[太陽が知っている] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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ジャック・ドレー監督、脚本。ジャン・クロード・カリエール脚本。ジャン=エマニュエル・コニル原案。ジャン=ジャック・タルベ撮影。ミシェル・ルグラン音楽。69年、仏・伊合作。

スカパー、ムービープラスにて再観。4Kデジタルリマスターなので以前、DVDで観たときよりは遥かに美しい映像だった。4大スター共演の割に面白くないと思ったが、今回観ると緊迫感に満ちた心理サスペンスだった。

 アラン・ドロン、ロミー・シュナイダー、モーリス・ロネ、ジェーン・・バーキン。凄い組み合わせ。ドロンとロミーは恋仲にあった頃なのか、本作の前後[暗殺者のメロディ]など共演が続いた。そのせいではないだろうが、郊外のプール付きの別荘。プールで寝そべるドロンの映像で始まる。役名がライバル俳優と同じジャン=ポール。ジャック・ドレー監督の遊び心を感じる。そこに恋人マリアンヌ(ロミー・シュナイダー)が抱きつき熱いラブ・シーンになるのだが、このマリアンヌも[あの胸にもう一度]のマリアンヌ・フェイスフルから取っているのは明らか。水着からヌードまでロミーの見事なスタイルを確認できる。そこに二人の友人ハリー(モーリス・ロネ)が娘ペネロープ(ジェーン・・バーキン)を連れてやってくる。ここから徐々に不許和音が聞こえ始める。ジャン=ポールはハリー達を泊まるように勧めたマリアンヌに顔を顰める。映画が進んでいくとハリーが元恋人だったことがわかるのだ。ペネロープは一人浮いた感じなのだが、ハリーが彼女を溺愛していることがわかる。
 ドロンとロネと言えば[太陽がいっぱい]を想起させる組み合わせであり、今回もそんな危うさを感じさせる関係だ。
 ランボルギーニだろうかすごい車を自慢するハリーは街に繰り出し、沢山の友人達を連れてパーティになる。その夜、嫌気が指したところをジャン=ポールは慰める。
 ここでハリーはマリアンヌと踊り、それをジャン=ポールは気にしている。翌日、ハリーがマリアンヌを買い物に誘う間にジャン=ポールはペネロープに恋心を抱く。
 これをきっかに殺人に繋がり、レベック刑事(ポール・クローシュ)がやってくる。少しずつ男女の心が移ろう姿を映像で表現している。この4人だからこそ成り立つ心理サスペンスと言える。ドロンのクールさは勿論だが、ロミーの情熱と冷たさを演じ分けてるあたりは流石だ。
 ジャック・ドレー監督というとアクション系の映画をドロンと撮っていたイメージがあったが、こうした心理劇も撮れ、役者の魅力を引き出していたことが驚きだ。