ププセリア・スイサ | Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

エルサルバドルに単身赴任中。
気候がいいので日本よりよほど健康的な生活を送っています。
ドライブ旅行をぼちぼちしていますが、
この国で最も注意しなければならないのは交通事故。
今や治安以上に大きなリスクです。

なおヘッダーは2020年に新潟県長岡市にて撮影。

すぐ近所――自宅から徒歩4分の所――にあって、かねてから行ってみたいと思っていたものの、なかなか機会がなかったププセリア・スイサ (Pupusería Suiza)。地元の人々の間では知られた店で、店名は「ププーサ屋スイス」という意味ですが、同国とは直接の関係はなく、店の公式サイトによると、隣町のサンタ・テクラにあるピナーレス・デ・スイサ団地 (Residencial Pinares de Suiza) が発祥の地だからとのこと。もっとも、この団地名自体は「スイスの松林」という意味ですから、涼しさを表現するためにスイスにあやかったのではないかと思われます。

ププーサ (pupusa) はエルサルバドル人が朝食あるいは夕食に食べるものですが、私は普段、朝食には野菜やヨーグルト、パンといった軽いものを自宅で食べていますし、夕食は大抵酒の肴(さかな)考えて食べています。なので油っぽいププーサは、出張先などで食べることはあっても、日常の食事としてはあまり食べません。それがこの店を訪れることのなかった大きな理由ですが、たまたま3月9日の土曜日、キャベツやキュウリ、ニンジンはあったので野菜は十分に摂れたものの、毎日食べているトマトを切らしていました。これを敢えて自分に対する理由(言い訳)にして、朝食を取りに行ってみようと思ったわけです。

外に出てみると日差しが強く、いつもにも増して暑いです。ネットの天気予報によると、この日のサンサルバドルの予想気温は最低20℃、最高が32℃で、自宅を徒歩で出た9時過ぎ現在で28℃。私の住んでいるエスカロン地区は恐らく気温観測点になっているであろうセントロ地区より標高が250メートルほど高く、気温も2、3℃低いはずなのですが、既に30℃以上に感じます。

なお、自宅内は涼しく、ここに住んで一年余り、まだ備え付けの冷房を使ったことがありません。

 

 

3月はエルサルバドルの国の木であるモモイロノウゼン (Maquilíshuat) の花の盛りです。ピンク色の美しい花が街角を彩(いろど)ります。

 

 

こちらが店舗。

 

 

外観からはそれほど大きな店に見えませんでしたが、中は意外に広く、テーブルもたくさんあります。優に100人は収容できそうです。この時間にも客がそこそこいて、ざっと二、三十人と言ったところでしょうか。一人客も結構います。

 

 

私は半オープンの部屋に。朝の陽ざしが眩(まぶ)しく、また上に書いたように暑いので、もちろん日陰のテーブルに座りました。

店内にはボサノバ風にアレンジした英語ポップスが流れていて、ププーサ屋らしくないと言ったらおかしいですが、そう言いたくなるくらい上品な感じです。曲目は、カルチャー・クラブの「カーマは気まぐれ」、ビージーズの「ステイン・アライヴ」、グローバー・ワシントン・ジュニア(ビル・ウィザースがボーカル)の「クリスタルの恋人たち」など。特に最後の曲は、メロディーを聞いてすごく懐かしくなったものの曲名を知らなかったので、歌詞の "Just the two of us" で検索して分かったもの。

この曲、本当に懐かしい!

 

 

さて、食事です。2枚いただくことにしました。まず、チーズとロロコ (Queso y Loroco) のププーサ。生地には米とメイズ(トウモロコシ)のチョイスがあり、私は米。1.25ドル(約190円)は一般のププーサ屋よりやや高めですが、このレベルの店としては妥当でしょう。それとコーヒー (Café Americano) 1.50ドル(約220円)。

大きなプラスチック容器に入ったクルティード (curtido) を添えて食べます。これはコールスローのピクルスといったところでしょうか。

 

 

中にたっぷりチーズとロロコが入っています。味はややしょっぱすぎる気がしますが、なかなか美味しいです。

このように、手に取って食べます。

ロロコについては以前にも書きましたが、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルで食べられている、同名の植物の、白い花の蕾(つぼみ)です。軽い苦味がありますが、比較的あっさりしています。

 

 

上のチーズ&ロロコは定番中の定番メニューですが、もう一枚のハワイ (HAWAII)(1.95ドル=約290円)はこの店の特製メニュー。私の生地のチョイスは、やはり米。中身は、チーズ、ベーコン、紫タマネギ、それに、これが名前の由来とも言えるパイナップル。2枚同時に同じ皿で出て来るのではなく、このように一枚ずつ出て来ました。

外見(そとみ)は中身によらず同じですが……。

 

 

やはり中身は違います。パイナップルはププーサの具としてはマイナーですが、爽やかな甘酸っぱさを与え、結構合うと思いました。

ご馳走様でした。お勘定にはチップ10%が入っていましたが、更にお釣りの端数8センターボを上乗せ、55センターボをチップにして5.25ドル(約790円)支払いました。

 

 

店を出て、先とは別のアングルから店舗を撮影。今度はサンサルバドル火山のエル・ピカチョ (El Picacho) を背景に。

 

 

店の前の街路に咲くホワイト・バウヒニア (White Bauhinia)。ただ、種としては幾つかあるようで、そのどれかまでは特定できませんでした。

南国の明るい店に来た雰囲気をお伝えすることができたかと思います。