プエルトリコ旅行(5)エル・ユンケ国立公園 | Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

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エルサルバドルに単身赴任中(7/15~8/5一時帰国)。
気候が良く日本より健康的な生活を送っています。
ドライブ旅行をぼちぼちしていますが、
この国で最も注意すべきは交通事故。
今や治安以上に大きなリスクです。

なおヘッダーは2020年に新潟県長岡市にて撮影。

プエルトリコに来て、元々はサンフアンの他に第二の都市ポンセに行こうかと考えていたのですが、現地入りして二、三の人から得た情報によると、さほど遠くない――約120キロですから、ドミニカ共和国のサントドミンゴーサンチアゴ間の160キロより少し近いです――割に、アクセスが悪い。

そのサントドミンゴーサンチアゴ間には頻繁に長距離路線バスが運行していますが、サンフアンーポンセ間にはそのようなバスは走っていないとのこと。また、一日ツアーも、全くないわけではないと思いますが、かなり限られているようです。しかも、レンタカーを運転して自力で行くよりはるかに高いはずです。

レンタカーを借りるにも、私は今回の海外赴任に際して、国際運転免許証を取得していません。エルサルバドルでは国際免許証は使えず(エルサルバドルはジュネーブ条約に入っていない)、日本の免許証を元に、現地の免許証を発行してもらっています。

という訳で、ポンセ行きは諦めて、他に何か面白そうな現地ツアーはないものかと探したところ、見つけたのがエル・ユンケ国立公園 (Parque Nacional El Yunque)。「国立」とありますが、この「国」は勿論アメリカ合衆国を指します。

幾つかの候補から内容的にも料金的にも妥当と思われたのが、viator という名のサイトで一番人気のカジュアル・ワン (Casual One) という会社が主催している、ビーチとセットになったツアー。この時期で80ドル(約12,400円)。ちなみにこの記事を書いている時点でサイトを再確認したら70ドルでした。つまりイースター休暇だと10ドル高いということなのでしょう。

更にこのツアーにした大きな決め手は、集合場所の一つが宿のすぐそば、歩いて1、2分の所にあるカサルタ (Kasalta) というベーカリー兼レストランの前なんですよね。絶好の位置です。早速、プエルトリコに着いた3月28日に宿の部屋からネット予約しました。

そして3月30日(土)。じゃあ。行きますか!

 

 

でも、私の泊っているビジャ・エシュタは素泊まりです。まずは腹ごしらえを。この機会なので、カサルタで朝食を取ることにします。

 

 

ファーストフード屋のようにセルフサービスになっています。おお、人が並んでいる! 商売大繁盛だ、これは。

並んでいる人々の間で交わされている会話を耳にすると、やはり外国人観光客が多いようです。英語・スペイン語以外の言語が飛び交っています。

 

 

私はハムとスイスチーズのサンドウィッチ(9.50ドル=約1,450円)を注文。これでもメニューの中ではかなり安い方なんですよ。それとアメリカン・コーヒー2.30ドル(約350円は日本の感覚からしても妥当か?)。

……嗚呼、500円から700円の価格帯の、ドトールコーヒーのミラノサンドが懐かしい!

確かにミラノサンドよりも多少はボリュームがあるんですけどね。

宿泊や交通の料金と言い、食事の料金と言い、インフレ、円安、アメリカの物価の高さをすべて合わせて、大雑把に言って、あらゆる物の価格が日本の倍くらいと言っていいでしょう。

うまくバスに拾ってもらえるだろうかと若干の不安を感じましたが、私の待っていたカサルタの前に数分遅れで約20人乗りの小型観光バスが停まると、ガイド兼運転手の男性は難なく私を同定(まず私の名前からして西洋語っぽくないので、非西洋語圏の人間ということで簡単に分かります)。私も「Casual One か?」と聞くと、「そうだ」と答えたので、すぐにバスに乗り込みました。

 

 

この後に別の場所でも客をピックアップしたバスは、20人弱のグループ、すなわちバスがほぼ満員の状態でサンフアンを出発。その数十分後、最初に到着したのが、目的地にほど近いルキージョ (Luquillo) にあるフローレス果物屋 (Frutería Flores)。ほぼ幹線道路沿いにありました。

 

 

ショーケースには、こんな風に菓子パンの類が並んでいました。パステリート (pastelito)、つまり「小さなケーキ」と呼ばれているそうです。

 

 

こんな所で余分なカロリーと糖分を摂取したくない私はパステリートはやめて、しかしせっかくだから何か口にしたかったので、マンゴー・スムージー(7.49ドル=約1,150円)を注文。その場で拵(こしら)えてもらいました。

やや余分めに出来た、その余りも小カップに入れてサーブしてもらいました。

それでも、やっぱりこの値段は、上述の①インフレ、②円安、③アメリカの物価の高さ、に加えて、④観光客価格というのがあるんでしょうね。

「今回の旅行はそういうものだ。高くつくのは承知の助」と割り切るしかありません。

味ですか。マンゴーとミルクが調和して、とりあえず甘くて美味しかってです。

 

