たっぷり厨二世界を堪能した!
深い世界観と深い内面描写の脇役たちに支えられる浅い主役。
リアルタイム時は主役無道刹那&紗羅のバカップルぶりが許せなかったし、絵の不安定さにもイライラしたけど、加藤故くん流まーいっか!思考で美味しいトコだけ味わう方式にしたらすごく面白い作品だった。
天使の階級や名前はこれで覚えたなあ。
のちにバスタード(ジャンプ作品)読んだとき捗った。知ってる名前がいっぱいでね。
スクリーントーン過多で美麗描写天使悪魔作品で似てるよね、バスタード。
天禁もバスタードも勢い重視、絵力重視。
扉絵からのポエミーなスタートと次回へ続く最終ページの引きの強さがハンパない。
この絵が描きたい!という情熱の伝わるページやコマは、たとえ物語の流れを止めてもがっつり描き込むスタイル。
刹那&紗羅以外は魅力的なキャラクターばかり。
リアルタイム当時はベタだけどカタンが好きだった。
ロシエルとカタンのかなしい歪な主従関係が萌えだった。
今回再読してもやっぱり好き。
どんどん好きになるのは加藤ね。
加藤故くん。
豪華絢爛な美貌の競演にあって加藤のさっぱりした容姿はむしろカッコイイ。
初登場時のモブキャラ感が嘘のように、回を重ねるごとに魅力を増していく。
(死後だけど)作中で最も成長した人物である。
顔は(後期)ルシファーが好き。
クールビューティに弱い。
九雷(クライ)はキャラとしては好きなんだけど、作中最も絵が不安定だったと思う。
背も伸び縮みするし、顔も幼児化するし。
一夜の魔法で美女に成長するところも成人女性らしくなかったし。
そのあたりが気になって残念すぎるキャラクターだった。
ふだんは13歳(中学生くらい)の少年か少女か?ってビジュアルに固定だったらよかったな。
女性だとアレクシエル様がお美しい。
さすがに描画に気合い入ってる。
刹那もアレクシエルだった時はまあまあ好きなシーンが多い。
ただ、ダイナマイトバディって言うんならもっと胸と腰と尻にボリュウムが欲しい。
この作品の登場人物はみんな細身だからしょうがないか。
骨太っぽいのはアスモデウス(淫欲のダンディー悪魔)くらいだもんね。
アスモデウスは好きだなあ。登場シーンが少なくてさみしい。天井に張り付いてるところも良かった。
そして今回、ビジュアルといい性格といい言動といい、最も好きだと思ったのがいかれ帽子屋(マッド・ハッター)ことベリアル。
『妬み・破壊・患難・捕囚・欠乏・混乱・荒廃の7つの悪徳を愛し、ベリアルの唇からはそれらが生まれる』
イギリスの詩人ジョン・ミルトンの『失楽園』においては、「天から堕ちた天使のうち、彼ほど淫らで、また悪徳のために悪徳を愛する不埒な者も、他にはいなかった」と歌われる。また、「天から失われた者で、彼以上に端麗な天使はいなかった。生まれつき威厳に満ち、高邁」とその美しさをたたえられているが、同時に「それはすべて偽りの虚飾に過ぎなかった」と否定されているベリアルのwikiよりより
『お前の淫らなその蝶は誰にでも翼をひろげる』
リアルタイムでは気づかなかった『蝶』の説明も大人になった今ならわかる。
……そういうことだったのか!
蝶は直接には太ももの刻印を指すけれど、実はあれの隠喩だよね、あきらかに。
たしか、叶姉妹の叶恭子さんもそこに蝶のタトゥーがはいってるんじゃなかったっけ。
さすがだわ。
神に決定された性別すら拒否する徹底的な我が儘(己の気持ちを大事にする)っぷり。
ルシファーや九雷への自己流の愛情表現。
愛嬌と残忍。
好きだなあ。
もう続きを読むのは諦めた。
どうせ完結しないだろうし、最後の方トーン重ねすぎで画面真っ黒で読みにくいしもういい。
修正版再投稿です。
元記事は
2020年5月8日
去年の今日は『彼方から』を読んでた。