[日本沈没2006版] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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樋口正嗣監督。成島出、加藤正人脚本。小松左京原作。神谷誠特撮監督。河津太郎本編撮影。高橋政千、中根紳治特撮撮影。岩代太郎音楽。06年、東宝配給。

スカパー日本映画専門チャンネルにて鑑賞。73年に一世を風靡した小松左京の原作はすぐに森谷司郎監督で藤岡弘主演で映画化され、社会現象を巻き起こして、74年には村野武範主演でドラマ化もされた。自分も幼い時にリアルタイムで映画もドラマも観たので、そのイメージを崩されたくなくて、長い間、観なかったのだが、最近主役の草彅剛の演技を見直しているので、今回やっと観た。

オリジナルが日本沈没の予兆から始め、田所博士、オリジナルは小林桂樹、本作豊川悦司が潜水艇わだつみを持つ会社に協力を依頼、パイロット小野寺、オリジナルは藤岡弘、本作は草彅剛の調査で、日本が海底に沈むという事実がわかり、首相、オリジナルでは丹波哲郎、本作は石坂浩二らがその対策を実行する物語が描かれるのだが、本作は大きく設定が変化され、もう静岡で大地震が起こり、その中で小野寺は少女美咲(福田麻由子)を救おうとして、レスキュー隊員の阿部玲子(柴咲コウ)に救出され恋仲になる。小野寺は神戸から会津の作り酒屋の息子に、玲子は令嬢から神戸の阪神大震災で両親を失い、そのために最後まで人を救おうとレスキューに入った設定になっている。淡々とSFパニック映画として、全体から描き首相の苦悩などにも言及したオリジナルに対して、本作は小野寺と玲子、またそれを巡る、玲子が手伝う居酒屋のメンバーらを中心にふたりの人間ドラマとして描いている。
 藤岡といしだあゆみよら、草彅剛と柴咲コウ、役者としての演技で見せる、そこはいいのだが、海溝に核並の爆薬を仕掛けプレートを切り沈没を止めるという、完全なエンタメドラマにしてしまい、最初にわがつみ6500でその任務に向かった結城(及川康光博は亡くなり、小野寺が旧式の潜水艇で日本を救おうとする特攻ドラマにすることで、スリリングなエンタメ映画に仕上げてしまうあたりに、樋口監督らしさはあるが、原作の持ち味はほとんど失われた部分は納得がいかない。

潜水艇・わだつみ6500のパイロット小野寺は、深海調査で日本列島が1年後に沈没するという事実を知る。調査を指揮した地球科学博士・田所は、学会に危機を訴える。やがて、日本列島では地殻変動の影響で各所に被害が出始め、犠牲者が増えていき…。
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函館の倉庫が津波に飲まれていく場面、渋谷109や銀座の服部時計店が倒れていく場面、CGによりかなりリアルな災害場面を作り、防衛庁や各所が全面的に協力した艦船など本物を使用した迫力など、驚異的な場面もあるのだが、[アルマゲドン]を思わせるラストの創作、ドラマとしてエンタメとして見せようという意識が強過ぎて、逆にリアリティを欠いてしまっている。例えば、崖に取り残された美咲たちが玲子に救出されるまでの間、どうやって生き延びたんだとか、弱点になり得る場面や設定が多過ぎ。
 やはり、リメイクはオリジナルには及ばない代表例になった映画。