[別れる決心] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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パク・チャヌク監督、脚本。チョン・ソギュン脚本。キム・ジヨン撮影。チョ・ヨンウク音楽。22年、韓国映画。

Amazon Praimeにて鑑賞。23年度キネマ旬報外国映画第7位。

パク・チャヌク、久しぶりの傑作!冒頭の事件で殺人事件の犯人探しのように観る側をミス・リードすると容疑者である美人妻と担当刑事の妖しい恋物語へと変化していく。この美人妻ソレ(タンウェイ)は中国からの移民者でヘジュン刑事(パク・ヘイル)は韓国人、言葉が上手く通じない設定の妙がこの映画を深く面白くしている。翻訳機、LINE、現代の通話の手段を最大に利用しながら、愛の迷宮を掘り下げていくチャヌク、構成もかなり凝っていて、一度観ただけでは作品の深さを完全には理解できない。人間の愛情の怖さをまざまざと感じさせてくれる傑作。

男が山頂から転落死した事件を追う刑事ヘジュン(パク・ヘイル)と、被害者の妻ソレ(タン・ウェイ)は捜査中に出会った。取り調べが進むなかで、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。いつしか刑事ヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたへジュンに特別な想いを抱き始める。やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに思えた。しかし、それは相手への想いと疑惑が渦巻く“愛の迷路”のはじまりだった……。

ソレを巡りふたつの殺人事件が起こる。それがどちらも彼女の夫なのだ。ひとつ目の事件で、容疑者から外されるソレだが、ヘジュンは彼女の容疑を捨てずに調べていく。不眠症に苦しむヘジュンに近づくソレ、チャヌクは彼女を監視するヘジュンに彼女が気づいてたことから、心の変化を巧みに描き取っていく。ヘジュンは妻の故郷に引っ越すが、そこに偶然、現れるソレ、しかも第二の夫を連れている。だが、チャヌクはここでは犯人として逮捕される男とソレの繋がりを提示する。観る側は様々な伏線に戸惑わさせながら、ラストには極限の愛を見せつけられる。これは見方によっては心震わせる怖さを含んでいるあたりが、復讐三部作のパク・チャヌクの真骨頂。久しぶりに堪能させられた。必見の一本。