ミス・ユニバース世界大会の翌日はボケロンへ | Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

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エルサルバドルに単身赴任中。
気候がいいので日本よりよほど健康的な生活を送っています。
ドライブ旅行をぼちぼちしていますが、
この国で最も注意しなければならないのは交通事故。
今や治安以上に大きなリスクです。

なおヘッダーは2020年に新潟県長岡市にて撮影。

ボケロン、正確にはエル・ボケロン (El Boquerón)。「大きな口」という意味で、サンサルバドル火山 (Volcán de San Salvador) の火口です。ただし山頂は近くのエル・ピカチョ (El Picacho) と呼ばれるところで、サンサルバドル市内のほぼ全域から見ることができます。恐らく大爆発で、ボケロンの部分は大きく凹んだから、現在は山頂ではないのでしょう。日本で言うなら、磐梯山をご想像していただければよろしいかと思います。

実はこの国立公園でもある観光地。灯台下(もと)暗しで、自宅から車で30分余り、直線距離にするなら6、7キロの近距離にあるにもかかわらず、この国に住んで1年近くの2023年11月まで、行ったことがなかったんですよ。

ミス・ユニバース世界大会が終わった翌日の11月19日(日)。日本代表である宮崎莉緒さんのご両親は帰国の飛行機まで時間がたくさんあるということで(翌日深夜の1時台発でした)、それなら近場の観光地にお連れしようということで、私の提案した選択肢がスチトトと、このボケロン。ご両親は午後早々に莉緒さんに会いたいということでしたから、時間のかからない後者の方にされたわけです。

なお莉緒さんは、残念ながら、いわゆる選外でした。私はあの抜群のプロポーションと身のこなし、純潔そうな表情からして、せめてベスト20くらいは行くのではないかと思ったんですがね。

朝10時。ご両親の泊っているホテルに迎えに行って、そこから約40分。私の運転でお連れいたしました。スズキのジムニーですから、かなり窮屈なんですけど。

この国立公園は非常によく整備されていて、しかも最近整備したらしく、遊歩道など、綺麗そのものです。ゲートで一人2ドルの入園料と駐車代1ドルを支払います。園内の駐車場は数台しか停めることができず、そのためほぼ常に満車で、ゲートの外に幾つも民間の駐車スペースがあるのですが(後日再びボケロンに来た時、そこに停めたところ2ドルでした)、この時は偶々1台出たところだったのか、幸運にも園内に停めることができました。

で、その整備された遊歩道を数分上ると、もうそこは展望台。2層になっており、上の層には床がガラス張りの部分があって、なかなかの迫力です。高所恐怖症に方にはちょっと厳しいでしょう。

 

 

そしてこれが、そこからの火口の眺めです。思ったよりよほど深かったです。

 

 

空も入れた写真の方が、その深さが分かりますね。ウィキペディア(英語版)によると直径1.5キロ、深さは500メートルだそうです。

ご覧のように木が生い茂っています。同じくウィキペディア英語版によると、この火口すなわちクレーターは約800年前の大爆発で形成されたとのことで、直近では1917年に側面の亀裂で噴火しているそうです。また、火山の北斜面には壮大な溶岩流の跡が残されており、その一帯は木々も一切生えず真っ黒です。

 

 

火口自体はこのように緑が豊かですので、当然色々な動物がいるそうです。野鳥の声もそこら中から聞こえます。

空中を悠々と飛翔していたのはクロコンドル (Black vulture)。この国で最もよく見かける猛禽類です。

いつか、野鳥観察を主目的としてこの辺りを散策したいところです。

さて、展望台への往復は遊歩道もさほど長くなく、見学スポットとしては火口だけですので、時間はあまりかかりません。ご夫婦をホテルにお迎えに行く時間を10時に設定したのは、見学が終わったらちょうど昼食の時間だろうと見越してのことでしたが、実際に見学を終えてすぐ近くのレストランにお連れしたのは、12時より少し前でした。

 

 

そのレストラン、フィンカ・サンクリストバル (Finca San Cristóbal)、訳すと「サンクリストバル農園」は、日本人同僚であるいつもの呑兵衛君、いやN君の紹介です。彼は私よりも後にこの国に来たのに、今や首都およびその周辺のレストラン情報は彼に聞けという感じで、情報を集め持っています。彼は私と違って基本的に自炊をせず外食派なので、情報の多いのも当然かもしれません。

