ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと -9ページ目

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

2014年9月9日に厚生労働省から平成25年「雇用動向調査」の結果が公表されています。

この調査は、全国の主要産業の事業所における入職、離職の状況を産業別、職業別、性・年齢別、離職理由別に調査したもので、上期下期の年2回調査が行われています。

今回は発表の調査結果は、上期下期の2回の調査をまとめた年結果になりますが、雇用動向に関するベース調査の一つであり、各種白書の基礎資料としても利用されています。

今年の結果の最大のポイントは、平成20年以来離職超過が続いてきた入職・離職率が6年ぶりに入職率が超過となったことです(入職率16.3%、離職率15.6%

過去の数字を見ていると
 平成21年  入職率 15.5%  離職率16.4% 
 平成22年  入職率 14.3% 離職率14.5%
 平成23年  入職率 14.2% 離職率14.4%
 平成24年  入職率 14.8% 離職率14.8%  となっています。

産業別でも116業種のうち11産業で入職率が超過(昨年は5産業)しています。
産業別でみると建設業、情報通信業、宿泊飲食サービス業、医療福祉で入職率超過となっていますが、逆に製造業は離職率が入職率を1.2%上回る結果になっています。

いずれにしても、平成25年の入職率と離職率を合計した延べ労働移動率は、31.9%(前年29.6%)となっていますので、有効求人倍率(2014年8月は1.1)の改善を受けて、新しい就職口を求めて労働市場に参入する人が増えたということだと思います。

この入職・離職率には、事務所の新設等による労働者増加や事務所閉鎖による労働者減少は含まれていません。
平成23年から「雇用動向調査」の中で、雇用創出・消失の状況についても参考で調査結果を公表していましたが、今年の調査ではこの部分がありませんでした。

平成23・24年の調査結果を見ると、規模で見ると「小規模の企業の雇用創出率が高く」、産業で見ると「宿泊・飲食サービス業、サービス業」で雇用創出率が高い結果となっていました。

当方もまさにそうですが、周囲を見てもこの1年間で会社を退職して転職あるいは独立する人が増えてきているような気がします(感覚的なものですが)

景気回復で雇用の流動性が高まっていることは間違いないようです。
独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

2014年9月7日朝日朝刊に「確定拠出年金 積立金43万人が放置」という記事が掲載されていました。

社員が掛け金を自己責任で運用する確定拠出年金(DC)のある会社を退職後、自分の積立金を放置している人が2013年度末時点で43万5677人に上ることが国民年金基金連合会の調べで明らかになったとのこと。

この数字は10年前の47倍で、積立金の移管手続をした人(41万8775人)を上回る数字です。

積立金は半年以上放置すれば運用されず、毎月管理手数料を引かれて老後の年金額が減っていくことになります。

実は当方も今年の2月末で確定拠出年金のある企業を退職し、独立人事業務請負人&行政書士として独立しましたので、まさにこの対象になります。

6カ月以内ということはもちろん人事の人間ですので知っていましたが、そのうちそのうちと思いながらようやく動き始めたところでした。

資格喪失の翌月から6カ月以内に移管手続きを行う必要がありますが、2月末退職の場合は翌日の3月1日が喪失日となりますので、当方の場合は4・5・6・7・8・9月と9月末がその締切となります(ギリギリセーフです)。

同様の立場の方もいらっしゃると思いますので、同時進行的に手続きのご紹介です。

まず退職してしばらくすると自宅に「加入者資格喪失手続完了通知書」という書類が届きます。
この書類に「運営管理機関一覧」の紙が入っていますので、自分で運営管理機関を選びます(当方の場合は今までと同じ銀行を選択)

連絡先として記載されたコールセンターに電話をすると、どういう今どういう立場か(転職、自営等)聞かれます。

当方の場合は、自営業者(第一号被保険者)ですので、個人型年金に移管し、
 ①加入者として自分で掛け金を拠出する方法(サラリーマンの場合は会社が拠出してくれま
   すが自営業者は自分で掛け金拠出です)、あるいは
 ②拠出はせずに運用だけ指図をする方法
を選択することになります。

その後に自宅に分厚い書類が届き、9月末までに書類を提出することになります(当方の場合は、書類が届いた段階です)

