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Shudder Log

* このブログの内容はすべてフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません。

僕に気付いて、フリーズしたのが遠目にも分かった。
細くて背の高いシルエット。
人のことは言えないけど、もっと背筋を伸ばしたらいいのに。
僕は近付いて、声をかけた。
 
「イ・ジュンヨンさん」
 
ジュンの答える声は、少しだけ上擦った。
 
「シン・ドンホ先輩」
 
固い表情。
当然のことだ。
今日ここにくることは、ジュンには知らせてなかった。
そのうちきちんと会う機会もあるだろうけど、できれば先に、ふたりきりで会っておきたかった。
 
「ジュニョンア」
 
親しく呼びかければ、すぐに返る言葉。
 
「はい」
 
僕は首を傾げて尋ねる。
 
「って呼んでいい?」
 
ジュンは伏せぎみだった顔を上げて、わずかに目を見開いた。
 
「はい」
 
僕は作り慣れた笑顔を向ける。
 
「大変だと思うけど、頑張ってね」
 
本当に、これから大変だと思うけど。
応援する気持ちは嘘じゃない。
 
「はい」
 
ジュンはまだ肩を強張らせている。
僕は視線を外して付け加える。
 
「ヒョンたちのこと、よろしく」
「はい」
 
ジュンはさっきより強く頷いて、僕は少しおかしくなってしまう。
一番頑張るべきはそこじゃないよ?
 
「じゃあ、またね」
「はい」
 
僕はジュンに背を向けて、廊下を歩き出す。
それからふと思いついて、足を止めた。
 
「あと」
 
振り返り、その場から動いていないジュンを見る。
 
「僕のことも、ヒョンでいいから」
 
ジュンはやっと肩の力を抜いて、笑顔を見せた。
 
「はい、ドンホヒョン」

 * 最新版はこちら。
2007年~2013年の日本と韓国の音源媒体収入を比較してみました。
去年の記事はこちら
金額は2007年~2010年はレコード会社収入ベース、2011年~2013年は卸価格ベース。違いは不明。単位は百万米ドル。ソースは日本レコード協会の機関紙「THE RECORD」。
 * リンク先PDF注意
 2008年7月号(2007年分) 2009年8月号(2008年分)
 2010年6月号(2009年分) 2011年6月号(2010年分)
 2012年6月号(2011年分) 2013年6月号(2012年分)
 2014年5月号(2013年分)
 
 * 一部の値を四捨五入しています。
 * フィジカルとデジタルのパーセントは全体に対する割合です。権利収入は略してます。
 * パーセンテージあるいは金額しかない項目について、記載のない値はforgeが計算で出したものです(図の中のアスタリスク付の数字)。
 * フィジカルはCDとかのパッケージ販売のことです。

年度 日本 韓国
全体 フィジカル デジタル 全体 フィジカル デジタル
2007 3,515 2,942 * 84% 573 * 16% 144 88 * 56% 61 * 39%
2008 4,109 3,215 * 78% 821 * 20% 140 56 * 40% 84 * 60%
2009 4,050 2,991 * 74% 972 * 24% 145 65 * 45% 80 * 55%
2010 3,959 2,885 * 73% 979 * 25% 178 81 * 46% 98 * 55%
2011 4,088 * 3,066 75% * 899 22% 200 * 88 44% * 108 54%
2012 4,422 * 3,538 80% * 752 17% 188 * 103 55% * 81 43%
2013 3,012 * 2,410 80% * 482 16% 211 * 97 46% * 108 51%

単位:100万ドル

去年の日本の落ち込みっぷり。韓国は順調に回復。
それでもまだ10倍以上差があるけど…どうなるかな。
 
ちなみに中国は2012年度分で20位で初登場(総売上92.4)したけど、2013年度分では姿を消しました。

 

桜の木の下には、死体が埋まってるんだって。
などとのたまうのは、大学の先輩であるKE。
JYはもちろん本気になどしない。
しかしあるとき、KEが話をするのは自分だけだと気付く。
そう、埋まっている死体とはKE自身のことだったのです。
 
