[グッドモーニング・ベトナム] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

力道の映画ブログ&小説・シナリオ

映画ブログです。特に70年代の映画をテーマで特集しています。また自作の小説、シナリオもアップしています。

バリー・レヴィンソン監督。ミッチ・マーカウィッツ脚本。エイドリアン・クロンナウア原作。ピーター・ソーヴァ撮影。アレックス・ノーズ音楽。ルイ・アームストロング主題歌。87年、アメリカ映画。

スカパー、ザシネマの録画にて鑑賞。65年激化するベトナム戦争最中、D.Jとして兵士達を笑わせ、ブラックユーモアたっぷりに戦争批判をしたエイドリアン・クロンナウアの実話を映画化。主人公にはコメディ映画で売り出し中だったロビン・ウィリアムズが抜擢され、警戒はトークを披露している。

82年くらいまで沢山製作されたベトナム戦争映画は戦争そのものを再現した作品が多かったが、本作は戦場のラジオ放送という別角度から戦争批判をした作品、長く観てなかったのだが、面白いかったし、またラストの真実は衝撃的だった。脚本的にもオープニングとラストで[オズの魔法使い]を使用したり、皮肉たっぷりにサッチモの[素晴らしきこの世界]を流すなど、下ネタ、ブラックユーモアや禁止用語が連発され、現代では無理な表現も沢山入っていて、バリー・レヴィンソン監督の秀作と言っていい。

1965年、酷暑のサイゴンに一人の男がやって来た。武器ももたず、何ともラフな格好の彼は、米軍放送のDJ、エイドリアン・クロンナウア(ロビン・ウィリアムズ)。彼が流すギンギンのロックンロールと歯に衣着せぬマシンガン・トークは、たちまち戦場の兵士たちの心をつかむ。しかし目をむいて動転したのは軍の上層部で、ガーリック一等兵(フォレスト・ウィティカー)と仲間のDJだけが味方という孤立状態となってしまう。しかし、サイゴンの街で出会った美少女トリン(チンタラ・スカバタナ)を追いかけることは忘れない。彼女の通う英語学校の教師を志願して生徒たちと型破りな英会話授業を始めたり、トリンの兄ツァン(ドゥング・ダン・トラン)と友達になったりと、現地のベトナム人との交流を深めていくが…。

彼の人側で現地の人たちと交流を広めていくクロンナウア。最後に彼に突きつけられるベトコンの言葉こそ、ベトナムの本音を語っている。笑いの裏側に描かれるこの重い現実は、ある意味、壮絶な戦闘場面を描くより、問題提起として効果がある。ベトナムでのロケも生々しさを感じさせ、ベトナム戦争批判の作品として、最後の映画と言ってもいい映画だろう。