[サミュエル・フラーのシャーク!] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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サミュエル・フラー監督・脚本。ヴィクター・カニング原作。ジョン・キングスブリッジ脚本。ラウル・マルチネス・ソラレス撮影。ラファエル・モロヨークィ音楽。69年、アメリカ・メキシコ合作。


スカパー、ムービープラスの録画にて鑑賞![ジョーズ]以前に制作された鮫がタイトルになっている映画。元々、TVムービーで[ザ・シャーク]のタイトルでテレビ東京などで放映されていた作品。内容は鮫退治ではなく、沈没船からお宝を引き上げる際に、鮫が襲ってくるアドベンチャー映画であり、後の[シャーク・トレジャー]に近い内容。出演はなんとTVで売り出し中だったバート・レイノルズだ。


紅海の海中で若いダイバーが鮫に食い殺され、アンナ(シルヴィア・ビナル)とフラーラ教授(バリー・サリヴァン)は、後任となるダイバーを探し始める。一方、アフリカ大陸で武器の密輸に携わっていたアメリカ人・ケイン(バート・レイノルズ)は警察バロック警部(エンリケ・ルセロ)から逃れる為の機会を探っており、船を動かすことのできるダイバーの話は好都合だった。アンナに自分を売り込んだケインは、助手として船に乗り込む。そして、ケインは海洋研究を装う教授たちの目的が、海底に沈んだままとなっている金塊であることを知り…。


サミュエル・フラーは[ホワイト・ドック]など、動物パニック映画は得意なのだが、この映画、[ケイン]というタイトルで、海洋アドベンチャーとして売り出すつもりが、プロデューサーの意向で、鮫を全面に押し出して売り出すことになる。


ケインを誘さてくるアンナ、彼女の父親代わりで海洋学者をしている教授、そして武器の密売を計画していたらしいケインを元から、怪しむバロック警部。そして、紅海の海辺の町で出会った少年とケインの友情。TVムービーとは思えない内容が詰め込まれていて、なかなか見ごたえがある。教授やアンナの狙いがやがてケインによって明らかにされるサスペンス的な要素。登場人物それぞれの金塊を巡る駆け引き、クライマックスは鮫にも襲われ、実にスリリングで、ラストも思わせぶり。


メキシコのスタッフを使ったB級映画ではあるがこれは拾い物と言っていい面白さだった。


サミュエル・フラー。[最前線物語]