ここの探鳥では4種しか鳥を撮影できなかったものの、初同定のハチクイと絶滅危惧種、しかも最も危機に瀕しているIUCNレッドリストの「絶滅寸前(CR)」にカテゴライズされたハゲワシを見ることができました。ですので、記事としては短いですが、中身の濃い収穫でした。
このハチクイとハゲワシ(マダラハゲワシ)は、あるいはガイドの――いやレンジャーの――彼女が同乗――いや便乗――していなかったら見過ごしていたことでしょう。
では早速収穫をお見せします。
まずはありきたりの鳥ですが、路傍に留まったオオカナリア (Brimstone Canary)。この時点では、言っちゃあ何ですが、「つまらない鳥しかいないなあ」としか思っていませんでした。
これも当地では割合ありきたりなムヂボウシセッカ (Rattling Cisticola)。
しかし大きな収穫の一つはこの初同定のシロビタイハチクイ (White-fronted Bee-eater)。レンジャーの彼女に見つけてもらいました。ハチクイのようなカラフルな鳥の初同定は、ひときわ嬉しいです。
ただ、アングルが今一つなのが残念なところです。やや逆光気味で、この写真はかなり補正しています。背から尾にかけては緑から青なので、そのあたりも綺麗に写り込めば、それはそれは美しかったのに。
そのような美しい写真は、画像検索をしてご覧になってくださればと思います(と書かなければならないあたり、悲しい)。
そしてこちらが最大の収穫であるマダラハゲワシ (Rüppell's Vulture)。前回の記事にお見せしたような断崖の壁面にあるくぼみを拠点として、空高く舞い上がっています。ウィキペディ(英語版)によると、何と高度11,300メートルで飛んでいたのが確認されたこともあるのだそうです。1973年、コートジボワールのアビジャン上空を飛んでいた飛行機のジェットエンジンに巻き込まれたとのこと。悲しい確認のされ方です。
NATIONAL GEOGRAPHICのサイトに、非常に良い解説をしてくれる動画を見つけました。舞台はタンザニアのセレンゲティ国立公園ですが、お隣のここケニアでも、ヘルズゲート国立公園に少数ながら生息しているわけです。
レンジャーの彼女の話では、毎日個体数を計測しているそうです。特に周辺に一大地熱(温泉)発電プラントが幾つもあるので、その影響で空気の状態が変わって生態や生存に影響はないか、日々監視しているとのことです。
崖の背後では、その発電プラントから湯気が盛んに立ち上っていました。
「こういう光景を目にすると、開発と自然保護の両立について考えてしまいますよ。私はまさにそういうことを考えるのに興味がありますね。やっぱり絶滅は良くない。生物多様性は重要です」と私が言うと、「あなたのような人が今後も愉しんでもらえるように、私たちは日々ハゲワシの数を数えてチェックしているのよ」と彼女。
このマダラハゲワシを見ることができただけで、探鳥家の私としては、十分に満足したのでした。