[隣人X 疑惑の彼女] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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熊澤尚人監督・脚本・編集。パリュスあや子原作。柳田裕男撮影。成田旬音楽。chilldspot主題歌。23年、ハピネットファントム・スタジオ配給。

Amazon Primeにて鑑賞。第14回小説現代長編新人賞受賞作の原作を映画化。SFテイストのミステリー作品なのだが、中途半端な映画だった。結局、肝心なXって何なのかよくわからないし、親子の絆、国籍を乗り越えた愛を描くのなら、この表現は紛らわしいし、ハッキリと観ている側に伝わらない。

故郷の惑星を追われた難民Xの受け入れを発表した日本。人間の姿をコピーして日常に紛れ込んだXがどこで暮らしているのかは誰も知らず、人々は言葉にならない不安や恐怖を抱き、Xを見つけだそうと躍起になっていた。そんななか、スクープをねらう週刊誌記者の笹憲太郎(林遣都)は正体を隠し、X疑惑のある柏木良子(上野樹里)へ近づく。2人は少しずつ距離を縮め、やがて笹のなかに恋心が芽生えるが、良子がXかもしれないという疑いを拭えずにいた…

映画は笹の擁護施設にいる母親の費用に困る笹が良子の父、紀彦(酒向芳)をXだと特定スクープして編集長(嶋田久作)から金を引き出したあたりから、大相談に発展、同時に良子のバイト先の同僚で台湾から来日している林(ファン・ペイチャ)と恋人拓真(野村周平)の物語が同時進行で描かれていく。もっと、見せ方を工夫すれば[ウルトラQ]のようなクォリティの作品にもできたと思うのだが、監督が何を提示したいのかが最後までよくわからない作品になってしまった。やっと[のだめカンタービレ]の呪縛から抜け出した上野樹里が好演していただけに勿体ない作品だ。