[オール・ザ・キングスメン] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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映画ブログです。特に70年代の映画をテーマで特集しています。また自作の小説、シナリオもアップしています。

ロバート・ロッセン監督・製作・脚本。ロバート・ペン
・ウォーレン原作。バーネット・ガフィ撮影。モリス・W・ストロフト音楽。49年、アメリカ映画。

Amazon Primeにて鑑賞。第22回アカデミー賞作品賞
主演男優賞、助演女優賞受賞作。原作の[すべて王の臣]
は[ハンプティ・ダンプティ]の一節から取られており、地方の政治家が野心を抱き、権力の虜になり自滅していく、まさに[ハンプティ・ダンプティ]そのものを感じさせる物語であり、そのウィリー・スターク(フロデリック・クロフォード)を巡る深みのある人間ドラマが秀逸。
 ロッセンは彼を取材に来たジャック・バーデン(ジョン・アイアランド)を語り部として、彼もウィリーにいつしか取り込まれていく。彼の恋人だったアン・スタントン(ジョーン・ドルー)もウィリーの愛人になっていく。ウィリーは腐敗した暴利をむさぶる権力者に反対し、最初は選挙で負けるが老朽化した病院の事故をきっかけに知事になっていくのだが、アンの弟、アダム(シェパード・ストラドウィック)は院長になることを断り、ウィリーの暴君ぶりにアンの叔父スタントン判事は司法長官になるが辞任、彼を批判し始める。
また息子のトム(ジョン・デレク)は父親に反抗して、飲酒運転で恋人を事故死させる。様々な手を使い市民の信頼だけは勝ち得て独裁者のようになるウィリーの末路は…。

地方政治家の栄枯盛衰を掘り下げた傑作なのだが、日本ではGHQにより公開が見送られ、何と公開されたのが76年に岩波ホールで公開され、当時首相でロッキード事件で逮捕された田中角栄が重なり話題になった。映画の冒頭では選挙に破れ、法学を学んで復活、その権力を使い政治力を勘違いしていく主人公の暴君ぶりを演じたクロフォードの好演、秘書役のセイディ・バーク(マーセデック・マッケンブリッジ)もオスカーを受賞した名作。是非ご覧下さい。