ドミニカ共和国旅行(8)国立植物園 | Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

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エルサルバドルに単身赴任中。
気候が良く日本より健康的な生活を送っています。
ドライブ旅行をぼちぼちしていますが、
この国で最も注意すべきは交通事故。
今や治安以上に大きなリスクです。

なおヘッダーは2020年に新潟県長岡市にて撮影。

サントドミンゴ地下鉄2号線のフランシスコ・グレゴリオ・ビジーニ駅を降りて地上に出て、そこから日差しの強い街中を歩くこと20分。

 

 

着きました、植物園です。正式名はラファエル・マリア・モスコーソ博士国立植物園 (Jardín Botánico Nacional Dr. Rafael María Moscoso)。入口に人が並んでおり、結構混んでいそうです。

 

 

入園料は大人200ペソ(約510円)。チケット販売所の外壁には各国語で歓迎の言葉が。上から、西、英、仏、伊、独、そして、おっ、「Yōkoso」って、日本語もあるではないか!

プレートの色が違うから、いかにも後から付け足したっぽいけれども、それでも、少なくとも中、韓には勝っているぞ。

それもそのはず。下にお見せするように、ある日本人の貢献により、植物園には日本庭園もあるのです。更に昨今のマンガ・アニメ文化の世界的流行のためでもあるのでしょう。

 

外国で日本人・日本語に対する認知度が上がっていることを、私は喜ばずにいられません。

ついでに言うと、ブラジルやペルーほどではないけれども、この国にも日本人入植者がいて、コロニーがあるそうです。彼らのたどった悲惨な歴史については、ウィキペディア「日系ドミニカ人」に詳しいです。

 

 

正面入口を入った所には池が。確かに色々と植物が植えられており、説明書きもありますし、環境教育施設や環境保全施設もありますが、このような池や噴水があったりして、全体としては植物園というより「でっかい公園」という印象です。

 

 

 

蘭、多肉系、果物の苗などの園芸植物販売イベントが開かれていました。たくさんの人が訪れているのは、このイベントのためのようです。

軽食や飲み物を売っている露店も10軒くらい出ていて、その中に日本人の若者がやっている店が一軒あったので、帰りがけにコーラを買って飲みました。忙しそうにしていて、私のことを若干警戒しているようなオーラを出していた(と私は感じた)ので、ただ彼が日本人であることを確認し、名前を聞いた程度で、大した会話もしませんでした。その名前も忘れてしまいました。

大雑把に言って、1.3キロ四方の広い敷地の植物園。その北西部に日本庭園があります。園内にはシャトルカーが往来していますが、大した距離ではありませんし、待つのも時間がもったいないので、私は歩いて向かいまた。

 

 

途中に「教育トレイル (El Sendero Educativo)」という名の付いた、小道を巡らせてあるコーナーがありました。コロンブス以前の時代からコロンブス上陸後に亘(わた)る植物相や農耕・住居の変遷を紹介しています。私はここを探索せず、日本庭園へと急ぎます。

 

 

 

歩きながらも、森を飛ぶ野鳥が気になります。これはマネシツグミ (Northern Mockingbird)。野鳥データベースである eBird によるとアメリカ合衆国のほぼ全土に分布し、西インド諸島にも広く分布しているようですが、エルサルバドルでの報告例は少ないようです。

 

 

どこにでもいそうな赤い頭のキツツキが木に留まったと思って撮影して後で調べると、ヒスパニオラシマセゲラ (Hispaniolan Woodpecker)。イスパニョーラ島にしか分布しないキツツキではありませんか!

後ろ姿で今イチの写真ではありますが、我が野鳥コレクションに貴重なエントリーがまた入りました。

 

 

マミジロミツドリ (Bananaquit)。コロニアル地区を散策している時にも見つけて撮影しましたが、今度は赤い口もはっきり見えて、鮮明な写真を撮れました。

 

 

果たして1キロ程度歩くと、この鳥居。もう日本庭園だと一目瞭然ですね! 園内ではそこそこの人気スポットのようで、結構多くの人が訪れていましたし、長時間(確か15分以上だったか?)居座らないようにとの掲示がありました(が、ほとんどみんな無視して居座っていました)。

 

 

鳥居をくぐると足元にご覧の肖像が。松永護(まつながまもる)(1936-2016) という柔道家で、ウィキペディアの英語版――なぜか日本語版やスペイン語版がないのですが――によると「ドミニカ柔道の父」と呼ばれているそうです。

実は、彼がこの庭園を設計したのでした。

私はこの国に来るまで彼 の名を全く知らなかったのですが、当地では最も有名な日本人のようです。

 

 

その彼の作品。中央に池を配し、それをなだらかな芝地の斜面が囲んでいます。

カリブ海の国ですので、植生が日本とちょっと違うのは仕方がない。

 

 

鴨がたくさんいます。こちらはハシグロリュウキュウガモ (West Indian Whistling-duck)。池やその周辺にはワサワサいましたが、ほぼ西インド諸島にしか分布していない鴨で、レッドリストでは「近危急 (Near Threatened, NT)」に分類されています。

 

 

池の中島にはこのように小さな赤い太鼓橋が。

 

 

お、亀が泳いでいますね。

 

 

ダイサギ (Great Egret) がやって来ました。

 

 

背後にノバリケン (Muscovy Duck)、手前にハシグロリュウキュウガモと入り乱れて、芝地をもそもそ歩き回っています。

では、私は長く居座らないで、日本庭園から公園出入口の近くにある園芸植物販売会へと、別の道を回って戻ることにします。

 

 

舗装道路の脇にはこのような芝地が所々にあり、実によく整備されています。

 

 

その辺りを歩いていて見つけた鳥、腹部の強いまだら模様が特徴的なヤシドリ (Palmchat)。イスパニョーラ島のみに分布するそうです。地味な色の鳥ですし、当地にはたくさんいるようですが、国外から来ている私としては、こういう固有種を見つけると嬉しいです。

というわけで、植物園に来たのに、植物よりも野鳥の観察ばかりしてしまった私。

週末の市民の憩いの場になっている大植物園です。