[グリーンブック]鑑賞記 | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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ピーター・ファレリー監督・脚本。ニック・バレロンガ、ブライアン・カリー脚本。ショーン・ポーター撮影。クリス・パワーズ音楽18年、アメリカ映画。


本年度第91回アカデミー賞、作品賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)、脚本賞3部門受賞作品。


黒人と白人によるバディ・ムービーというと、古くは[手錠のままの脱獄]、近年ではフランス映画の[最強のふたり]が記憶に新しいが、本作はラブコメを撮ってきたピーター・ファレリー監督が、細部に笑いを散りばめ、古き良きアメリカ映画、ビリー・ワイルダーやフランク・キャプラの映画を思わせるハイセンスな映画に仕上がっている。


用心棒をしているナイトクラブが改装で、失業していたトニー・バレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)が黒人の天才ピアニスト、ドン・シャーリー(マハーシャラ・アリの運転手兼、世話係に抜擢され、60年代。ジム・クロウ法により、黒人差別が厳しそう南部まで、コンサート・ツアーを重ね、紆余曲折の中で相容れないお互いの領域を徐々に体験するうちに心通わせるロード・ムービーであり、最強のバディムービーだ!


1962年、アメリカ。ニューヨークのナイトクラブで用心棒を務めるイタリア系のトニー・“リップ"バレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)は、粗野で無教養だが、家族や周囲から愛されている。“神の域の技巧”を持ち、ケネディ大統領のためにホワイトハウスで演奏したこともある天才黒人ピアニスト、ドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)は、まだ差別が残る南部でのコンサートツアーを計画し、トニーを用心棒兼運転手として雇う。正反対のふたりは、黒人用旅行ガイド『グリーンブック』を頼りに旅を始めるが……。


南北戦争の争いの元にもかり、現代まで続く黒人差別の問題を提起し、特に雨中の中、車内でイタリア系の自分のことに置き替えて話すトニーに対し、怒りを露わにして、激しく反論するドン。あの雨中の中を歩いていくドンの主張には、深い憤りを感じた。それだけに、南部地区の酷い差別に対してふたりである行動にてるクライマックスは実に痛快で、それぞれの演技が熱演で。オスカーを受賞させたいと感じた。


監督のピーター・ファレリーは言葉を使ったギャグのセンスが実に上手く、そのはシャレっ気はワイルダー張り、しかも翡翠の石とか小物の使い方も抜群であり、脚本賞に選ばれた細部に渡り巧緻に練られた脚本が秀逸であり、そこがこの映画が他のバディムービーとは一線を画す出来にある所以だ。


60年代を再現する美術、そして黒人によるロックやモータンをBGMに使用していることが、ラスト前に生きてくる。そして、ラストがまた実に粋。


お薦めの一作であり、個人的には近年のアカデミー作品賞の中では本作が一番好みであり、古き良きアメリカ映画を彷彿とさせる本作のような映画こそ、待ち望んでいたいた映画なのだ!


ピーター・ファレリー。[メリーに首ったけ]など。