[レニー・ブルース] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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映画ブログです。特に70年代の映画をテーマで特集しています。また自作の小説、シナリオもアップしています。

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  ボブ・フォシー監督。ジュリアン・バリー原作、脚本。ブルース・サーティーズ撮影。ラルク・バーンズ音楽。74、アメリカ映画。

 70年代の映画から、今週のマキャさんの御題でもあり、ACDCさんのお薦めもあり、未見だった本作を見た!
 何という鮮烈な映像。サーティーズの乾いたモノクロームが50年代後半から、60年代。言葉で社会を切り裂いたジャンキーなスタンダップ・コメディアン、レニー・ブルース(ダスティン・ホフマン)のその数寄な人生を赤裸々に綴っていく。
 フォッシーは麻薬に溺れた妻でストリッパー・ハニー(ウ゛ァレリー・ペイン)と、マネジャー、アーティ(スタンリー・ベック)、母サリーマー(ジャン・マイナー)の証言から、人間社会の偽善を暴き、政治的問題の告発を訴えるレニーの過激なステージを再現。また、若き日からの乱れ、親から反対された結婚、離婚に至る私生活までを捉えていく。妥協を許さない視点で描かれるレニーの異端な人生を通じ、アメリカ社会の腐敗を暴き出している。

 物語。51年。ボルチモアでストリッパー・ハニーと出会った売れないスタンダップ・コメディアン・レニーブルースは周囲の反対を押し切り、結婚。ダブル・キャスト・コメディをやるが受けない。
 車の事故、ハニーの退院からロスへ移る。この頃からレニーの浮気が目立ち、ハニーは娘・を出産するが麻薬で逮捕離婚される。 生活の荒みが、レニーのステージをどんどん過激にし、下ネタによる逮捕も体験しながら、アイゼンハワー、ケネディ、教会、ベトナム。現代アメリカの抱える問題を毒舌に込めた風刺の精神で攻撃。彼を一躍、時代の寵児に載し上げていく。
 彼が目立つ程、司法は彼に監視をつけ逮捕は繰り返され、やがて元妻の出所から麻薬に填るレニーは裁判にも疲れ、言葉の自由も奪われ悲劇的な末路を…。

 60年代後半のベトナムに向かう激動の時代を言葉を武器に駆け抜けたレニーの叫びが見る側の胸に突き刺さる。ダスティン・ホフマンの好演は勿論、彼を愛し見つめ続けたジャンキーな人生を送った妻・ハニーを演じたウ゛ァレリー・ベインはこの熱演で、カンヌの女優賞を受賞した。
 フォッシー魂の力作。お薦めします。
 DVDは廃盤かも知れませんが!5000円前後です。