ガストン・ドゥブラット、マリアナ・コーン監督、共同脚本。アンドレス・ドゥブラット脚本。アルナウ・バイス・コロメル撮影。21年、スペイン、アルゼンチン合作。
スカパー、ムービープラスにて鑑賞。ペネロペ・クロスとアントニオ・バンデラス共演、映画業界の内幕を風刺したコメディ。華のある映画俳優フェリックス(アントニオ・バンデラス)、実力派の舞台俳優イバン(オスカル・マルティネス)、彼らを演出する。奇抜な芸術監督ローラ(ペネロペ・クルス)、映画のリハーサルでは三様の持論をぶつけ合い。不協和音の中、物語が進行する。本作は大笑いさせるようなコメディではなく、俳優、監督、それぞれの立場でお互いを主張して、理解させようという、人間のエゴがあからさまに対立して描かれ面白い。
大富豪の起業家が、自らの名声を残そうと映画製作に乗り出す。監督には受賞歴のある天才肌のローラが起用され、実力派の舞台俳優イバンと華のある映画スターのフェリックスが主人公の兄弟を演じることになる。さっそくリハーサルが始まるも、イバンとフェリックスはローラの理解不能な指示に困惑する。二人の受賞の記念品を持ってこさせたローラは二人を動けないようにして、それを自分の受賞トロフィーと共にスクラップリしてしまう。
怒ったフェリックスは病気の芝居でふたりを騙す、イバンもお返しに演技で騙してくる。人のえげつなさが伝わってくる。
物語は後半、思わぬ方向に進み、悲劇が起こる。素知らぬ顔をしながら、映画は完成、映画祭でのパーティーと記者会見に繋がっていく…。
徹底したクールな視線、ブラック・ユーモアなダークな理解不能な人間の内面を浮き彫りにする構成。映像の空間、モンドリアンの絵のような[コンペティション]を思わせる絵画を見せられているような作品世界。