独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。
2014年8月31日の毎日新聞朝刊に「企業がキャリア形成支援」という記事が掲載されていました。
当方も以前中高年のセカンドキャリア開発を支援する部署で働いていたことがありますので、個人的にも企業が行うキャリア開発に関しては非常に興味がある部分です。
今までの企業が行うキャリア形成支援というと、ある一定年齢以上の従業員を対象に、社外への転出を目的としたセカンドキャリア開発や定年間近で行う定年後のライフプラン作成支援など、どちらかといえば中高年層を対象とした支援が多かったと思います。
”まだまだわき目を振らずに頑張ってもらいたい若年層”や”従来具体的なキャリアパスを示すことができなった女性”に対して積極的に会社がキャリア面談等によるキャリア形成支援を行うケースは従来はあまりなかったと思います。
若年層に対してあまり早い段階からキャリアについて考えてもらうことは、”寝た子を起こす”リスクもありますし、女性対象の面談でも具体的な解決策を提示できずにただ聴くだけで終わってしまうリスクもあったがゆえにあまり積極的でなかったものと思われます。
従業員サイドも会社の内部組織に、転職を含め複数ある自らの秘めたキャリアプランをl開示するすることに対する躊躇もあります。
厚生労働省は、キャリアコンサルタント(民間&と国家技能検定)の増員を計画していますが、この趣旨は、衰退産業から成長産業への労働移動を促進することが主目的であり、企業内でのキャリア形成支援とはその性格が異なります。
企業内のキャリア面談は、企業としての人材育成ポリシーが明確になっていないと難しい部分がありますが、上司部下の限られた関係から第三者的立場でキャリア相談が活用できれば、従業員個人のモチベーションアップとその結果として企業パフォーマンスの向上も期待できるものと考えます。
終身雇用の下、入社から定年退職まで会社の人事制度のレールに乗った会社まかせのキャリアでは、もはや会社も責任を負えない状況になっています。
キャリアに関する幅広い情報提供や意見交換の場の設定し、そうした情報をもとに個人が主体的に勤務する企業内での自らのキャリアを決めていくことについて会社が積極的に支援することは、これからの中長期の人材育成戦略としては、一つの方向だと思います。
従業員を”囲い込む”だけではなく、個人のキャリアアップに繋がるケースは積極的に社外に”卒業”させる度量もこうしたキャリア支援制度を導入する際には必要です。