[禁じられた遊び] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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ルネ・クレマン監督・脚本。ジャン・オーランシュ、ピエール・ボスト脚本。フランソワ・ボワイエ原作。ロベール・ジュイヤール撮影。ナルシソ・イエペス音楽。52年、フランス映画。

Amazon Primeにて再観。アカデミー名誉賞(外国語映画賞)、ヴェネチア国際映画祭サン・マルコ金獅子賞受賞のルネ・クレマン監督の出世作。

久しぶりに観たが映像がかなりクリアなのでリマスターされた映像だろう。戦災に見舞われた5歳の少女の過酷な運命を描く傑作。冒頭で少女ポーレット(ブリジット・フォッセー)がドイツ軍の空襲で両親を失うシーンのリアルな表現は、レジスタンス映画を撮ってきたクレマン監督ならでは。橋を渡ろうと多数の人々が非難しており、両親の車は故障、周辺の人々に排除されてしまう。人間の醜さを全面に感じさせるが、その中、ポーレットは愛犬が逃げ出し、それを追いかけていく、彼女を連れ戻そうとした両親も愛犬も機銃掃射で生命を落とす。乗せられた馬車のおばさんは犬は死んでると河に投げ捨てるが、執着するポーレットは攻撃の隙に河畔に下りて死体を拾い、慈しんでいる。そこに牧場の息子ミッシェル・ドレ(ジョルジュ・プージュリー)が逃げた牛を追いかけて、二人が出会う。ミッシェルは家族にポーレットを紹介、彼女はドレ家で暮らし始める。父ジョゼフ(リュシアン・ユベール)は隣のグアールとは犬猿の仲。牧場に逃げた馬車の馬を追った長兄のジョルジュ(ジャック・マラン)は馬に蹴られて重賞を負う。家族は母と長女のベルト、次男のレイモンの大家族。ベルトは隣の息子で兵役から逃げてきたフランシスと恋仲。
 幼いポーレットは死の感覚がわからず、神への信仰も祈り方もわからない。ミッシェルが教えるのだが、死んだ物はお墓を作ると教えられ、水車小屋に犬の墓を掘り、もっと沢山のお墓を作りたいとふたりは十字架を盗み、墓に立てようと考えるのだ。

 ポーレットはミッシェルにしか心を開かず、面倒は彼がみていたこともラストの悲劇に繋がっていく。
 子供の純粋無垢な心では善悪の判断はつかない。ポーレットを保護にきた軍に対して保護して欲しいと訴えるミッシェルの約束は守られない。怒りに任せて、盗んだ十字架を河に投げ捨てるミッシェル。これは我が国よりキリスト教を信仰する国々の人には衝撃的に伝わったはずで、原作はあるとはいえクレマンの演出はクールに少年少女の運命を描き出していく。また世界的に有名になったナルシソ・イエペスによる[愛のロマンス]の旋律がこの映画に深く悲しみの余韻を残していく。