という病みファンタジーなパラレル。
カップルネームはJunvinでいいのかな。
「見るのもやるのも嫌だ」
 
震える声でケビンは言って、俺の首元に顔を埋めた。
ここが俺の部屋でよかった、と俺は思う。
誰かに聞かせられる言葉じゃない。
 
「分かってる」
 
俺はケビンの髪を撫でて、音だけのキスをする。
背中に回された腕に力がこもるのが分かる。
 
「分かってるから」
 
自分で考えていたよりも、俺自身は気にならなかった。
相手が誰であれ、所詮は演技だ。
『宮』を見て、チェギョンに嫉妬することもない。
 
「イライは平気なんだね」
 
不満よりも悲しみを滲ませた声で、ケビンが小さく呟く。
 
「これも仕事だから」
 
ケビンの背中を撫でながら、しかし俺の声も小さくなる。
選り好みなんてできる立場じゃない。
 
「ファンは喜ばない」
 
きっぱりとケビンは言う。
 
「分からないよ」
 
末っ子が更に若くなったとはいえ、一緒に走ってきたファンはもう大人だ。
こういうコンセプトがあってもいい。
 
「僕なら喜ばない」
「ケビンはファンじゃないだろ」
 
思わず苦笑して、身体を離す。
ケビンは顔を伏せたままで、尖らせた唇だけが見えた。
 
「気持ちは分かるけど」
 
別に俺が宥めなくても、そのうち気持ちを切り替えるのかもしれない。
何事にも手を抜かず、前向きに取り組むのはケビンの美点のひとつだ。
けれど、たまにはこうして吐き出してもらえると、俺としては安心でもあった。
何でも飲み込んでしまうばかりでは、パンクするんじゃないかと心配になるから。
ちゃんと言って。サインを出して。
心も身体も壊れる前に。
 
「うん」
 
大きく息を吐いて、ケビンはやっと顔を上げた。
真剣で強い視線が俺を捉える。
 
「これも仕事だね」
「そうだ」
 
しっかり頷いてやれば、ケビンはその瞼を閉じる。
自分を落ち着けるように、また深呼吸。
 
「分かった」
 
ケビンは今度は頷いて、目を開いた。
 
「いつもありがとう」
 
笑みを作り、俺が肩を竦めて答えれば。
 
「何もしてない」
 
ようやく緩んだケビンの表情は、いつになく綺麗で。
 
「今、までは」
 
付け加えるように言って、俺はケビンにキスをした。
JYがどんなキャラなのか分からないんでまだ書けないけど、ブックレットのツーショットが。
本名がLee Jun-Youngらしいので、KSとは李兄弟=2Leeと呼ぶべきなのかな。
 忘れよう すべて忘れるんだ
 もう我慢したりせずに
 忘れて 何もかも忘れて
 扉を開け 外に踏み出そう
 何を言われても気にしない
 嵐が吹き荒れても 
 寒さなど恐くないのだから
 
ここだけ書き出すとDHみたいだけども。
SHがエルサ、KEがアナ、HMがオラフ。
KSがハンスで、ELがクリストフ。
JSは公爵をやってもらって。

廊下で佇み、壁に背を預けていたケビンは、どうやら俺を待ち伏せていたらしい。
この前からまた更に明るくなった髪は、蛍光灯の下で今は鈍色に見えた。
 
「ケビン」
 
声をかけるとケビンは顔を上げた。
真顔にも不安げにも見えた表情は、しかしすぐに笑顔に変わった。
 
「ヒョン」
「どうした?」
 
さっきまで弄っていたスマホを持ったまま、ケビンの腕は俺の肩に回される。
 
「別に、何でも」
 
ハグを受け、強く抱きしめ返すと、自然とケビンの身体を持ち上げてしまう。
 
「んー」
 
言葉にもならない声を漏らしたケビンを床に下ろす。
揺れて額にかかった髪を指で救い上げると、やっぱり少し緊張しているようで。
 
「いよいよだな」
「うん、ついに初日」
 
たぶん、ケビンよりも緊張してるのは俺。
でも大丈夫。
フンもキソプも助けてくれたし、舞台の上にはケビンがいるから。
そう口には出さず、俺は尋ねる。
 
「緊張してる?」
「ほんの少し。それよりずっと、楽しみ」
 
ケビンらしい返答に、俺は微笑む。
 
「俺も」
 
もう一度抱き合うと、耳元でケビンの声がした。
 
「よろしく、皇太子」
「こちらこそ、義誠君」
 
身体を離し、二人して深呼吸をする。
 
「熱心にやりましょう」
「Good Showを」
 
激励の言葉にしては、お互い声が小さすぎたな、と言ってから思う。
でもいいか、と俺はすぐに思い直し、廊下に誰もいないことを確かめて、そっとケビンに口付けた。