 

 

この店のおススメは、料理以上にこの眺望と言えるでしょう。サンサルバドル市街が一望できます。

 

 

背後の中央にはサンビセンテ火山 (Volcán de San Vicente) が構え、その手前にイロパンゴ湖 (Lago de Ilopango) が広がっており、さながら富士五湖を手前に置いて富士山を眺めるような、まさに絶景。

 

 

市街地を拡大してみます。この写真の中央に、空飛ぶ円盤のような、青い筋の入った平べったい大きな建物がありますね。私はよく確認もせずに、「あれがミス・ユニバース世界大会の会場だった国立体育館です」とご夫妻に言ってしまいました。

後でよく調べたら、これは国立スポーツ協会 (Instituto Nacional de los Deportes de El Salvador) でした。ご夫婦に知ったかぶりをして嘘をついてしまったわけです。もしこの記事をお読みになっていたら、この場を借りてお詫び申し上げます。

実はこの写真に私が普段仕事をしている建物、それどころか私のオフィスの窓も写っているのですが、どれだかは内緒。

 

 

もう少しズームアウトした写真をお見せします。先の写真の場所は、この写真の黄色い丸で囲った部分です。そして赤い矢印で示した建物が、本当の国立体育館でした。

 

 

では料理を。メニューはスペイン語のみで書いてありましたので、主だった品を訳してご夫妻に説明しました。私の頼んだのは、鶏胸肉のハラペーニャ・ソースかけ (Pechuga jalapeña)、8.95 ドル(約1,350円)。添え物は幾つかのオプションから2つ選べ、私はライスと野菜サラダを選びました。

 

 

ハラペーニョ(緑唐辛子)・ソースは小さなガラス容器に入っており、肉にかけるとこんな感じ。なるほど辛かったです。

上に料理以上に眺望がおススメと書きましたが、料理も、さほどの高級感はないものの、無難に美味しいです。

食事を終えたのが午後1時。ご夫妻は、自分たちの泊っているのとは違うホテルに降ろしてもらうようにおっしゃいます。娘さんの宿泊しているホテル・インターコンチネンタル・サンサルバドル (InterContinental San Salvador) です。彼女はイベントから解放され、自由時間になっているので会えるとのこと。実は、彼らがこの国で娘さんに直接会うのは、大会そのものを除いては、滞在最終日であるこの日が初めてなのだそうです。同じ便で帰国されるとのこと。

そこで彼らをインターコンチネンタルに送り、せっかくですから、私もご本人に挨拶させていただくことにしました。

部屋から出て来た彼女はサングラスをかけています。ロビーでサインやツーショット自撮りを要求する攻撃に遭いつつも、両親と再会して、お父さん・お母さんのそれぞれとハグします。そして、目が潤んでいるのか、サングラスをずらして軽く目を拭(ぬぐ)ったのでした。世界中から集まった女性たちと異国で一緒に2週間過ごし、大舞台に出て、心身ともに疲れ果てて、そして一夜明けて両親の顔を見たわけなので、緊張の糸がちょっとだけ切れたのかもしれません。推測ですが。

あるいは、最初の選考のトップ20にも残れなかった悔し涙だったのでしょうか。しかし全出場者84人中の20人ですので、各国代表の中の平均以上というだけでは通れないのです。

私は莉緒さんとご夫妻それぞれにマグカップをプレゼントして挨拶し、当然のことながらツーショット。彼女はサングラスをかけたままです。涙目を見せたくないのでしょうか。

そして最後に握手して別れたのでした。

 

 

これがそのツーショットの写真。「オマエの顔はどうでもいいからミス・ユニバース・ジャパンの顔を見せろ」っていう読者のみなさんの声が聞こえてきますが、ここは公平を期して両方にモザイクをかけさせていただきました。彼女はサングラスをしているから、モザイクをかけなくても目は見えないんですけどね。悪しからず。

でも、ちょとだけ彼女のお顔をお見せしましょうか。実は左端にいる方の手にしている本――これは公式ガイドブックだと思うのですが――、そこにサインを集めており、ちょうど莉緒さんのサインをもらったところなので、彼女の顔が写ったページが開かれているんですよ。

こんなんじゃ全然満足できないって?

それにしても、こうして見ると、172センチの彼女と166センチの私との背丈の違いが際立っていますね(汗)。