
南アフリカで生きた英国家具
今年もあと1週間。2017年は自分で言うのもあれですが、大活躍な1年でした。
こんな良いところで新店舗をオープンすることができ、たくさんのお客様と素敵な出会いの連続で、素晴らしいお仕事をたくさんさせて頂きました。
そのおかげで有名雑誌に載る事もできましたし、人並みにお休みを頂き、家族で温泉旅行にいってみたり、保育園のイベントにも欠かさず参加できました。
そしてなにより、待望の次女が誕生し、幸せが2倍になりました
ありがとうございます。本当に幸せな2017年です。
この幸せを逃すまい!2018年も必死に働きまっす
今年最後のブログになるので、クリスマスなのに、2017年を振り返り「めっちゃ忙しかったなぁ」と思い出したらボーっとしてしまった。あかんあかん!あとわずかな営業日数でやらなきゃいけない仕事いっぱいなのだよ。
年賀状もどうしようかなー なんて言ってたら終わっちゃうよ!手を動かせ!手を!
さて、今回ご紹介しますのは、お客様が南アフリカでご購入されたイングリッシュハイボーイ。
見たらわかる、古いやつや。
そう、驚くほど古い逸品で、ここまで年期が入った家具を触るのは久しぶりです。思い出すとイギリス時代に17世紀に造られた箱もの家具を触ったのが最後だった気がします。
あまり歴史には詳しくないので、この機会に南アフリカの歴史を調べて学んでみましたら、まぁなかなか変わった歴史の国でして、植民地である期間が非常に長い。
1652年にオランダが入植し葡萄酒を作り始め大成功、1795年にはイギリスが占領することになり戦争してはダイヤモンドとり、戦争してはゴールドをとり、1961年に南アフリカとして独立するまでの300年もの間ヨーロッパ人に振り回されて…そりゃ怒るよ。
今回のHighboyもそんな時代の中でイギリス人が自国から持ち込んだものでしょうか。
エルム材で構成されたクイーンアンスタイル、独特な雰囲気のインレイ装飾、正確な年代までは分からないですが、植民地化した18世紀に持ち込んだものであれば、相当古いです。
※鑑定士ではないので、勝手な想像です。
200年以上たってるはずですから、その間、何度も何度も、修復が施されている様子ですし、倒れないとこんな壊れかたはしないだろうなと思う程、深刻なダメージ痕もみられ、激動の歴史を感じさせる状態の物でした。
BEFORE

この状態でも年代相応で、状態は良いのですが、インレイがくすんで見えてしまうのを「もっとはっきり見える様に」とのご依頼でした。
更に細かい話ですが、正面から見て右肩が下がって見えます。
これは、上部の装飾パーツを取り付ける際に、ズレてつけられた事がひとつの原因でして、今回は上部の装飾パーツを正確な位置に戻す修復作業も行います。

白カビです。インレイ装飾のわずかな隙間にもびっちりカビが生えています。
これは保管場所の問題ですが、家具全体、内部に至るまで白カビが繁殖していました。
白カビを取り除いて、クリーニングをしてからリポリッシュして表層を整えていきます。

下部のフレームと上部の設置具合が上手く収まっていません。
このギャップに上段が食い込むカタチとなり、ズルっと落ち込んでしまう危険な状態でした。
内部の噛み合わせを調整し、安全に修正していきます。
まずは、解体です。
見た目は元気でも中身がボロボロで…
特に酷いのは、過去に修復した際に使用されたオーク材が虫食いまみれで、スカスカでした。

抽斗の支えとなるレール部分ですが、これだけでなく、背板と継いである木材のほとんどがキクイムシに食われてしまっていました。
全部撤去して、パーツを作り直します。

上部の装飾を取り外したところですが、
過去の修理で釘を大量に打ち込んでくれたおかげで、手間が凄い。この装飾回りだけで、20本近く釘止めされていたので、外す作業だけで何日もかかりました。
誰だよ。これでOKしたのは。100年さかのぼってクビにするぞ
本体自体にもいろいろとガタがきているので、全体がグラグラしています。
背板も天板もキクイムシにやられてしまったので、新たに作り直し、膠で補強しながらカタチを元にもどしていきます。
塗装はシェラックニスを調合してフレンチポリッシュ仕上げを。と思ったのですが、背板だけは刷毛塗りにしました。もともとそうだったので。天板はしっかりフレンチポリッシュで仕上げました。
AFTER

全体的に色が濃く奥行きのある飴色に仕上がっています。着色は一切していませんので、本来の雰囲気が出てきた結果です。
白カビと表層のくすみが本来の色味を隠していた様です。


お客様のご希望であったインレイの表情も、はっきりと浮き出ています。
上段と下段とのジョイント部分もギャップなく収まりました。
地震が来ても簡単には外れないように、内側の背面を見えないところで補強しています。
今回はあくまでも「全体を綺麗に」というご依頼の元おこなった作業でしたので、余計に手を加えてパティナを損なわないようにする事に集中しています。
直す方の欲としては、インレイを完全なフラットにしたい。とか、側面の割れた接合部をもっと分からないように調整したい。とか、「削る」作業ができればどこまでも綺麗になるのですが…。仕事ですので、依頼内容(予算と納期)は絶対です。あくまでもお客様の物ですから。
自分の物なら何年かけてもいいんですけどね、いつかはとびきりの家具を手に入れたいです。
とっても勉強になった今回のお仕事、お客様には本当に喜んで頂けて、何ヶ月も頑張ってよかった!もっともっと喜んでもらえるように次のお仕事も頑張って直します。

納品先での一枚
リストリーアンティークではテーブルの再塗装修理や椅子の張替えぐらつき直しなどだけでなく、調度品(ランプ、アイアンフレーム、陶磁器、ドアなどの建具)の修理、修復を要するご依頼にお応えしております。出張修理にも対応しています
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いつもありがとうございます!
今年最後のブログとなりました。2017年もブログを見て頂き、ありがとうございました。
来年ももっともっと楽しい修理の様子をお届けいたします。
それでは、皆さま メリークリスマス!& よいお年を~
【年末年始のお休み】
2017年12月29日~2018年1月5日まで年末年始休業とさせていただきます。
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