Shudder Log -16ページ目

Shudder Log

* このブログの内容はすべてフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません。

SH 単純で一途(強化系)
DH 理屈屋・マイペース(操作系)
KE 気まぐれでうそつき(変化系)
EL 短気で大雑把(放出系)
JS 個人主義者・カリスマ性有り(特質系)
HM 神経質(具現化系)
 
KSは強化系か。
JSとDHとKEが迷う。

息苦しさを感じて眠りから覚めた。
目を開くと、飛び込んできたのはジヨン兄の顔だった。
 
「おはよう」
「おはようございます」
 
ヒョンはオレの鼻をつまんでいた手を離し、今度は頬をつねった。
 
「あの、痛いんですけど」
 
起きた早々、どうしてこんな目に遭わなくてはならないのか。
きっと本人は、愛情表現だと思っているのだろうけど。
ヒョンは表情を変えずに言った。
 
「痛いの好きだろ」
「好きじゃないですよ」
 
答えると、ニヤリと口角が上がる。
 
「Mのクセに」
 
オレは一瞬止まって、なんとか答えた。
 
「Mだけど、痛いのは別に好きじゃないです」
 
ヒョンは頬を離し、その手を組んで顎を乗せた。
 
「痛いの好きだろ」
「何を言わせたいんですか」
 
そう問うと、シュラグして目を逸らす。
 
「タトゥー、入れたらいいのに」
 
その言葉に嫌なものを感じて、オレは飛び起きる。
自分の胸から腹に広がる、キレイなグラフィティ。
剥いだケットから、油性ペンが転がって床に落ちた。
 
「あーっ!!」
 
跳ね飛ばされたヒョンは、腕を組みなおしながら呟く。
 
「こういうタトゥー。すごく似合ってる」
 
自画自賛して、満足げに頷く。
オレは肩を丸めて、大きくため息を吐いた。
落とすことを考えると頭が痛い。
これだけのものを描くには、それなりに時間がかかっただろう。
その間に目を覚まさなかった自分が憎らしい。
 
「あーもう。こういうことは、脱がずに済む人にやってもらえませんか」
「それ、お前と同じ名前のヤツのこと」
「そうそう、そういう人です」
 
線を擦っても、当然ながらびくともしない。
油性ペンを落とすのはやっぱりアルコールか何かが要る。
ヒョンはオレの様子をきょとんと見てから、笑顔になった。
 
「次から、そうする」
 
オレはやっと自分の言葉が何を意味したのか気付く。
 
「あ、ヒョン、今の撤回」
「ダメ。次はタプ兄にやる。タプ兄と寝た後」
「別にタプ兄と寝ることを推奨したわけじゃないです」
 
止めてみても、今更遅い。
 
「そう聞こえた。だからそうする」
 
その笑みは悪ガキそのもの。
しかも、この人なら実践しかねない。
 
「お願いです。それはやめてください」
「自分で言ったクセに」
「オレが間違ってました。スミマセン」
 
頭を下げると、ヒョンは目を細めて、顔を近付けた。
 
「そこまで言うならやめといてやる」
 
啄むようなキスをくれて、それから、オレのキスを受ける。
オレはその腰を引き寄せて、膝に乗せた。
唇が離れると、悪ガキから美しい恋人に変わったヒョンがいた。
 
「愛するジヨン兄、ひとつ聞いてもいいですか」
「うん?」
 
その顔に魅入られながら、オレは尋ねる。
 
「除光液、ありましたっけ」
 
弾けるように笑い出したヒョンは、 枕で思いっきりオレを叩いた。

SWの妹はいくつ下なんだろうか。
HEの兄妹はいないということで。
 
HE母がしゃべるのは北京語(台湾国語)と英語とたぶん台湾語も。
HE父は広東語と英語とたぶん北京語(普通話)も。
SW父は韓国語と英語と日本語。
HEは英語と…ここでは北京語か広東語を少し。
SWは韓国語と、英語を少しということにしておく。
 
