[ロング・グッドバイ] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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  ロバート・アルトマン監督。レイモンド・チャンドラー原作。リー・ブラケット脚本。ヒルモス・ジグモンド撮影。ジョン・ウイリアムス音楽。73、アメリカ映画。

 前に野良犬さんのカンヌの日記に書かれ、見たいと言われていた作品で、70年代のトピで桜痴さんもあげて頂いたので、今回見直した。 正直、原作の大ファンの僕は、これを最初に見た時は違和感が強く。拒否反応の方が先に立った物だが、見直してみるものだ。これが実に面白い。ハリウッドの異端児・アルトマン流の原作とは真逆の解釈、70年代への絶妙な置き換えがハマり、見事にアルトマン印のウィットに富んだ[大いなる別れ]になっている。

 元からこの企画は、ハワード・ホークス監督、ハンフリー・ボガード主演で映画化権が買われ、お蔵になっていた物を、リー・ブラケット女子が書いたまったく斬新な脚本を読んだアルトマンが痛く気に入り、結末をこの脚本から変えないことを条件に、監督を引き受けた物で、いかにもアルトマンらしいエピソードだ。

 物語。ロサンゼルスの事務所で深夜3時、ニコチン中毒の探偵フィリップ・マーロウ(エリオット・グールド)は猫の餌さを買いに行くハメになる。だが、猫と入れ換えに訪ねて来たのは親友のテリー(デイウ゛ィット・アーキン)で、夫婦喧嘩の末、頭を冷やすためメキシコに行きたいというテリーの申し出で、マーロウは翌朝彼を空港に送るが、帰ったマーロウを待っていたのは妻殺しの容疑でテリーを追う警察だった。非協力的なマーローは投獄されるが、テリーがメキシコで自殺。釈放される。
 そんなマーローの事務所を書けなくなった作家・ロジャー・ウェイド(スターリング・ベイル)を探して欲しいと妻のアイリーン(ニーナ・ウ゛ァン・パラント)と依頼。残されたメモから、調査を開始する。
次にマーローをマーティ(マーク・ライデル)・一家が手荒に歓迎する。テリーが25万ドルを持って逃げ、その有りかをマーローが知っていると勘違いしたからだ。
 行き詰まったマーローは、テリーの死の事実を調べにメキシコへ飛ぶ。
いくつかの事件はやがて微妙に絡み合い。衝撃の結末にマーローを導いていく…。

  アルトマンのウィットを利かしたギャグが、案外皮肉屋のチャンドラーの世界に合っていて驚き。
 アイリーン宅ヘ向かうガードマンのスチュアートやブレナンの物真似には笑えた。
 ラストはあの名作[第三の男]のオマージュになっているのだが、どこかアンチ・ハリウッドの匂いを感じさせ、アルトマンの異端ぶりを十分に感じさせる仕上がり。

 近い内に、ディック・リチャーズ監督[さらば愛しき女よ]をチャンドラーの正当的な映像として見直すつもりです!

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