少額でも拠出しようかと思っていますが、その場合には、A.個人別管理資産移管依頼書、B.個人別年金加入申出書(第一号被保険者用)、C.確定拠出年金配分指定書を提出して手続き完了です。

確定拠出年金制度は、自己責任に基づく制度であり、自分で動く必要があることは重々承知していますが、今まで会社任せの生活を送っていたサラリーマンにとっては、移管手続きも何か自動でやってくれるだろう!という思いがあり、上記のような放置状態になっているんだと思います。

6カ月以内に手続きをしないと年金資産が売却され、現金として管理されますので利息等はつなずに毎月51円の管理手数料が取られることになります。

転職先企業に企業型確定拠出年金を導入している場合は、転職先人事部が対応してくますが、当方のように自営業主になった方は注意が必要です。

確定拠出年金と確定給付年金、企業年金基金、あるいは国民年金、厚生年金など---
退職金・年金制度は複雑ですので、なかなか理解しきれないというのが実情だと思います。

こうした加入者の関心、認知度の低さの解消は、引き続き今後の課題ですね。
独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

2014年8月28日に日本生産性本部から「職場のコミュニケーションに関する意識調査結果」(第3回)が公表されています。

この調査は、日本生産性本部主催のセミナー受講者等にアンケートを実施し、その結果をまとめたものです。

テーマは、上司部下間のコミュニケーションの状況調査です。
結果のみ紹介させて頂きます。

1.部下、または後輩の仕事への「やる気を感じている」課長は、78.2%。一方、能力や仕事ぶりに満足している課長は42.7%

2.人材育成を「自分の役割である」と回答した課長は93.3%。一方、部下、または後輩に対して個別の育成目標を持っている課長は55.4%

3.部下または後輩の育成を行っている課長は、81.8%
  褒めることが「育成につながる」と思う課長は98.1%
  叱ることが「育成につながる」と思う課長は87.8%  等々です。

以前の勤務先でも褒めることについては、社内で論議を重ね、タイムリーに”ありがとう”の気持ちを伝えるツールとして「ありがとうカード」のようなものを管理職に配っていました。

また、社内表彰制度も各種導入していましたが、人によっても褒めることに対する受け止め(こっそり褒められた方がうれしい社員もいれば、多くの人の目の前で褒められることがモチベーションアップにつながる社員もいます)が違い、「褒める・叱る」の使い方は、なかなか難しい課題だと思います。

今回の調査を見て興味深かったのは、
褒めることは「育成につながる」と思う課長は98.1%。実際に褒めている課長は78.4%にも及びますが、「上司はほめる方だ」と感じる一般社員は48.6%に留まっていることです。

また、叱る方では、
叱ることは「育成につながる」と思っている課長は87.8%。一方、叱られると「やる気を失う」一般社員は、60.0%に上っています。

セミナー受講者に対するアンケートですので、人材育成に関しては前向きな考え方を持つ対象者であることが想像されますが、やはり上司部下の受け止めのギャップは大きいようです。

相手に伝わって初めてのコミュニケーション成立ですので、こうした意識のギャップと世代差、メンタルタフネスさなどが絡み合って、叱る部分については、メンタル不調やパワハラー問題発生の一因になっているんだと思います。

また、”人財育成を「自分の役割である」と回答した課長が93.3%”という数字は、日本ならでは高水準ではないでしょうか。
感覚的な印象ですが、外資といわれる企業では、上司の役割というより、会社が研修等の教育オポチュニティを提供して社員が自らそこにチャレンジするといった印象を受けます。

上司が部下を育成しなければという意識の強さが、逆に日々の業務に追われるプレイングマネージャ化している日本の管理職への無言のプレッシャになっているようにも思います。

以前、残業に関する上司部下の意識差に関する調査結果を取り上げたことがありますが、立場の違いによるコミュニケーションギャップはなかなか解消できない永遠の課題ですね。

独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

2014年8月31日の毎日新聞朝刊に「企業がキャリア形成支援」という記事が掲載されていました。

当方も以前中高年のセカンドキャリア開発を支援する部署で働いていたことがありますので、個人的にも企業が行うキャリア開発に関しては非常に興味がある部分です。

今までの企業が行うキャリア形成支援というと、ある一定年齢以上の従業員を対象に、社外への転出を目的としたセカンドキャリア開発や定年間近で行う定年後のライフプラン作成支援など、どちらかといえば中高年層を対象とした支援が多かったと思います。