 
 ***
 
バルコニーからは海がよく見えた。
 
「僕も夏休みなんだ」
 
高く作られた手摺に肘を付き、ヘンリーは言った。
 
「香港は初めて?」
「うん。君は?」
 
ヘンリーは強い風に目を細める。
 
「学校がない時は一緒に来るんだ。サマーキャンプとかに行くこともあるけど」
 
同じ方を見ると、美しい海に白い波がきらめいている。
その水平線の先に、ヘンリーの家がある。
 
「だから、ここは僕の夏の別荘」
「王様みたいだね」
 
海から目を離せずに、俺は言う。
 
「でしょ?」
 
その声は楽し気で、暗いところなんて一つもない。
父上の姿が見えないが、それを聞いていいものか、俺は迷う。
リビングルームに写真のひとつでもあればきっかけにできるのに。
 
「街は見て回った?」
 
会話の振り方はヘンリーの方がうまいな、と思った。
この人懐っこさは天性のものか。
家を離れていることの寂しさからか。
それとも。
 
「尖沙咀を歩いたよ」
「じゃあ次は香港島を歩かなきゃ!」
 
俺の答えに、ヘンリーは飛ぶように顔を上げて、目を輝かせた。
 
「ひとりで出歩くなって言われるんだ。シウォンがいたらきっとOKしてくれる!」
 
部屋の中に駆け戻り、さっそく外出交渉をするらしい。
俺は天を仰いで笑った。
 
「喜びすぎ!」
 
誰に聞かせるでもなく、思わず呟く。
そして、心の荷が軽くなっていることに気付く。
誰だっていいじゃないか。
弟だって、そうじゃなくたって。
慕ってくれるなら誰だって弟だし、あんなに素敵な少年と仲良くしない理由なんて見つからない。
浮かんでくる笑みを噛み殺す理由もない。
俺は大きく息を吐いて、その名を呼ぶ。
 
「ヘンリー!」
 
それからやっと後を追って、部屋の中に入った。

SWとHEで兄弟パラレル。
ヒョンとかトンセンは注釈無しで使うのが普通なので、成句とはいえ、まるでSW父が別の女性にHEを産ませたみたいだなあと。
SW中学生、HE小学生くらいで出会って、SWはもしかして弟?と思いながら友達になる。
数年後に血縁ではないことが分かるんだけど、SWは兄弟のような気分が抜けないっていう。
憲華は韓国読みだとHeon Hwaなので、発音は「ホヌァ」か。
CP話ではない。
 
 
 ***
 
初めて香港に行ったのは、中学生の頃だった。
父の出張に同行して、夏休みの数日を過ごしたのだ。
返還され、本土からの人々が流入した街は、急激な変化の最中にあった。
啓徳空港も九龍城もすでになかった。
しかし夜には変わらずネオンが輝いた。
明るく、暑く、煌いていて、熱かった。
そして何より、香港は、俺に弟をくれた。
 
 *
 
友人の家を訪ねる、と父から聞いていた。
滞在していたホテルから、香港島へ。
クーラーの効いた車は、スムーズに海を渡る。
高台にある背の高いマンションの上層階。
そこに住むのは台湾系カナダ人で、父の古くからの仕事相手。
でも今回はビジネスの話は無し、とエレベータの中で再び聞かされる。
目的のフロアには、住居が2戸しかなかった。
そのうちの片方の扉の前で、呼び鈴を鳴らす。
開いたドアから顔を見せたのは、意外にも女性だった。
 
「よくいらっしゃいました。中へどうぞ」
「いや、久しぶりです」
 
父はその夫人と握手を交わし、家へと入る。
カナダ式なのか、靴のまま上がることに抵抗を覚えながら、俺は後に続く。
海の見えるリビングルームへ通されると、父は夫人に俺を紹介した。
 
