「GOIN' HOME」
アート・ペッパー。
ぼくの愛するジャズミュージシャン。
特に70年以降のペッパーのアルトサックスやクラリネットの音色に
ぼくは強烈に心を打たれる。
そんなペッパーの考え方には感銘を受けることが多い。
『「これが彼のプレイのやり方だ」というように、何年経っても
代わりばえのしないことばっかりやってるようでは、何も進歩がない。
これでは自分というものが存在しなくなるわけで、もしそうなってしまったら
いっそのことジャズをやめてしまうでしょう。
私は常に「現在」の自分をプレイしたい。』
要約すれば、経験の積み重ねが今の自分を創っているわけであるから、
今の自分を追求することこそが最も大切なことなんだと。
自分自身にはそれぞれ過去がありそして現在がある。
さらに現在から未来へ向けて希望を持ち、ぼくたちは生きている。
決して安住することなくチャレンジングに生きていく。
ぼくはこういうことを、アート・ペッパーから学んだ。
ペッパーはこうも言っている。
『リッチー・コールみたいな滑稽なことや、ガレスピーのような半分
ダンス混じりでジョークに満ちたステージは自分にはとてもできない。
私は楽器を通して、真剣に人生そのものを発見したいと思っています』
ぼくは特にこの言葉に感銘を受けた。
ぼく自身も、
仕事また家庭を通して、真剣に人生を発見したいと思っている。
・・・ペッパーは発見できたのだろうか。
最後の録音となった「ゴーイン・ホーム」を聴きながら、
そんなことを思うのである。
