[ローマでアモーレ]鑑賞記 | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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   ウディ・アレン監督・脚本・主演。ダリウス・コンジ撮影。12年、米・伊・スペイン合作。

  ロンドン、パリ、ローマ今回のウディ・アレンの三部作の中では、底抜けに明るく一番笑えた。だが中身は一番薄かった。

  60から70年代イタリア式艶笑喜劇をアレン流にアレンジ。ローマの名所にオールロケを敢行。自らの出演を始め、オールスターキャストで描かれる愉しく陽気な4つのエピソードが同時進行で展開される。

 まるで恋愛小説のように、旅行先のローマでイケメン弁護士ミケランジェロ(フラウ゛ィオ・パレンティ)と婚約したヘイリー(アリソン・ビル)は、元オペラの演出家ジェリー(ウディ・アレン)と精神科医の母親フィリス(ジュディ・デイウ゛ィス)を会わせる。ミケランジェロの父親ジャンカルロ(ファビオ・アルミリアート)の美声に目を付けたジェリーは彼を担ぎ復帰を画策するが、ジャンカルロは何故かシャワーを浴びている最中しか美声を出せなかった……。

 田舎育ちの新婚カップル、アントニオ(アレッサンドロ・ティベリ)とミリー(アレッサンドラ・マストロナルディ)が、新生活を始めようとローマにやってくる。ミリーが美容院に出掛け迷子になり、アントニオの部屋にはとんだ人違いでコール・ガールのアンナ(ペネロペ・クルス)が。そこにタイミング悪く親戚一同が現れ、アンナはミリー役を演じることに。一方ミリーは憧れのスター、サルサ(アントニオ・アルバネーゼ)と出会い誘われて……。

 アメリカ人建築士ジョン(アレックス・ボールドウィン)は、30年前に住んだトラスウ゛ェレを訪れ、建築家志望のジャック(ジェシー・アイゼン・バーグ)と出会う。彼は恋人サリー(グレグ・ガーウィグ)と暮らしていたが、サリーの親友で売れない女優モニカ(エレン・ペイジ)が転がり込むことになり、ジョンは状況を冷静に判断しながら警告するが……。

 ローマ在中の中年男レオポルド(ロベルト・ベニーニ)は、平凡なサラリーマン。愛妻とふたりの子供と地味な人生を歩んできたが、ある日、突然日常が一変する。マスコミやパパラッチに囲まれ、わけがわからないままニュース番組に出演。ローマで一番の有名人になってしまうのだが……。

 それぞれのエピソードはパターンがあるわけではなく、絡むわけでもないが、交通誘導の警官を語り部に次々にエピソードが紹介されていく。
 ボールドウィンが出てくる三角関係の物語では、彼が演じる建築士はその見聞役を務め、まるでジャックの心の声のように忠告を与える。
 またベニーニのエピソードでは彼が何でいきなり有名人になったのかという説明一切なく。まるでシュールな夢物語のように話が展開していく。
 どのエピソードも腹を抱えて笑える面白さで、特にアレン自身が登場する話がシニカルで一番笑えた。


 映画としての出来はイマイチだが、数々のオペラを音楽として挿入。恋愛における教訓話として、気軽に楽しんで頂ける作品。

 劇場公開中。

 ウディ・アレン。[ミッドナイト・イン・パリ][アニー・ホール]等。