[宗方姉妹] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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小津安二郎監督・脚本。大佛次郎原作。野田高梧脚本。小原譲治撮影。齋藤一郎音楽。50年、新東宝配給。


スカパー衛星劇場の録画にて鑑賞。キネマ旬報ベストテン7位。文芸作品を企画していた新東宝か、小津安二郎を招いて制作した作品で、小津にとって松竹以外で撮った初の作品。


世間的には失敗作品とされる本作だが、確かに物語の展開も唐突で、会話で説明しようとし過ぎるためか、他の小津映画に感じられる作品に味わいがない。特に高峰秀子演じる満里子はおキャンなキャラでやたらお節介で、我儘なでしゃばり娘にしか見えない、


京都の寺を間借りする宗方忠親(笠智衆)が、娘の満里子(高峰秀子)に東京での生活を聞いているとパリ帰りの田代宏(上原謙)がやってきた。忠親は、妹・満里子の面倒を見たり失業中の夫・三村亮助を抱えてバーで働いている節子(田中絹代)の身の上を案じていた。満里子が、なぜ田代と結婚しなかったのかと節子に聞くと自分の気持ちに気づくのが遅かったと答えた。夫の亮助(山村聰)は節子に離婚話を持ちかけ、抗議する彼女を殴ったが、発作で倒れ亡くなった。節子は、田代と再会するが…。


大佛次郎原作を読んでないのでわからないが、原作はもう少し男女の機微を丁寧に描き込んでいるのではないだろうか。田代宏が友人だと説明した女性頼子、箱根の宿で待ち合わせるくらいだから、実は愛人なのかもしれないが、何の説明もなく、いきなり満里子が噛み付く、観ている側は節子のことを思うあまりとしても不自然さが否めない。映画という二時間の枠に強引に詰め込んだための結果なのかもしれない。キャメラが厚田雄春でないため、無意味なパンとか使っており、小津安二郎のいつもの世界をスタッフ的にも再現できなかったのだろう。


小津安二郎。[東京物語]