「息子のシウォンです。15歳、いや、カナダでは14歳になったところですか」
「お会いできて嬉しいです」
 
俺は慣れない英語で挨拶し、お辞儀をする。
身体を起こしたとき、やっと、夫人の後ろに少年が立っていることに気付いた。
 
「私も嬉しいわ、シウォン。こちらは息子のヘンリーです」
「はじめまして、ヘンリー。やあ、いくつかな?」
 
ヘンリーと呼ばれたその少年は、あどけなく笑った。
 
「こんにちは、ヘンリーです。僕は10歳です。よろしく」
「こちらこそ、よろしく」
 
父と握手したヘンリーは、俺に手を差し出す。
 
「よろしく、シウォン」
「よろしく、ヘンリー」
 
俺はその手を握り返して、ぎこちなく笑った。

「プレゼント、何がいい?」
 
6月を目前にして、キソプは言った。
俺は大きく二度瞬いて、首を傾げた。
 
「それ、俺に聞くの?」
 
聞き返されたキソプは、真似をするように頭を斜めにする。
 
「ダメ?」
「ダメっていうか、サプライズとか好きだろ」
 
いつもメンバーの誕生日にどうやって何をするか企画するのはキソプだ。
だから、てっきり。
 
「それはそれ。プレゼントは、ちゃんと喜ぶものをあげたいの」
 
笑顔で、キソプは俺の肩に手を回す。
 
「教えてよ」
「考えてよ」
 
ケビンの様に眉をハの字にして、キソプは言う。
 
「だってジェソプは趣味が難しいじゃない」
「何だよそれ」
 
抗議の意を込めて、髪をくしゃくしゃと掻いてやる。
 
「やめてよ」
 
笑いながら逃げる身体を捕まえて、今度は俺が腕を回す。
 
「何でもいいよ」
 
キソプがくれるなら。
そう思いながら前髪を指で掬うと、曇った顔で唇を尖らせていた。
 
「それじゃ困るから訊いてるのに」
 
そんな顔をされても、困っているのは俺のほうだ。
 
まっさきに思いついたのは一つで、さすがに本人には言えない。
 
モノなんて要らない。
キスもハグも必要ない。
たとえ側にいなくても。
真夜中を過ぎて、おめでとう、と一言くれるなら。
一瞬でも、その頭の中を俺のことだけで一杯にできたのだとしたら。
 
