[スコルピオ] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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  マイケル・ウィナー監督。 デウ゛ィット・W・リンテルズ原作・脚本。ジェラルド・ウィルソン脚本。ロバート・ペインター撮影。ジェリー・フィールディング音楽。73、アメリカ映画。

 ドロン祭り第2弾です。紀伊国屋の叩き売りのおかげで半額で買いましたが、これは思わぬ拾い物でした。
 何せ、ドロンとランカスターが[山猫]以来のコンビを組んだCIAの陰謀を描くスパイ物です。
これを昔テレビで見た時は、脚本が巧緻なために映画の構造を理解出来なかった。今、見るとCIAで長年コンビを組んだクロス(バート・ランカスター)が、国家や組織の在り方に疑問を感じソ連側に情報を流す二重スパイで、相棒のスコルピオと呼ばれる怜利な殺し屋・ローリエ(アラン・ドロン)が、彼の暗殺を命令され、パリ-ワシントン-ウィーンと諜報戦を展開される実にスリリングな物語。 ウィナーは第2次大戦以後、ソ連に対抗するため、暗躍させたCIAの在り方、また各国に参戦した国家その物に対する批判を、クロスに語らせており、良く撮影が許可されたと感じさせる。
 またクロス夫人サラ、ローリエの恋人スーザン(ゲニル・ハニカット)を巡り、映画は急展開、悲しき結末へと向かって行く。
面白い。実に良く出来ている!

 物語。CIAはパリのオルリー空港にてアラブ謀国首相の暗殺を長年エージェントを務めるクロスとスコルピオと仇名されるローリエに依頼する。この際、CIAは、クロスが情報をソ連側に流しているとして、クロスの殺害をもローリエに命じていたが、古い相棒を殺すことは出来ない。
 事前に情報をキャッチしていたクロスは最愛の妻・サラに別れを告げ、各国を渡りウィーンに至る逃亡の旅に出る。
 CIAは、恋人・スーザンとの逢瀬を楽しむローリエの元に踏み込み、麻薬不法所持で逮捕。30年の禁固と引き替えにクロス殺害を迫る。ローリエは、クロスの後釜に自分を据えることと2万5千ドルを要求。了承する。
 クロスがソ連の諜報部員ザーコフ(ポール・スコフィールド)を頼ることを知るローリエは、ウィーンに飛び対峙するも逃がしてしまう。
 CIAのボス・マクラウド(ジョン・コリコス)は、クロスの行方を探るために、妻・サラの電話を盗聴。国会図書館での連絡を知る。そのフィルムを見ていたローリエは、衝撃の事実を知る。
 マクラウドの派遣した男達は、サラを撃ってしまい。復讐に燃えるクロスはワシントンに現れる。いよいよクロスとローリエの運命の対決と、衝撃の事実がもたらす悲しき結末が…。

 ドロンは殺し屋が似合う。[暗殺者のメロディ][サムライ]そして、本作では猫を愛する殺し屋を演じる。全編、英語なのて、吹き替えか本人も喋れるので判断がつかないが、どの国で映画に参加しても、ランカスターという共演者を立て、彼の魅力を殺さないドロンの受けの演技を存分に見せてくれる。
 大戦から朝鮮、ベトナム、キューバと戦いの影に常に暗躍するCIAという組織の人間性を無視した、非情な冷徹さが伝わってくるスパイ・アクション。
秀作です!DVDは、1900円で買いました。