”まだまだわき目を振らずに頑張ってもらいたい若年層”や”従来具体的なキャリアパスを示すことができなった女性”に対して積極的に会社がキャリア面談等によるキャリア形成支援を行うケースは従来はあまりなかったと思います。

若年層に対してあまり早い段階からキャリアについて考えてもらうことは、”寝た子を起こす”リスクもありますし、女性対象の面談でも具体的な解決策を提示できずにただ聴くだけで終わってしまうリスクもあったがゆえにあまり積極的でなかったものと思われます。

従業員サイドも会社の内部組織に、転職を含め複数ある自らの秘めたキャリアプランをl開示するすることに対する躊躇もあります。

厚生労働省は、キャリアコンサルタント(民間&と国家技能検定)の増員を計画していますが、この趣旨は、衰退産業から成長産業への労働移動を促進することが主目的であり、企業内でのキャリア形成支援とはその性格が異なります。

企業内のキャリア面談は、企業としての人材育成ポリシーが明確になっていないと難しい部分がありますが、上司部下の限られた関係から第三者的立場でキャリア相談が活用できれば、従業員個人のモチベーションアップとその結果として企業パフォーマンスの向上も期待できるものと考えます。

終身雇用の下、入社から定年退職まで会社の人事制度のレールに乗った会社まかせのキャリアでは、もはや会社も責任を負えない状況になっています。

キャリアに関する幅広い情報提供や意見交換の場の設定し、そうした情報をもとに個人が主体的に勤務する企業内での自らのキャリアを決めていくことについて会社が積極的に支援することは、これからの中長期の人材育成戦略としては、一つの方向だと思います。

従業員を”囲い込む”だけではなく、個人のキャリアアップに繋がるケースは積極的に社外に”卒業”させる度量もこうしたキャリア支援制度を導入する際には必要です。
独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

以前から読もう読もうと思っていた本です。
三洋電機の金融3社からの出資から上場廃止に至る状況とその一連のプロセスの中で会社を去った元三洋電気社員の今を追ったドキュメンタリーです。

杉並図書館で検索すると予約が70件入っていますので、この本に興味を持たれている方が多いことがうかがえます。

図書の貸出日数14日間×待機人数70人=980日 
980日÷365日=2.68年!
 と計算上は手元に来るまで2年半以上かかりますので、書店で探していたのですが意外に見つからず、ようやく先日阿佐ヶ谷の書店で発見、購入しました。

内容については、ご一読頂くとして、これからのビジネスパーソンにとっては、この本に書かれていることは決して他人事ではないことをまずは感じることと思います。

また、同時に逞しく生きる元社員の姿に触れることによって、改めて自らの今後の生き方について考えるきっかけづくりにもなるかと思います。

当方の場合、特に三洋電機の商品を愛用していたわけではありませんが、2000年初めに群馬県館林近くの三洋電機東京製作所を訪問したことがあります。

その時は、日本自動車工業会で安全担当事務局の仕事をしており、確か「安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)に関する取組み」 or 「リスクアセスメントに関する好事例事業所」として自動車業界の安全衛生担当のメンバーとともに事業所を見せて頂いた記憶があります。

当時東京製作所は商業用の冷凍ケース等製造の中核拠点として生産が順調な時期であり、活気溢れる工場の雰囲気を肌で感じました。

また工場では、三洋電機の安全衛生責任者の方からその取組み紹介と現場での実際の活動状況など隠すことなくまなく詳しい説明して頂いたことを思い出します。
本を読みながら、群馬の東京製作所の製造現場風景がフラッシュバックしてきました。

企業の栄枯盛衰というえばそれまですが、後半の元社員の方々が新たな道を歩んでいる現在の描写は、その厳しさとともにサラリーマンに対して勇気を与えてくれる物語になっています。

日本のモノづくり論、電機産業の現状、サラリーマンの生き方 等々

様々な切り口から読める本だと思います。
興味のある方、ご一読をおススメします。