今日、学んだ事を残しておこうと思います。

一般の診察にも役に立つ事があると思います。


①本人は興奮、混乱している事も多いのでまずは警官や家族から話を聞く。

その際、本人にもその旨を伝える。

『精神科救急担当医です。これから診察をさせて頂きますが、まず

警察とご家族からお話を聞かせて頂きます。』


※『精神科のじゃがいもです』等と名前を名乗らない!普通の外来と違うところです。


②警官から聞くこと


・「どのような状況だったか」


・「本人はどのような事を言っていたか」


・「保護した時に抵抗はあったか」


・「以前に問題行動を起こし、警察が介入した事はあったか」



③家族から聞くこと


・生活歴


・今回のような事はあったか?誰かを傷つけてしまった事は?


・本人に変わった事はあったか?あったとすればいつから?


・精神科や何処かに相談した事は?


・今日の様子


※『警察沙汰』という言葉は家族には絶対に使わない。



④本人


・『ご家族から聞いたのですが…』とは言わない。何が本人と家族の関係を悪くして

しまうかわからない。今日の出来事などは全て警察から聞いたことにする。


『今日は色々あって疲れてませんか?』まずこれを聞く。


※措置入院でも、なるべく患者さんと良い関係を築けるように勤める。

相手の気持ちを考え、少しでも緊張が解けるように。


入院前の数日間は辛い想いをしている事が多い。どんな数日間

であったか想像する。


睡眠、食事に関する質問は、これからの話のスムーズな導入に役立つ。

聞く事がわからなければ、『夜は眠れていましたか?』


『今日は何をしていましたか?』

本人は複雑な質問に答えられない事が多い。あまり考えさせない質問が良い。


・次第に今日の出来事へ。何故そのような事になったのか?

例えば刃物を持ち出したとすれば何故?


『とても疲れているようです。今日は安全な病院でゆっくり休みましょう。』

『ずっと眠れていなかったようですから、今日は安定剤を使って眠れるようにしましょう』

※患者さんは拒否しても、強い意志を持って反対しているというよりも混乱している

事が多く、うまくなだめながら話を進めていくと結構素直に入院する方も多い。

もしも、あなたのご主人、奥さんが統合失調症であった事を隠して結婚していたら…

それを知ったあなたはどうしますか?


現在入院中の統合失調症の患者さん(女性)はもうすぐ臨月です。

症状も落ち着き、赤ちゃんも無事育っています。

しかし、この女性は、統合失調症であった事をご主人に隠して結婚し

今回の入院でばれてしまいました。

ご主人は離婚を決めておられるようです。


信頼していた人に裏切られた気持ちを考えると、ご主人を責める事は出来ないかもしれません。

どうして黙っていたのか…病気よりもその事が更にショックかもしれません。


しかし、何も今、離婚を決めなくても…。

赤ちゃんが生まれるんですよ。

今、第一に考えなきゃいけないのは、赤ちゃんが無事生まれる事でしょう?


別にご主人を騙しているつもりではなかったと思うんです。

大切なご主人を失いたくなくて、苦しんだ末、言えなかった事だと思うんです。


退院すれば離婚の話をするな、とは言えませんし…。

ただ、一生大切にする事を誓った相手だから

これで終わってしまうのは残念でならないのです。

本日勉強した内容。(精神科の先生にミニ・レクチャーをしてもらった内容です)


