[舞踏会の手帖] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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  ジュリアン・デュウ゛ィウ゛ィエ監督・脚本。ジャン・サルマン、ピエール・ウ゛ォルフ、ノイウ゛・ミランド、ベルナール・ツィメール脚色。ミシェル・ケルベール、フィリップ・アゴスティーニ、ピエール・ルウ゛ァン撮影。モーリス・ジョベール音楽。37、フランス映画。

 ACDCさんが、[フランス式十戒]を取り上げられたが、今日は、オムニバス映画の最高作に上げられる、この作品。正月頃から、30年代のフランス映画を紹介してきたが、これだけレンタルになく、今回、IVCから廉価版のDVDが発売されたので見ました。

 ペシミスティックな作風のデュウ゛ィウ゛ィエの作品の中でも、これは特に顕著。夫を失ったクリスティーヌ(マリー・ベル)が新しく人生をやり直すため、自分の16歳の社交界デビューを飾る舞踏会で、彼女と踊った七人の男が夢に現れる。そこで、出てきた手帖を元に彼等を探して歩く。それぞれが、エピソードとして独立し、全て違った語り口で描かれる秀逸なオムニバスになっている。

 物語。イタリア湖畔の古城。夫を亡くした年齢も離れ愛を感じ取れなかったクリスティーヌは昔の手帳を元に、社交界デビューの夜にワルツの相手をしてくれた男達の今を訪ね歩く。
 1、ジョルジュ。彼女の婚約を知り絶望、自殺。母親はその時の記憶のまま、狂ってしまっている。
 2、ピエール(ルイ・ジューベ)。文学青年で弁護士だったが、身を持ち崩し、[夜の帝王]を名乗るキャバレーの経営者で、犯罪組織の黒幕ジョニー。    3、アラン。音楽家でクリスチーヌの為に曲を演奏するが、彼女は聞いておらず、ショックから聖職者に。
  4、エリック。詩人志望も、都会を捨てアルプスのガイドになる。クリスティーヌは山が恋人と言って去る。
 5、フランソワ。田舎町の町長で後妻を貰う結婚式の日に訪れる。
 6、ティエリー。医者になるも植民地を回るうちに片目を失明。今は闇の堕殆医に、妻と折り合いが悪い。
 7、ファビアン(ピエール・フランシャール)。気さくで明るい性格。彼女を思い出の舞踏会に連れて行くが、クリスティーヌは甘い思い出と厳しい現実のギャップに気付く。
 彼女が最も憧れたジェラールはすぐ近くに住んでいたが、今は亡くなり。その息子(ロベール・リナン)を彼女は初めての舞踏会に導いて行く。

 第2話に登場するルイ・ジューベの存在感はさすが。ウ゛ェルレーヌの詩を口ずさむ。また第6話で、船上を感じさせる為に斜めの構図を保つ等、映画的な手法にも優れている。 一話ごとのエピソードが悲喜劇それぞれに味わい深い。
 ウ゛ェネチアの最優秀外国語映画賞。キネマ旬報1位を獲得している。

  今回のIVCの廉価版はいいです。[イワン雷帝]や[道]等、世界の名作が1800円です。お薦めします!