[いつかギラギラする日] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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深作欣二監督。奥山和由製作。丸山昇一脚本。浜田穀撮影。菱田吉美、小川尚子、長谷川智樹音楽。92年、松竹配給。


スカパー、ムービープラスの録画にて再観。松竹の奥山プロデューサーが久々に深作監督にアクション映画を撮らせたいと数々のオファーを出したが纏まらず、深作側から持ち込まれた企画が本作で、タイトルの権利を角川から譲渡される形でやっと実現した『ダイハード』を越えるスーパー・ヴァイオレンス・アクション。


映画の前半は誰が裏切るのかわからずクライム・サスペンスの要素もあり、この映画の後に登場するタランティーノや『スピード』などの90年代映画の先がけになっている。当初の製作費は3億の予定だったが、『西部警察』を数倍にしたようなカー・アクション、ガン・バトルの連続、そして『ガントレット』を彷彿とさせるバスを使用したぶっ壊しの結果、製作費は11億にも及んだ。この当時では、日本映画のアクション映画の常識を逸脱したド派手なヴァイオレンスぶりは圧倒的な面白さがあった。


場末の産婦人科から出て来た女・美里(多岐川裕美)の肩を抱いた神崎(萩原健一)は、10年来の愛人である美里に仕事を始めると宣言する。昔の仲間で現在うつ病で入院中の井村(石橋蓮司)に話を持ちかけ、昔の仲間である北海道の柴(千葉真一)のもとへ飛んだ。待ち受けていた柴は30歳年下の麻衣(荻野目慶子)と同棲しており、2人がよく出掛けるディスコのマネージャー、角町(木村一八)が今回の仕事の仕掛け人だった。角町は自分のライヴハウスを持つために5千万円を必要としていた。計画は洞爺湖の温泉ホテルの売上金2億円を運ぶ現金輸送車を襲うというもので、角町が加わることに神崎は難色を示したが、計画は実行され成功、4人は廃屋になっているレストラン跡にたどり着いた。しかし2億円入っているはずのジュラルミンケースにあったのは、5千万の現金だけだった。イラつく角町、失望の井村をよそに神崎がそれを4等分し始めたとき、切羽詰まった井村が血迷い、銃を片手に狂っ札束をかき集め始めた。そんな井村を神崎が諭した瞬間、角町が銃を発射、井村は即死し、柴も重傷を負った。柴を背負いからくも逃れた神崎は、身を案じて廃屋へやってきた美里の車で現場を離れた。柴は計画を知る麻衣を角町が襲うのではないかと案じたが、実は…,。


二転三転する物語は実に手に汗握る展開。ロックバンド、“JAKS’N JORKER”の強烈なビートをバックにド派手なアクションが連発する。特に河合義隆監督とのスキャンダルから一年ぶりに復帰した、ヌー○も披露する荻野目慶子のイカれぶりが凄まじい。結局、その後荻野目は深作監督と不倫に落ちるのだから、体質なのかもしれないが、他の登場人物を凌駕してしまう存在感を発揮した本作で日本アカデミー助演女優賞を受賞する。キネマ旬報ベストテン第6位。


80年代に文芸大作などを撮影していた深作監督が本来のアクション映画に戻り、その本領を発揮した秀作。


深作欣二。[仁義なき戦い]。