ジョンヒューズ監督の傑作と名高い青春コメディ映画
ハイスクールのフェリスはある日、仮病を使い学校を休む
そして彼は僕らにこう話しかける
「人生は短い。存分に楽しまなきゃウソだ!」
「フェリスはある朝突然に」
1987年日本公開 / 102分 / アメリカ (原題:Ferris Bueller's Day Off)
監督/脚本 ジョン・ヒューズ
製作 ジョン・ヒューズ/トム・ジェイコブソン
音楽 アイラ・ニューボーン
撮影 タク・フジモト
編集 ポール・ハーシュ
配給 パラマウント映画/パラマウント/UIP
キャスト
マシュー・ブロデリック/アラン・ラック/ミア・サラ/ジェニファー・グレイ/ジェフリー・ジョーンズ/ヴァージニア・ケイパーズ/クリスティ・スワンソン/リチャード・エドソン/チャーリー・シーン/マックス・パーリック他
快晴のシカゴ。サボりの常習犯である高校生フェリスはこの日、仮病でズル休みすることに。そして、彼の姉や校長をイラ立たせ校内も騒然とする中、フェリスは病欠している金持ちの親友キャメロンを誘い、車で街へと繰り出していく。さらにはフェリスのガールフレンドも学校から誘い出すことに成功。こうして3人は、パレードに飛び入りしてはロックを歌い踊るなど、休日を存分に楽しむのだった。だが一方、フェリスの自宅では、校長や姉がそれぞれフェリスの仮病を暴こうと待ち構え、まだ何も事情を知らない両親も帰宅しようとしていた…。
コンピュータに強いエスケープ常習犯の高校生が、ある日仮病でズル休み。自分を捕まえようとする大人たちをスルリスルリとかわし、しかも最後まで逃げ切ってしまう運の良さと茶目っ気さが愉快。J・ヒューズならではの四の五の言わさぬ面白い作品。圧巻なのは、フェリスがパレードの山車に乗りビートルズの”ツイスト・アンド・シャウト”を歌うシーン。子供から大人まで年齢問わず、観た後にスカッとする青春映画だ。(allcinemaより抜粋)
パレードシーン:youtube
*****
この映画ではフェリス=マシュー・ブロデリックが観客の私たちに目線を送り、私たち向け語りかける。
高校生の彼は「こうしたい」「こうありたい」ということを私たちに語りかけ、主張するのだ。
まさに青年の主張。
この映画は名言が多いと言われている。
観返すと、かなり意図的に名言らしき言葉がでてくる。
コメディに風刺はつきものだったりするのだが、ホラーにもそれは言えることで、
映画作品自体が時代を映す鏡となっているのも明白だ。
この作品自体も色んな手法を駆使し、当時のティーンエージャーの実態やシカゴの街の息吹を感じることができる。
例えばフェリスの家族、
共働きで、
父の仕事は何やってるか分からない。
母は優しいが小忙しく五月蝿い。
妹はジェラシーの塊。
家族の在り方は今でもそんな変わらないと思えるが、この80年代半ばは私個人も丁度高校生だったので
たしかに共感できることが多い構成だった。
妹は警察の待合所でジャンキーに諭され改心する。
そのジャンキーがチャーリーシーン。
彼はこのシーンのみの登場だったがこの作品後、「処刑ライダー」「プラトーン」と主演映画に抜擢されるようになる
彼の言葉も当時の若者に響いたんじゃないかなあ
そして学校
この作品での学校は非常に退屈な場所として描写されている
面白可笑しくではあるが先生は無表情で生徒は目に生気がない
対比でフェリスは街に出て楽しく過ごす
カブスの試合を観戦し、
美術館へ行き、
美味しいものを食べ、
ついにはパレードに参加する
全てシカゴの街での撮影
映画のパレードはシカゴのドイツ系の大規模のお祭りを、この映画の為に2日に分け「再現」し
1万人のエキストラで撮影されたという
この映画の最大の見せ場ともいえるシーンだ。
フェリスと恋人=ミア・サラと、友人キャメロン=アラン・ラックの3人は
パレードを観ているといきなりフェリスが飛び入りし、「ダンケ・シェーン」を唄いだす。
最初は「目立つな」「やめろ」と友人らはいうのだが、
ビートルズの「ツイスト・アンド・シャウト」がかかると、もうどうでもいいやとみんなで踊りだし大盛り上がりとなる。
このシーンではビルの清掃員も腰をツイストしながら作業しているのも映し出されるが、実際に作業してた人が踊りだしたのをカメラに収めている
存分にその場の楽しさが伝わるシーンだ
もちろん、毎日がそんな日というわけではない。
仮病し学校を休みがちの彼だが、登校している日もあるわけで
「たまには休みな」と主張しているわけだ。
そして彼の休む理由がもう一つ。
不登校の友人キャメロンのことだ。
最初はキャメロンの父が所有するフェラーリに乗りたいがために遊びに誘ったのかと思っていると
実は彼を思い、遊びに誘っているのだ。
金持ちの父は車にしか興味ないと彼は言う
この2人にフェリスの彼女の3人で行動するのだが
2人と3人とでは絵的にも見た目の楽しさの度合いが全く違うのだ
2人で楽しむのは2人だけの世界に見えがちだが、
そこに3人でいるとなぜか楽しそうに見える
「大人は判ってくれない」と「冒険者たち」の差と言えばわかりやすいかもしれない
それからフェリスに敵対する校長先生=ジェフリー・ジョーンズ
彼がコメディシーンをすべて引き受けている
彼の家庭訪問シーンは
監督が脚本を手掛けている「ホームアローン」シリーズのプロットそのままである
彼がラスト、フェリスの家からボロボロになりながら歩いているとスクールバスに拾ってもらう
身体中傷だらけの泥だらけの姿でバスに乗る校長
白い目で見る生徒たち
無関心で手を差し伸べない生徒。
まさにこの生徒たちを作ったのは校長ら大人たちだよと暗に見せつけている
そしてペアの席に1席だけ真面目でおとなしそうな娘の隣だけ空いている
このリアルさ。
ジョンヒューズの作品は明るいティーン作品のイメージがありますが、
意外とそこにさりげなくリアルさも出してくる。
とまあ、
いろいろ考察したくなる作品ではありますが
普通に何も考えずに楽しめる作品であります。
次回も80年代の作品でやりましょう。
では。