それが何よりのプレゼントになる。
 
「考えてないで教えてよ」
 
キソプの表情はまた険しいまま。
 
「やだ」
 
俺は口許が緩むに任せて笑顔で答える。
考えて、悩んで、迷ってよ。
そうして、俺のことを心に留めてくれるなら。
それがプレゼントになるから。

隣と隣の隣に声をかけて、部屋に戻った。
すでにダウンライトは消され、ベッドサイドのスタンドだけがイライを照らしていた。
 
「早いね」
 
俺が言うと、ちらりと俺を見て、すぐ手元に視線を戻す。
 
「たまにはね」
「そう言って、ここからが長いんじゃないの」
 
茶化して言うと、あー、と、うー、の中間みたいな、言葉にならない声を出す。
スタンドの柔らかな光が、頭をかく姿を浮かび上がらせる。
俺はその横で、スマホを置いた。
 
「隣は?」
「もう半分寝てた」
 
イライはその姿を想像したらしく、少し笑った。
その頬に触れて、首を引き寄せる。
 
「ヒョン」
「ん?」
 
呼ばれて答えても。
 
「いや」
 
下目遣いで笑ったまま。
キスを与えて顔を少し離せば、今度はイライから。
数回の応酬の後、俺はイライを抱きしめる。
強く打っているのは自分の心臓か。
それとも。
 
身体を放して、俺は言う。
 
「寝ようか」
 
イライは肩を竦めて、同意を示す。
 
俺はベッドから下りて、脱ぎ散らかした靴や服をまとめた。
それからもう一度、戸締りを確認して。
イライの隣に横になって。
その額におやすみのキスをして。
 
眠ろうか。

Youtubeでよく遭遇したガストグランプリのCM
 
「どっち?」はElvin。
KEはELと答えるだろうが。
 
「俺が一番好きなの」はSoohoon。
SHは言っといて照れて茶化すだろうな。
 
「今日は俺だけを」が2Seop。
JSは内心照れつつ、びっくりするKSにニヤッてしてみせる。
 
というわけで「俺?」はDH。
相手は誰がいいかな。

Standing Stillの人相悪いKSをイメージしつつ、何かポエム。
 
 * 
 
寒さを忘れさせる者が、春の姿をしているとは限らない。
たとえば、風を避けてくれるコンクリートの冷たい壁。
たとえば、ドラム缶の中で燃える粗暴な炎。
そして、寒さの厳しさを表しているはずの中気。
 
――― 大寒の前には、誕生日が来る。
 
そしたら立春まではすぐで、和らぐ寒さを惜しむ間もなく春になる。
 
だから、今のうちに。
雪だるまが融けてしまわないうちに。
冬の精の手を取る。
いつもより厳しい目に、笑みが宿るように。
そうすればきっと、この胸には、春よりも暖かい光が差すから。

* イメージ画像

「セイント」と「チェーン・リアクション」を元ネタにサスペンスアクションパラレル。
 
ELは次世代エネルギーの研究者。その分野で一番注目されているのはプリースト・リアクションと呼ばれる反応を利用した手法。ELたちのチームは更に効率のよい方法がないかと研究していた。そんなある日、競争相手でもある別の研究所でその新しい方法を見つけたらしいと噂が流れる。ELは同僚のHMと、それが発表されるというコンベンションへ行く。会議開催の前夜、ELはその別の研究所に所属するKSと知り合う。ところが当日の朝、殺されたHMが見つかる。ELは犯人として追われ、KSと逃げることに……。
 
ELとHMは研究者で同僚。
KSはライバル研究所の研究者で、表題のセイント・リアクションの開発者。
ELたちのチームに資金提供してた事業家であるSHが、ELの逃走の手助けをする。
SHの指示の下で実際に動くのはDH。
KEは政府のエージェントで、ELではなくKSを追ってる。
JSはジャーナリストで、情報を集めてKSが研究成果を公表するのを手伝う。
 
Elseopで。
黒幕はSHで、HMを殺したのはDHであろう。
KEもSHも研究を独占するのが目的。なので、JSの手を借りて公表する。
HMはSHに使われてたのに情報を渡すのを拒んだとか。
ハイライトはもちろん、最終列車が出る駅のホームでELを待つKS。
 
迫る発車時刻。
目を凝らしても見えない人影。
安全に連絡できるデバイスは、今はELは持っていない。
車掌が言う、「大丈夫、必ず来るわよ」。
腕の時計を見るたびに不安は募る。
無事だろうか。
逃げ切れなかったのではないか。
それともやっぱりこれは罠で、僕は彼を信じるべきではなかったのか。
ついに発車ベルが鳴る。
ほとんど泣きそうになりながら、もう一度だけエントランスを見るKS。
その目に映ったのは、全速力で走ってきて息を切らしたELの姿。
車掌は微笑みながら、「ほら、だから言ったでしょ」。
ELとKSは抱き合い、列車に乗り込む。
夜が明ける頃には目的の街。
そしてそこで、すべてを公表する――。
 
プリースト・リアクションは、その反応の最初に発見した研究者が聖職者でもあったからそう呼ばれるようになった。
で、聖職者よりすごいから聖人=セイント・リアクションね。

ファンに追い掛け回されて、「アイドルってのは毎日ハッピースラップされてるようなもんだよな」みたいな話。
カテゴリはSuJuにしておくけど、発想元はChuljaeというか、HCとJJ。
じゃなかったらChangkyuか、Hyuksuか。
あるいはKyuhyukminでも。
タイトルが「Everyday Happy-Slapped」。