歓喜院聖天堂
建造物の国宝は関東、東日本は少ないです。
関東に8ヶ所、東北に5ヵ所、それに引きかえ京都や奈良はそれぞれ50を超え、東低西高が際立っています。古代から近世まで都は常に奈良・京都にあり、明治になり東京遷都になっても文化の歴史は圧倒的に西が長いのですから当然なのでしょう。
そんな中で埼玉県にひとつしかない国宝「歓喜院聖天堂」に行ってきました。
鎌倉時代に創建され何度か火災などで焼失するも、現在の建物は1760年に再建されたものです。この経過は、平成の大修理といわれた2004年から2011年にかけて解体修理した際に柱や彫刻に刻まれた年号から判明しました。
極彩色の奥殿 塀で囲われ有料エリア(700円)
その極彩色の装飾性から日光東照宮を思わせますが、日光が官製の造営に対して歓喜院はこの地(妻沼)に住む庶民の浄財によって25年の歳月をかけて完成されたものだそうです。
建物に施された彫刻も戦いを描いたものはなく、「琴棋書画きんきしょが」といわれる文人における必須の教養や風流事が描かれていたり、こどもの相撲など平和な日常の世界がテーマとなっていることも対照的です。
左甚五郎や若冲を思わせる動物も江戸の同時代性を感じます。
貴惣門も国指定重要文化財です。
近世装飾建築、彫刻技術の高さから国宝指定されたこの建造物を360度パノラマ映像で見られます。(施工した小西美術工藝社のHP)
歓喜院はその名 の通り、縁結びの神、聖天様です。
境内には縁結びに因んだいなりずしの名店や、田山花袋の小説の舞台になった川魚料理の「千代桝」などさすが歴史ある風情の店が並んでいます。
友人と千代桝で縁結び定食(うな丼と稲庭うどん、この組み合わせが縁結び?)をいただきました。うなぎは美味でした。
近くにある国宝、一見の価値がありました。
(この項、おわり)