[フィツカラルド] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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ヴェルナー・ヘルツォーク監督・脚本・製作。ルッキ・シュティぺティック製作。トーマス・マウホ撮影。ポポル・ヴー音楽。82年、西ドイツ映画。

スカパー、ザ・シネマの録画にて再観。83年度キネマ旬報第5位。この年はヘルツォークが日本に紹介され、[アギーレ神の怒り]と本作の2本がベストテンに選ばれている。

ペルー、アマゾンの奥地でゴム園を開拓してオペラハウスを建設しようというフィツカラルドの壮大な夢を実現しようとする人間ドラマだ。

冒頭、船でアマゾンを渡りブラジル、マナウスでオペラを観劇に来るブラウン・スウィーニー・フィツジェラルド(クラウス・キンスキー)とその愛人で娼館を経営するモリー(クラウディア・カルディナーレ)の姿を描き、物語の導入とする。ペルーのイキトスで製氷会社を経営するフィツジェラルドは昔、アンデス鉄道を施設しようとして破産したが、イキトスにオペラハウスを建設するという夢を抱き、モリーに資金を出させて、ジャングルの未開の土地と中古の蒸気船を購入させる。パウル船長(パウル・ヒットシェル)、チェロ機関士、ウエレケケ料理長と共に蒸気船で出発する。圧巻なのは原地の先住民に協力させ、急流を避けるために蒸気船を山越えさせるのだ。何かに取り憑かれたような男の欲望をクラウス・キンスキーは熱演しており、後にはハリウッド映画にも出演するようになる。実際の蒸気船を使い長期ロケを敢行したヘルツォークの執念を感じさせる映画だ。

最初に観た時にも感じたが、151分と言う長尺にも関わらず、底知れぬ映画が発散してくるパワーで最後まで見せきってしまう作品。秀作の一本。アマプラで観れますので是非。