[ラストサムライ] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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エドワード・ズウィック監督・脚本。ジョン・ローガン原案・脚本。マーシャル・ハースコビッツ脚本。ジョン・トール撮影。ハンス・ジマー音楽。03年、アメリカ映画。

Amazon primeにて劇場鑑賞以来の再観。この映画、劇場で初めて観たときには、細部のリアリティのなさ、編集の雑さが気になり、高評価しなかったが視点を変えて観ると実に面白かった。南北戦争より前に先住民を殺害したことがトラウマになっていたオールグレン大尉(トム・クルーズ)が、東洋の異国日本で軍の強化を託され、最後の侍である勝元(渡辺謙)に出会う。明治維新の新政府下、時代変革の波、西欧化で失われようとする日本人の原点でもある[武士道精神]に接し、名誉を取り戻していく物語だ。
 この映画の面白さは異人の目に写る、日本人。その生活感や戦いに対する精神の違い。その中で、オールグレンは自分なりの生き様を見つけていく。日本の武士道という物は西洋人に取り、神秘的で魅力を感じる物なのだろう。ジム・ジョームッシュ監督が[ゴースト・ドック]でも題材にしていたが、古くはアメリカのTVドラマ[将軍]で紹介された日本が話題になったが、本作はさらにそれを上乗せさせるとのになっただろう。渡辺謙は本作の出演をきっかけとしてハリウッドの常連になり、後にオスカーにノミネートされるまでになり、滝で水浴びをする小雪は[将軍]の島田陽子以来の東洋の美女として話題になった。

明治維新の直後。南北戦争で功績をあげたネイサン・オールグレン大尉は近代的軍隊の養成を依頼され、日本を訪れる。そんなある日、彼はという武士の集団に拉致され、勝元盛次という武士と出会う。そして剣の時代の終焉を冷静に見つめるその男のもとで、武士道の精神に魅了されていき…。

盛次の妹たか(小雪)は夫を戦いの中でネイサン・オールグレンに殺されるが兄から彼の世話を命じられる。最初は心を開かないオールグレンだが、厳しく部下を鍛える、勝元の側近氏尾(真田広之)やたかの息子飛源(池松壮亮)などと接し、勝元の最後の武士としての在り方に接するうちに徐々に心を開き、明治政府の大臣大村(原田眞人)らの討伐軍に対して勝元側として戦う決意をしていく。
 ハリウッド資本によるラストの決戦場面はまさに本格時代劇を感じさせる迫力。新兵器ガトリング砲の前に死を覚悟しながら、突っ込んでいく勝元たちは滅びの美学を感じさせた。
 渡辺謙や真田広之が様々な西洋人の間違いを指摘したことにより、かなりのリアルな剣劇が完成されており、オールグレンが馬で移動していたのに次の場面では歩いているなど編集の雑さはあるが、黒澤明の[影武者]を思わせる滅びの美学と失われたいく武士道に対する鎮魂歌として仕上がっている。