 

で、そこからしばらくバスが進むと、着きました。エル・ユンケ国立公園です。

しかし、例えば密林の探検とか私の好きな野鳥探索で林を不規則な歩みで進むとか、そういうことはしないようです。到着したのは、国立公園のエリアに入ったすぐの所にある「ザ・パイラス (The Pailas)」という名のウォータースライド、つまり川の滑り台でした。

実は、これが今回の「チョンボ」の伏線でした。

もちろん、「水遊びがあるからその準備はしておくように」との通知を WhatsApp で受けていました。だから私も準備は万全、初めからトランクスの下着を着けずに海水浴パンツを履いて、その上に何気なく短パンを着けてバスに乗り込んだわけではありませんか。

いざ、ウォータースライドに向けて、一行は国立公園の森の中を進みます(と書いていますが、観光客向けに拓けていて、しかも公園内の端のほんの短距離の道を歩いているだけなんですけどね)。

 

 

川まで行く短い道の道端に生えていたのは、おっ、これがバスを降りた直後に「触ると痒(かゆ)くなって危険だから注意」とガイドが言っていた、あの、名前は忘れたが恐ろしい毒草か!

彼も指さして、「これがその草だからね」と我々一行にしっかりと注意します。

シニカルに考えると、これもツアーの演出の一つかもと思ってしまいます。私が小学生だった頃の人気番組「水曜スペシャル」で、川口隊長が「ハブがいるぞ、気をつけろ!」みたいなことを言っていたのを思い出します。

 

 

着きました。ほんの200mか300mの「探検」の後に、ラス・ピラスの川辺に着きました。

もっと探検的な、あるいは自然観察的なツアーを期待していたのだけれども、若干レジャー施設的な雰囲気を感じさせます。

 

 

でも、まあいいか。ほら、お兄さんも、うつ伏せでスライドしてますよ!

 

 

このお兄さんなんか、ロープを使ってダイビングだ!

 

 

これがまさに天然ウォータースライド。顔はよく見ませんが(更に画像ではモザイク加工をしていますし)、満面の笑みを浮かべているであろうことは容易に想像できます。

一行はこのスライドに誘(いざな)われ、私を含む、恐らく全員が滑り下りて愉しんだのでした。

まっ、大したことない斜面ですし。

 

 

と思ったら、次にはガイド、その上のウォータースライド・スポットに一行を連れて行くのでした。

ここの方が、迫力200%!

もちろん私も、最初の「やわ」なウォータースライドを難なくこなし自信をつけたので、次のもう少しタフな方に挑みました。

自分の番が回ってきていざ滑り出すと、上から送り出したガイドが「上半身を立てて!」と言うので、寝そべって滑っていた体を慌てて起こします。すると確かに抵抗力が増して、スピードがコントロールできます。

 

そこまでは良かった。

そして着水! ドボーン!

すると頭部まで水中に入り、「まずは安定状態を」と思って川底にしっかり足を着けて立った瞬間。

あっ、かけていた眼鏡がない!

しかし川の流れの中で、次の人が滑り落ちて来るのを目前にして、落とした物を探すのは容易ではありません。

この状況で見つけるのは厳しいと判断し、諦めて川岸に待機します。「やわ」な方で安心して眼鏡をかけたままタフな方を滑ったのが油断でしたし、そもそも眼鏡をかけてウォータースライドをしたのが間違いでした。

でも、ガイドのお兄さんも眼鏡をかけて滑っていたのがフェイントだったんだよなぁ……。

 

もちろん彼のは無事でした。

後悔しつつ他の人の滑るのを待っていると、私の後に滑った男性が、「眼鏡があったけど、あなたのか?」と。

おお、なんとラッキーな! 「そうだ、ありがとう!」

「でも、壊れているよ」

彼が差し出したメガネのフレームは、右の柄が根元からポッキリ、完全に折れて脱落しています。そして脱落した部分は川の流れに埋もれてどこへやら。

 

 

この眼鏡、2月にエルサルバドルの海岸で前のを波にさらわれて3月初めに新調し、それからこのような状態になるまで、わずか3週間の命だったのでした。前回と似たような場面でまた眼鏡を失ってしまいました。何も学習していない。馬鹿だ、私は!

これがプエルトリコでしたチョンボです。

今回の損失により新調した眼鏡は400ドル強、日本円で6万円強ですので、ハンパない損失なんですが、まあ、こういう性分なんですから反省のしようもなく、予め想定しておくべきなんでしょうかね。

でも多少の物損、つまり金銭的な損失で済んでいるあたりは、大事(おおごと)のない、無事な海外生活・海外旅行と言えるのでしょうか。

心身共に無事であるのは何よりと考えることにします。