[日本一のゴリガン男] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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古澤憲吾監督。笠原良三脚本。小原福造撮影。宮川泰音楽。66年、東宝配給。


スカパー日本映画専門チャンネルの録画にて鑑賞。植木等主演。『日本一シリーズ』第4作。タイトルになってる“ゴリガン”とは『御利願』名古屋のスラングらしいが、本来の意味ではなく、映画の内容に合わせて、合理化、とんでもないと言った意味で使用されている。


背景を考えると東京オリンピック後の不況が来ており、植木等演じる日本等は落下物で頭を打ち一年間入院している間に、自分の会社が吸収合併され、その会社ですら、不況の合理化でかなりの人数が自宅待機という設定。その中で契約社員になった日本は、無給であらゆるものを販売、会社を支える売り上げを上げるというスーパー・サクセスストーリー。それは他のクレージー映画と変わらないのだが、これは植木以外では桜井センリしか出演しておらず、ハナ肇や谷啓の出演していない唯一のクレージー映画だ。


月給上れば税金上り、物価も上昇気運の不況下、生きぬくためには、自分を耐えて、計算づくで勝負するより他はない。日本等(植木等)は、不況の波にのまれて身売りした商事会社で強引に売り込みと張り切った。等の理論は、セールスは合理的にす早くやることであった。だが社長の左右田(進藤栄太郎)が社労党の代議士であるため、何かと政治的にうまくいかぬこともあって、等は折角の発案を諦めることも多かった。だが左右田の娘百合子(浜美枝)の魅力に、等は元気百倍するのだった。今や統南商事は等一人舞台、認めた社長は、等の給料を倍増係長にしたが、反面社内の嫉妬を全身に集めた。百合子は人間のタイプとして等をさげすみながら、ビジネスマンとして買っていた。独走する等に成績の上らない仕事が与えられた。イオナイト、イオン交換樹肪で水の性質を変える装置だ。死んだうなぎを生きかえらせると、全国のウナギ屋に装置をセールスしたが、ホテルの食堂でコック(田中邦衛)にやり込めた等は、社長の郷里海無市が上下水道をとりつけるのを聞いて、社長の息のかかった議員黒原伝平(藤田まこと)にとりいった。セールスするうえで、人情と義理にすがるほど楽なことはない。しかし黒原は名前の如く腹黒い人間。等も負けてはならじとスポンサー黒原に大サービスにつとめた。だがこの話も保守党の反対にあっておじゃん。大口契約に矢敗したうえ、馬鹿げた出費。だがくじけぬことがセールスの秘訣。バーで一杯とくつろぐ等は、なじみのリリ子(野川由美子)がアラジニア国大統領夫人におさまったと聞いて手を打った。アラジニアは水不足の国だ。数十億の商談に望むが…,。


ゲストは藤田まことをはじめ、脇役で『ウルトラQ』に出演している柳谷寛、野村浩二、二瓶正也など、東宝の脇役達が出演、左卜全が植木をどなりつける住職役で存在感抜群。


植木が考え出す、様々は販売作戦は報復絶倒であり、そのアイディアの素晴らしさに驚かされてしまう。国会や東京を逆さまに写すオープニングからして、古澤監督の反骨精神が感じられ、革新系の代議士もしている進藤演じる社長が時代の流れを感じさせ、早くもベトナムのことも取り上げているところにこの監督がいかに時代に敏感だったかが伝わる。


さて、毎回楽しみのロケ地だが、植木が『おもちゃのマーチ』を歌い踊る、代々木の今はなき国立競技場のロケをはじめ、懐かしかったのは『船橋ヘルスセンター』この当時はかなり有名で、全面タイアップしていた。


古澤憲吾。『ニッポン無責任時代』