動き、アンヌの手を握ろうとして躊躇う。カラーななり船に子供達を乗せる。そこでも同じ手の動きを見せる。陽光に照らされるアヌーク・エーメの美しさが際立つ。
 その帰り、また大雨の中、やっと手を握るジャン|ルイはようやく彼女の手を握るが、その時のアンヌの冷たい視線。
そして、妻のことを尋ねられジャン=ルイはやっと自分の事故と妻の死について語る。
 やがて、モンテカルロラリーになり、ジャン=ルイは終わったら電話すると語るが、実は愛人がいることがわかる。
冒頭、アンヌに女から金を貢がせてるような話をするあたりから、モテ男であることはわかるのだが。
 ラリーの場面はモノクロームで描かれ、結果を知ったアンヌは愛の電報を送るのだ。ジャン=ルイはそれを受け取り喜びの中モンテカルロから色々シュミレーションしながら、パリ、ドービルへ。ここでかの有名なフランシス・レイのテーマ曲がバックに流れる。男女の視点で風景が描かれ、ふたりの心の高鳴りに合わせてテーマ曲もテンポアップする。
 ここでこれも有名なふたりのベッドシーンになる。モノクロームで描かれるかなり長いベッドシーンなのだが、途中からアンヌは目を明け、そこにからカラーで元夫とのラブ・シーンが重ねられていく。ピエール・バルーとニコール・クロワジールのシャンソンは歌詞ですれ違う男女の心理を表現。[なぜだ?]ジャン=ルイの台詞で、アンヌは列車で帰ることになる。ベッドで正面を向くアンヌ、横向きのジャン=ルイ。重ならない男女をルルーシュは象徴する。
 列車のアンヌ。車のジャン=ルイの回想で描かれるシーンがラストに繋がっていく。
 アヌークエーメの際立つ美しさを是非デジタル・リマスターで。