ハードめの三寒四温といった風なこの頃。
皆さま、お元気ですか?
こちら、なんだかはっきりしない空模様の神奈川県西部ですが、明日は雪混じりの雨が予想されているようで……
花粉症(←結構重症な部類と思います)の私としては、そのくらいのお天気のほうが気が楽ではあります
雨上がりを狙って外出するスギ花粉シーズンの私にとって、前日からの雨がまだ少し残っていた昨日はまさに外出チャンス日でした!
なので、仕事の都合をつけて、午前中の「まだ少しだけ降ってる?」くらいのタイミングに出発し、
郵便局(書き損じた年賀ハガキを切手に交換)
↓
耳鼻科(花粉症の薬を補充)
↓
税務署(確定申告ようやく終えた!)
↓
銀行(ほぼ1年放置してた通帳を記帳)
↓
コンビニ(コンビニ限定品購入)
↓
ユニクロ(今日まで値下げの品購入)
↓
無印良品(寿命の来た洗濯ネット買い替え)
↓
スーパー(あれやこれや調達)
……と必死で回りました。
文字通りの雨上がり決死隊といった感じです。
(もう解散しちゃったけど……)
帰宅したのは午後。
さすがにくたびれました〜
そんなくたびれた私にご褒美クッキー↓
さて、いつも通り前置きが長くなりましたが……
そんな私でも、よく晴れた大花粉祭りな日に外出することも時にはあります。
先週末がそうでした。
うん、外出しないわけにはいかない!
なにしろ、観に行きたいと思っていた映画『落下の解剖学』を観に行ったのですから!
つきあってくれたBちゃん、ありがとう
ジュスティーヌ・トリエ監督はカンヌでパルムドールを受賞、ゴールデングローブ賞では最優秀脚本賞と非英語作品賞を受賞しています
そしてこの週末に予定されているアカデミー賞では5部門にノミネートされているという華々しさ!
そのため、限られた映画館でのみ上映されることの多い「小規模予算のフランス映画」であるにもかかわらず、わりとどこの映画館でも上映されている感じですので、観に行きやすいかと思います
では、ご参考となるような情報と私の感想を、ネタバレしない程度にお伝えできればと思います。
ドキハラサスペンスとは一線を画す
この作品、サスペンスだよね?と思っていたのですが、表面的には法廷劇、本質的には人間心理や哲学といった色合いの濃い内容でした。
なので、ドキドキハラハラの連続、息もつかせぬ怒涛の展開、手に汗握るスリリングなストーリーをお望みなら、この作品は退屈に感じられるでしょう。
どんでん返しの連続、ついに判明した真犯人と対決、死闘を繰り広げた末にやっつけてめでたしめでたし……という流れのサスペンスの対極に位置する作品です。
人間の本質を深く掘り下げた作品、考えさせられるような作品にご興味おありの方は、ぜひ!!
基本的に大人の映画
ある程度のオトナな話は出てくるものの、極端に際どい描写はなく、子どもが観ても問題はないように思います。
……が、やはり基本的には大人の映画と言ってよいでしょう。
お子さん(この場合中学生とか高校生とかを主に指しています)と一緒に観に行こうと考えていらっしゃる方は、その点の考慮が必要かと。
作中のシーンに自らの経験を投影できないとキツいし、セリフや表情のニュアンスに反応できないとつまらない。
少なくともこの作品の醍醐味は味わえないかと思います。
(同作品の内容とは無関係の喩えですが)喩えるならば、
「人はしばしば、最優先で伝えるべきことを一番後回しにする」
「誰も悪くないと理解していることが最大の苦しみとなり得る」
といったようなことが肚落ちしているくらいの年齢が目安でしょうか?
もちろん、洞察力や共感力が著しく高いお子さんならあるいは……とも考えられますが、人の本質的な部分を容赦なくさらけ出している作品だけに、ちょっとツラい思いをさせてしまうかもしれません。
超実力派の演技に感動
主演女優のザンドラ・ヒュラーさん、子役のミロ・マシャド・グラネールさの演技が素晴らしい〜!
もちろん他の役者さんたちも素晴らしかったけれど、この二人の出色の演技は際立っていました。
ザンドラさんの評判は聞いていたので「本当にその通りだ!」といった種類の驚きでしたが、ミロさんに対してはピュアな驚きを禁じ得ませんでした。
この歳でこんなにも心の機微を表現できるだなんて……
しかも視覚障碍を持っている設定の役柄なので、目の表情という補完的な演技の助けはなし。
それでここまで心の揺れを表せるとは!
また、彼(役柄)の心と精神とが逞しくしなやかに成長していく様には、浄化されるような感覚を覚えました。
ピアノと犬!
オープニングの他、作中の各所で使われている『スペイン組曲』が効いてる!
(ギターではなくピアノです。そして、これに関していえば、ギターではなくピアノだから良い!と個人的には思いました)
エンディングのショパンがとにかく沁みる……!
オーケストラに比べピアノソロはかなり地味ですが、その抑制された感じがかえって感情を最大限膨らませてくれます。
そして……犬!
飼い犬・スヌープを演じるボーダーコリー(本名はメッシ)がとにかくスゴい!
何この名アクター犬⁉︎と驚愕すること間違いなしですよ。
えっ?こんなシーンまで⁉︎という名演技。
事実、彼は「パルムドッグ賞」なる賞の栄誉に輝きました
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いや〜、もっと色々と語りたいのですが、ネタバレしちゃうので自重
観終わってからも、ふと思い出すたびにジワジワと来て、考えさせられています。
登場人物たちが解剖されているかのごとく、その私生活、夫婦関係、経済状況などが次々と露わになっていく中で、鑑賞者側も日頃見て見ぬふりをしている自分の物の見方や考え方や感じ方(とその移ろいやすさ)を自身で解剖していかざるを得ない状況に追い込まれるようなところもこの作品の面白さといえそうです。
派手さはないけど、2時間半の上映時間を長いと感じさせない、「深い川は静かに流れる」とでもいったような凄みや力強さを持った作品だと思います。
アカデミー賞、受賞なるでしょうか?