[THE BATMAN -ザ・バットマン] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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マット・リーヴス監督・脚本・製作。ピーター・グレイグ脚本。グリーグ・フレイザー撮影。マイケル・ジアッチーノ音楽。22年、アメリカ映画。

DVDにて鑑賞。うちの妻が[バットマン]好きで全てのシリーズを集めているのでマット・リーヴスによる新シリーズの第1作を観た。ティム・バートン版、クリストファー・ノーラン版、TVドラマ[ゴッサム]全て設定が微妙に違い、戸惑う部分もあるが、ノーラン版ほどではないが、リーヴス版もかなり面白かった。ブルース・ウェイン/バットマン(ロバート・パティンソン)がラス前で事件の黒幕エドワード・ナッシュトン/リドラー(ポール・ダノ)と対峙する場面は黒澤明監督の[天国と地獄]のオマージュであり、リーヴスの映画通ぶりが伺える。セリーナ・カイル/キャットウーマン(ゾーイ・クラヴィッツ)は今回はバットマンと恋仲に落ち協力者として活躍。ゴッサムの市警部補ジェームズ・ゴードン(ジェフリー・ライト)、ウェイン家のアルフレッド・ペニーワース(アンディ・サーキス)。オズワルド・オズ・コブルポット/ペンギン(コリン・ファレル)らシリーズのレギュラーメンバーは今回も登場する。

バットマンが初めて犯罪に立ち向かってから2年。ゴッサムシティでは、市長の殺人を皮切りに不可解な連続殺人事件が発生する。それぞれの現場には、バットマンに向けた謎のメッセージが残っていた。事件の解決に動き出したブルース・ウェインは、自身の家族も深く関わるゴッサムシティの腐敗に直面することになり…。

アクション映画としてはノーラン版の方がテンポがあり、バイクがバットマン・カーになるなど設定も派手で面白いのだが、本作はブルース・ウェインの元市長の父トーマスと母の死が事件に絡んでくる。リーヴスは冒頭でサイコ犯のリドラーを提示、そこに実際のゾディアック事件を重ねて、リアリティをもたせているあたりが上手い。徐々に明らかにされていく、ウェイン家の過去、街の顔役カーマイン・ファルコーネ(ジョン・タトゥーロ)、その繋がりで警察のピート・サベージ本部長。右腕にペンギンがいることがわかってくる。スリラー的な見せ方をしながら、キャット・ウーマンの過去も明らかになり、ラストはリドラーの仕掛けで大スペクタクルに発展していく。事件的にはもう少し手際よく纏めた方が[バットマン]映画としては面白くはなるのだろうが、本作のように違うアプローチの仕方や見せ方も何度目かのリプートではリーヴスの工夫が感じられる映画だった。26年には第2作が予定されているので、是非ご覧頂きたい作品。