少しでも早くお知らせしようと思ったので、今回は記事の順番を変えて、4月27日(土)に当地サンサルバドルで開催された「ありがとう鳥山明 (¡GRACIAS AKIRA TORIYAMA!) 」と題する追悼イベントについて書きます。これは当国の文化省、日本大使館や日本文化を愛好する幾つかの団体によって共催されたもので、会場はドクトル・ダビッド・J・グスマン国立人類学博物館 (Museo Nacional de Antropología Dr. David J. Guzmán, MUNA)。老若男女、家族連れからコスプレをしたカップルまで、現地の人たちがたくさん来場していました。
夕方の5時から夜10時までの開催で、私が博物館に着いたのは7時半頃。この時間でも博物館の展示室が開いていましたので、ついでに見学してきました。それについては次回の記事に。
さて、催し物の内容は、イラストの展示、ワークショップとコンテスト、墨絵、切り紙、折り紙のワークショップ、それにコンサートなど、色々とありました。更に、イベントに乗じて小物や軽食を販売する露店が幾つも立っていました。
これはフアン・チャールズ (Juan Charles) という当地のイラストレーターによる追悼文。「このちっぽけな賛辞で、君は僕が今していることの主たるインスピレーションになったと言わなければならない。本当に、このことが僕にとってどんな意味を持っているのか、誰のどんな人にも理解できない(ほど大きな意味を持っている)。これほどまでの喜びをありがとう。ドラゴンボールをありがとう。さようなら、アキラ :)」
他のイラストレーターによる作品も、こんな感じに展示されていました。
こちらは墨絵のワークショップ。みなさん、集中しています。私よりもよほど上手く描けているではありませんか。
折り紙のワークショップ。共催団体の一つに、エルサルバドル折り紙クラブ (Club de Origami El Salvador) というのがありました。こんな団体まで存在するのは嬉しい限りです。
手前の女性のように、「亀」の文字の入った服を着ている人を会場で何人も見かけました。それどころか、街角で見かけたことも何回かあります。
習字のワークショップ。当地に赴任している国際協力機構 (JICA) 海外協力隊ボランティアの方たちが指導していました。「空」とか「悟」といった文字のほか、「カルラ」「かるら」なんて感じに、自分の名前をカタカナやひらがなで教えてもらってそれを書いて喜んでいる姿も。
イベントの最後、9時からは小コンサートです。数百人の観客が座っており、用意された椅子の7、8割と、ちょうどいい感じに埋まっています。
前半は海外協力隊のボランティアたちが歌い、後半はアニソンをよく歌う地元の歌手がドラゴンボールの主題歌シリーズを歌いました。
ボランティアの有志グループ、チャラ・テチャラ (CHA-LA TE-CHA-LA)。このネーミングは、『ドラゴンボールZ』のオープニング主題歌である「CHA-LA HEAD-CHA-LA」に、多分、彼らが活動しているチャラテナンゴ県 (Departamento de Chalatenango) を掛けているようです。
正直に申し上げましょう、彼らの歌は、まあ、歌手ではないから上手くないのは仕方がありません。しかし「頑張っている」感があり、それが観衆に伝わって、手拍子をしたり挙げた手をリズムに合わせて振ったりと、大盛況でした。帰りがけ、出演者の一人に「さすがボランティアだね」と言ったら、「できる限りのことはしますよ」と。イベントへの参加とこの言葉は、ボランティアらしくて素晴らしい。
後半はパオラ・グアルダード (Paola Guardado) の歌、アルフレド・ガルシア (Alfredo García) のギターによる演奏。
高音部は歌いにくそうで声を細めていましたが、低音は重厚で、聞かせてきます。
6、7曲くらい歌ったでしょうか。ドラゴンボールのシリーズ番組は、主題歌がスペイン語に訳されて放映されました。なので彼女も基本的にはスペイン語で歌ったわけですが、(元祖)『ドラゴンボール』のエンディング主題歌「ロマンティックあげるよ」では一部、日本語も。
リクエスト曲は、上にも言及した「CHA-LA HEAD CHA-LA」。「チャ~ラ、ヘッチャラ~」のところでは、観客の手拍子はひときわ大きく聞こえます。
では最後に、「ミ・コラソン・エンカンタード (Mi Corazón Encantado)」の動画を。邦題は「DAN DAN 心魅かれてく」で、これは『ドラゴンボールGT』のオープニング主題歌です。ZARD の曲を FIELD OF VIEW がカバーして歌ったもので、それをアコスティックギターの演奏でバラード調にアレンジしてスペイン語で歌うあたり、ジーンとくるほどでしたよ。オリジナルが ZARD というのも、これまた泣けてくる(←後から曲名を調べて分かったことだけど)。
J-POP の一時代を築いた ZARD の坂井泉水も、日本のマンガ・アニメ文化を世界に広めた鳥山明も、今ではこの世の人たちではありません。
RIP(安らかに眠れ)。合掌。