[いとこ同志] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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  クロード・シャブロル監督・脚本。アンリ・ドカエ撮影。ポール・ミスラキ音楽。59、フランス映画。

 本当は、パープルさんがご覧になった、シャブロルの三部作。(紀伊国屋より発売)が見たかったが、レンタルにある筈もなく。DVDで見れるのは最も著名な本作のみ。未見だったので見た。

 日本の中平監督[狂った果実]の影響を受けたシャブロルが撮った長篇第二作。実に鮮烈な作品だ!

 田舎から出てきた勤勉、実直な青年・シャルル(ジェラール・ブラン)と、その従兄弟で不自由なく都会で放套三昧に女を引き込むポール(ジャン・クロード・ブリアリ)、対象的な二人が、織りなす青春の苦悩と恋、そして皮肉な運命。アンリ・ドカエの名キャメラを得て、鮮烈なモノクロームが二人の光と影を実に見事に浮き彫りにしていく。まさにヌーベルバーグの夜明けを告げるシャブロルの秀作。

 二人の間に入り、シャルルと恋に落ちながら、ポールに身を委せるフログレスを演じるジュリエット・メニエルの妖しい色気。そして何より、ジェームス・ディーンを彷彿とさせるシャルル役のジェラール・ブランの苦悩の表情がいい!

 物語。58年8月パリ。シャルルは法学士の試験を受けるためにパリに住む従兄弟、ポールを頼って一緒に住み始める。勤勉で母思いのシャルルが状況を手紙にして送る側で、何不自由のないポールは女達を招き入れ、遊興三昧。 ジュヌビエーブを妊娠させ、悪友・クロウ゛ァス(クロード・セルウ゛ァル)に処分させる。

 学生クラブのパーティで、シャルルはフロランスに一目惚れ。男性経験もある彼女だったが、その実直さに心惹かれる。 しかし、シャルルが誘ったデート時間を2時間間違えたフロランスをクロウ゛ァスが巧みにポールと結びつけ、二人は同棲することになる。
 二人の仲を見せ付けられながら、古本屋の親父に励まされたシャルルは学問に打ち込むが、要領のいいポールは学士試験に受かり、シャルルは落第してしまう。
  絶望したシャルルは学生証を捨て、ポールのコレクションの拳銃を手にした…。

 ポールのような何事にも要領がいい人間はいるもの。パーティは、自分の学生時代のコンパ等を思い出し(映画の方が優雅)、23歳のリアルな日常が伝わってきた。青春期の学問、恋に対する葛藤と生き急ごうとする息吹が画面から溢れ出るようなシャブロルの快作です!

 レンタルにあります。お薦め!