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「皮膚科が石けんを勧めるのだから、
石けんが肌に一番良いに決まっている!!」
というのは大昔から繰り返される
「洗剤」
をめぐる争点の一つです。
「合成洗剤」と「石けん」
に関しては古くからその優位性の議論が繰り返され、
洗剤を研究する専門の有識者の見解としては
既に何十年も前にこの結論は出されているにもかかわらず、
(洗剤の安全性・環境適合性 日本石鹸工業会)
日本という国では現代でも
石けんVS合成洗剤
という議論は主にインターネットを中心に水面下で続けられています。
→「石けん」と「合成洗剤」 ~洗剤論争の結論~
この議論が飽きられない理由の一つに、
上で紹介したように
皮膚科ではほとんどの場合「石けん」が勧められる
ということが挙げられるでしょう。
実際に皮膚科や美容外科医の書く書籍では、
兎に角「無添加石けん」が推されます。
医者が石けんを推すのですから、
「一番優れた洗剤は石けんなんだ!」
そのように一般消費者が勘違いしたとしてもなんら不思議はありません。
しかし実際のところ
洗剤を専門で研究している我々から言わせてもらえば、
石けんよりもはるかに生体適合性の洗剤は
既にいくつも開発されており、
しかも既に多くの化粧品として商品化もされています。
なぜ医者はそのような類の洗剤を無視して
「石けん」ばかりを推すのか・・・。
今日は僕なりにその点について考察してみました。
あくまで僕個人の考察に過ぎないのですが、
良ければお付き合いください。
◎石けんはどれくらい肌に優しい?
僕の持っている資料だと、
『洗剤の毒性とその評価』(厚生省1983)では、
純石鹸の単純な一次刺激はAS(ラウリル硫酸Na)より強い場合がある
というような実験結果が書かれている文献も紹介されていますし、
逆のパターンもあると記されている場合もあります。
ちょっと見にくい資料ですと、
↑こんなのもあるんですけど
わかる方だけ大きくしてご覧になってください(^_^;)
C=12(ラウリン酸原料)の場合の比較では、
石けんの刺激はラウリル・ラウレス硫酸Naに次ぐ形になっています。
少なくともアルカリ性という単純刺激を持つ以上、
石けんが
皮膚の創傷などに沁みない低刺激性の洗剤 ではない
ということはまず明らかかと思われます。
(傷に石けんは大変痛みますし、目に入っても痛みますよね)
しかし石けんの場合は
pHが酸性側に傾けばその界面活性が失われる
つまり
皮膚表面の弱酸性条件では洗剤として働かなくなる
という特性があるため、
皮膚に残留しても長期的な刺激を与えない
というメリットがあるわけです。
それらを相対的に判断すると、
石けんは洗浄時には刺激があるが、
肌に残留しても大きな問題にはならない。
という点で、
肌の洗浄に関して言えば
ラウリル硫酸Naやラウレス硫酸Na含め、
その他の高級アルコール硫酸塩型の多くの洗剤に比べると
比較的まともな洗剤と評価できるでしょう。
(なのでかずのすけが評価すると、
肌洗浄の洗剤では石けんの皮膚安全性は★★★の評価になります)
◎石けんの安全性は並=健康な肌の人ならほぼ問題なし
つまり
石けんはよっぽど問題のある洗剤よりは良い
という理解ができるわけですね。
健康な肌の人で、
スキンケアの方法を間違えてしまった人や
ちょっとしたホルモンの乱れでニキビなんかをこじらせてしまった人なんかには、
無添加の石けんを勧めておけばとりあえず無難なのです。
また純石けんには「感作性」(アレルギー)は基本的に否定されているので、
その洗剤によってアレルギーを発症するリスクも一気に小さくなるわけですね。
◎市販の洗顔やボディソープのほとんどが石けんより悪い
また
市販の安い洗剤の多くは
ラウリル硫酸Naやラウレス硫酸Naなど
洗剤としての一次刺激が比較的大きく
残留後の刺激が懸念されるものが主原料となっています。
これらの洗剤は洗浄時の一次刺激も強く洗浄力が高い上
残留した場合皮膚上でも界面活性作用がなくなりません。
長期的に刺激を与え続ける懸念があるということですね。
最近ではαオレフィン型の洗剤(オレフィンスルホン酸Naなど)
が台頭していますが、
刺激や洗浄力の点ではラウレス硫酸Naあたりとさして変わりません。
これらの洗剤が事実上市場の洗剤の8割くらいを占めているのですから、
結局は
ほとんどの市販洗剤に比べれば石けんの方がマシだ
と評価できるわけです。
◎医者が石けんを勧めるワケ
まずなによりは
これまで「石けん」という化学物質を何百年と使用してきて
人間に対して大きな健康影響が出た記録がない
=安全性が高い確率で保証されている
ということが大前提にあると思います。
医療の現場ではそういった臨床記録が何より重要視されます。
そしてさらには上で解説したように、
多くの市販洗剤と比較すればまともな洗剤であると評価できる点
も重要だと思われます。
医者が石けんを勧める理由を、
あえて肯定的に考えた場合は
このように結論することができるのではないでしょうか。
つまり石けんは「並」な洗剤ですから、
「悪い」洗剤を使ってきた患者に対しては
ある程度改善が見込めるということになりますね。
実際に僕も以前市販のボディソープを使っていて、
アトピーがもっとひどかった時代がありました。
その時に石けんベースのボディソープにしたら、
症状がある程度緩和した経験があります。
なるほど、ある程度一定の条件であれば
石けんが肌環境に比較的優しく働く洗剤という皮膚科の常識は、
まぁあながち間違ってはいないのかもしれませんね。
しかし重要なポイントが実はもう一つあります。
これは医者が石けんを勧める理由を、
少し否定的に考察した場合の話になります…。
少し長くなってきたので、
これについてはまた今度お話出来たらいいなぁと思います。
ちょっとブラックトークに近くなるので、
ぼやき扱いになりそうですけどね(苦笑)
→医者が石けんを勧める理由…の裏話
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