川沿いには いつの間にか
真新しいマンションが建ち並んでいて

その数え切れない程の部屋の
一体どれ程が今
眠りに就いているのかを
ぼんやりと考えていた


世界は刻々と
朝へと近付いていく

目醒める事は疎か
眠れさえもしない僕は

確かに世界から
引き離されてしまっている




静かな川の流れに沿って
行ける所まで 歩いてみたって

辿り着くのは
いつも同じ場所だ

その先に 何が在るのかを
僕等はずっと前から 知っていたし

向こう岸に 広がる世界が

どんな物かも 分かっているのに


気が付くといつも
夜明けを待っている



浮かぶ月の形も
光る星々の並びも

動き出す列車の時刻も
目を覚ます猫の欠伸も


繰り返す 僕等の毎日も


本当は 同じではなくて

新しい朝を
僕等はいつも
待っているのかもしれない




街が動き出す


例えその時に

乗り遅れても
乗り過ごしても


途絶える事無く 世界は回る。
思い出せなくなってる
この通りを抜ける
風の匂いはどんなだったか
誰と居たっけか

然るべき未来だ
裏切り合った僕等には当然
届くべきだった言葉は
また空を切ってく

明日には嫌な思いも
消えて
君は過去になってく
できるなら
次の駅に着くまでに
全てを忘れてしまえたら


御座なりの現実だ
描いた理想は夜空に燦然
渇望した未来は
手の中を擦り抜けていく

街には恋も失望も溢れて
僕等が欠けたって
支障は無い
改札で君と擦れ違った
それはきっと気の所為

気の所為に違いないのに


忘れる為なら
次の駅まで歩こうか
風の匂いはこんなだっけか
誰の匂いだっけか

昨日の天気は雨。


帰り道に降っていた雨は地面に落ちて弾け飛ぶ。


一瞬でしかない弾け飛ぶ水滴。


それが幾度となく繰り返す。


まるで一つの水滴がループ&ループしているかのようで一瞬が永遠に続いてく。


一瞬は一瞬であり、永遠に続くものではない。


そんな一瞬でないものはいったい何であるのだろう。


ただそんな考えは雨音にかき消され霞んでしまった。






今日も、また雨が降り続いている。


部屋の中から聞く雨音はなんでこんなにも憂鬱感を与えてくるんだろう。


やまない雨に飲み込まれる気持ち。


いつになればやむのかなという気持ちだけが積もり積もって山となる。


そんな思いとは裏腹に一層強く降り続ける雨音が耳元でざわめく。


昨日とは反対に虚無感を与えてくれた。






そして午後にはそんな雨はやんでしまった。

明日は晴れればいいという気持ちを残して。。。

君は変化を受け入れ
それを口にしたがる

真新しい世界を
待ち切れずに 駈け出していく

僕は変化に馴染めず
言い淀むばかりで

取り溢した昨日を
振り切れずに 立ち止まっている


並木道には
役目を終えた木の葉が
絨毯の様に敷き詰められて

歩を進める度に
乾いた音を立てる


この先 何が待っているか
まるで手に取る様に解る世界なんて

きっと味気ないだろう

けれど 音も光もしない
そんな世界なんて

不安で仕方がないだろう



駈け出した君が
鳴らす落葉の乾いた音で

僕に『これから』を
報せてくれるから


ゆっくり歩いていこう
そんな風に思えたんだ。
こんなんじゃダメだと思うのだけれど
最近はそういう時があるのも事実で

それは単に 慣れきってしまったからかもしれないし

他の事に神経を使い過ぎて
心が痩せ細っている所為かもしれない

はっきりとは解らないのだけれど

ただ一つ確かなのは

そのままでいるのはとても失礼な事だし

ベストなモノではないという事

そして
僕にとってとても不確かなのは

どんな顔して笑えているか
自分では解らない事




正しいのは この街のリズム


正しくないのは
其処に居る僕等が
選びかけている未来。