[日本一のヤクザ男] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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古澤憲吾監督。田波靖夫脚本。長谷川清撮影。山本直純音楽。70年、東宝配給。


スカパー日本映画専門チャンネルの録画にて鑑賞。植木等主演『日本一シリーズ』の第8作。古澤憲吾が手がけた最後のクレージー映画。だが、共演はハナ肇のみ。ほぼ植木の独断上の任侠コメディ。


共演は豪華で、藤田まこと。ヒロインの未亡人役に司葉子。野川由美子、そしてタイガースのボーカルで人気絶頂の沢田研二が登場する。


昭和初期。日本一郎(植木等)は新興ヤクザ根本組への一宿一飯の恩義から土地の親分、前野組の組長(田崎潤)に尋常の勝負を挑んだ。だが、そこはお調子者の一郎のこと、前野を逃して、礼金だけせしめる手筈だった。ところが、殺らないはずの前野が死んだと聞いて、腑に落ちなかったが、たまたま召集令状が舞いこんだため兵隊よりは刑務所の方がマシと自首する。それから5年。再びなつかしの地に戻った一郎だが、相変らず前野組と根本組のいがみ合いは続いていた。前野組では、前野の亡きあと、妻の登志子(司葉子)が組をしきっていたが、健次(山下恂一郎)ら若い連中はいまにも殴りこまんとする勢い。一計を案じた一郎は根本(安部徹)を健次らの手から間一髪救い出すという芝居をうち、根本の客分におさまった。一郎は鉄道建設の施工主、村井(多々良純)が芸者鶴子にベタ惚れなのを利用し、建設利権を前野組にもたらそうと企てるが、世の中ままにならず、鶴子は一郎の男度胸に惚れこんでしまった。しかし、根本も鉄道建設に色気をみせて、虎視耽耽。一方、前野組では、前野の仇を討つため吾郎(藤田まこと)が旅から戻ってきた。登志子はきっぷのいい一郎に未練を感じながらも、渡世の義理から一郎に果し状をつきつけた。空には重い雨雲がたちこめる河原で一郎と吾郎は対決したが…,。


とにかく植木がモテ男役で最初は左とん平と逃げた野川由美子、司葉子と妹由紀子役の小林夕岐子、それぞれが植木演じる一郎に想いを告げる。背中の入れ墨、吾郎との決闘場面のオチは爆笑。ただ、古澤、田波コンビの作品は他はもっとノリとテンポがあるが本作は異色な設定もあり、イマイチ楽しめない。さすがに70年になるとクレージー映画もマンネリから脱却できず質が落ちてきていることがわかる。ちなみに沢田研二は歌う場面がある。前野君親分の下手人がわかり、植木、藤田が殴り込む場面は東映ヤクザ映画のパクリ。


古澤憲吾。『ニッポン無責任時代』など。