[恐怖の報酬]77年オリジナル版] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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ウィリアム・フリードキン監督・製作。ウォロン・グリーン脚本。ジョルジュ・アルノー原作。ジョン・M・スティーブンス撮影。タンジェリン・ドリーム、キース・ジャレット、チャーリー・パーカー音楽。77年、アメリカ映画。

数年前にフリードキンが編集し直した[完全版]が上映されたが長過ぎるので、出来としてはこのオリジナル版の方がいい。元はフランスのアンリ・ジョルジュ・クルーゾーの名作のリメイクなのだが非常に完成度の高い作品であり、このオリジナルでも長く感じる。

油田で爆発事故を起こし、ニトロで消化することになり、四人の生命知らずのドライバーたちがトラックでその難題にチャレンジするサスペンス映画なのだが、そこに至るまでの経過を最初の1時間で描く。そこがいつも思うのだが、わかりづらい。主人公のファン・ドミンゲス(ロイ・シャイダー)が出てくるまでにもかなりの時間を費やしてしまっている。恐怖感を煽るために反政府ゲリラの存在を本作のオリジナルとして追加している分、余計に本来のサスペンス映画としての面白さを損なうことになっている。

ジャングルに囲まれた南米の独裁国にある田舎町ポルベニール。そこは犯罪者、ならず者などが暮らす街だ。
 ある日、ポルベニールから300マイルほど離れた山の上の油田で爆発事故が起こる。石油会社の支配人(ラモン・ビエリ)は、この炎を収めるには、爆薬を運び込んで爆風で吹き消すしか手はないと判断。しかし倉庫には少しの衝撃で大爆発を起こしかねないニトログリセリンしかない。そこで石油会社は多額の報酬8000リラを条件にポルベニールからニトロ運搬の希望者を募集する。

 賭場荒らしの際にマフィア幹部の弟親父に重傷を負わせたため、組織から追われるギャングのドミンゲス(ロイ・シャイダー)、不正融資で多額の焦げ付きを作って逃亡したフランスの銀行家セラーノ(ブリュノ・クレメール)、ナチス残党狩りの殺し屋ニーロ(フランシスコ・ラバル)、パレスチナ過激派グループの爆弾犯として警察に追われるカッセム(アミドウ)の4人の男が選出される。
 彼らは二台のトラックでジャングルを渡りニトロを火災現場に届けるという危険な旅に出かけるのだが、途中には泥濘、崩落寸前の吊り橋、道を塞ぐ巨大な倒木、出没する反政府ゲリラなど想像を絶する困難が待ち受けており…

映画はカッセムの物語から始まり、セラーノの破綻さ、ドミンゲスの失踪という順に描かれ、最後にニーロが、運転手の一人を殺害、強引に参加してくる。

大雨の中、落ちそうになっている吊り橋を渡る場面,大木が倒れ、ニトロで破壊する場面などはスリリングであり、ドミンゲスは恐怖の中で、過去回想の恐怖に上記を失っていく。
タイトルの[ソーサラー]とは悪魔の力を借りた魔法使い]の意味で、金や脱出にみいられた男たちの物語になっている。