【有病率】

人口の1%。


【好発年齢】

15歳~35歳と若い


【病因】

不明ながらドーパミン仮説が一定の支持を得る。しかし、同説も不完全で曖昧な部分がある。


【症状】

①陽性症状(普通の人にはない症状がある)…幻覚、妄想

②陰性症状(普通の人にはある能力がない)…意欲の低下、社交性の低下(自閉)、感情の鈍磨


『Blerlerの4A』、『Schneiderの一級症状』は診断に非常に有用。


【診断】

DCM-ⅣやICD-10の基準によるが、一過性の精神病症状もあり、診断は慎重に


【内服】

再発が繰り返されるごとに患者の能力を奪う事が多いため、診断が確実であれば、

薬が処方されない事は有り得ない疾患である

服薬を中止すると80%以上が再発する事がわかっている。

・治療の中心は以下のメジャー・トランキライザー。


①フェノチアジン誘導体:抗ドパミン作用の他、抗ノルアドレナリン作用が強い。

抗幻覚妄想作用と共に強い鎮静作用がある事が特徴。

錐体外路症状の副作用は少なく、抗コリン系の副作用が多い

cholpromazine(コントミン、ウィンタミン)、levomepromazine(ヒルナミン、レボトミン)、

zotepine(ロドピン)など。


②ブチロフェノン系:抗ドパミン作用が強い

強力な抗幻覚妄想作用。

錐体外路系の副作用が強い。

haloperidol(セレネース)が代表。


③非定型精神病薬:多くの治療スペクトルを持つ。陰性症状にも有効

錐体外路系の副作用が弱い。耐糖能異常が問題となる

risperidon(リスパダール)、quethiapine(セロクエル)など。

現在のfirst choice


④ベンザミド系:抗ドパミン作用が強い

sulpiride(ドグマチール)、sultopreide(バルネチール)など。

ご存知の通り、低用量では抗潰瘍薬や抗うつ薬として使われる。

抗幻覚妄想作用が強く、切れの良い薬。

PRL上昇による乳汁分泌や無月経が多く、女性には使いにくい。


【その他併用される薬剤】

①睡眠薬、抗不安薬…急性期には不眠はほぼ必発である。

②抗パーキンソン薬…アキネトン、アーテン等。錐体外路系の副作用を減らす目的で。

ピレチア(抗ヒスタミン薬)は抗パーキンソニズムの他、鎮静作用も強い。



これは精神科のお話ではありません。緩和ケアの一環としての、疼痛コントロール

のお話です。基本事項ですが、研修医の先生方、これくらいは知っておいて下さい。


①リン酸コデイン


・開始量 リン酸コデイン錠(20)4T 4X 6時間おき

血中半減期3.5時間なので3回処方より4回投与が望ましいです。

NSAIDsと併用が基本です。


・体内でモルヒネに置き換わります。既にモルヒネが処方されている患者さんに

咳止めのためコデインを追加している先生を見掛けますが併用は無意味です。

害はありませんが、恥ずかしいのでやめましょう。


・コデイン100mg程度がMSコンチン10mgに相当すると言われています。

有効限界は500~600mgとされますが、300mg程度でMSコンチンに変更する

場合が多いです。


②ペンタジン


・WHOで、癌の疼痛コントロールに不向きと判断しているのには理由があります。

持続時間の短さ、精神依存の形成が多い、精神症状が出やすい等の特徴が

あります。やむを得ず使用する場合も短期間に止めて下さい。


・モルヒネとの併用は危険である事が指摘されています。結果として鎮痛効果が

強まる事もありますが、効果の予測がつかないので絶対に止めましょう。

意味もないです。たまに併用して上手くいったと喜んでいる医者がいますが

無知を曝け出しているだけです。もっと勉強して下さい、と言いたくなります。


・ペンタジンの錠剤は、あまり精神依存をきたさないようです。ペンタジンは

吐き気7.9%、便秘1%未満と、便秘や嘔気の副作用が少ないので、他の

オピオイドでこれらの副作用が強い時は選択肢に入れても良いと思います。

NSAIDsと併用、4回分服が基本です。


・ソセゴン内服錠の鎮痛効果は、モルヒネの1/3~1/6程度。

1日300~400mgでも痛みが取れない場合は1日60mg(30~90mg)
程度のMSコンチンに変更します。


③レペタン


・除痛ラダーの第2段階であったが、1996年より強オピオイド(第3段階)に分類。


・呼吸抑制の強さはモルヒネに負けていません。呼吸抑制時ナロキソンの効果は

モルヒネほど安定していないので、全身状態の悪い方では注意して下さい。


・注射液は無味無臭なので、味付けをして内服も出来ます。ちょっと渋い使い方ですが

実際の臨床で使う場面は少ないかも…。


④デュロテップ(フェンタニル)


・モルヒネ:フェンタニルは100:1で計算します。150:1で計算する式は今は使用しません。

デュロテップ2.5mgでは、実際に皮膚から1日に吸収されるフェンタニルは0.6mgです。

MSコンチン60mg=デュロテップ2.5mg

は基本。覚えておきましょう。


・フェンタニルは作用でモルヒネに劣るイメージがあります。眠気の副作用が

少ない等の理由で痛みを感じてしまうのかもしれませんが…。ただし便秘や

嘔気、眠気などの副作用はやはり少ないので使いやすいオピオイドです。


・大量のデュロテップからコンチンに戻す時は、少しずつ戻していく方が

危険が少ないです。

(例)デュロテップ20mg⇒MSコンチン120mg+デュロテップ15mg


⑤オキシコンチン


・MSコンチンと比べ、特別優れている印象はないです。


・効果は3:2。オキシコンチン20mgはMSコンチン30mに相当します。


精神科医クレぺリンの定義によれば、パラノイアは「思考や意思、及び行動の秩序と明晰さが
完全に保たれたまま徐々に発展する、持続的で揺るぎない妄想の体系である。」とされます。


パラノイアに相当する日本語は、『妄想性障害』です。ちなみに『妄想性人格障害』

というものもあります。“妄想が持続する”という点では、両者をパラノイア

と呼んでも差し支えないと思いますが、両者は別物です。

(私も知りませんでした、gaito先生に教えて頂きました。

ネットでも結構両者を混同して使われていました。


『妄想性障害』…単一もしくは複数の奇異でない妄想が(一ヶ月以上、時に一生)

持続するが、患者は統合失調症の定義を満たさない。妄想の影響を除いた

他の部分では患者の行動は著しく障害されておらず、人格や知性は完全に保たれる

※ちなみに奇異でない、とは「あの人は私を愛している」とか「私は病気です」

といったもの。奇異な妄想とは、「宇宙人に私の思考を抜き取られてしまった」など。


『妄想性人格障害』…人格障害とは、性格の偏りが強過ぎて、社会との適合が

難しくなる場合に使う言葉ですが、妄想性人格障害は、疑い深く、執念深く、

恨みを抱く傾向の強い方々です。他人の悪意のない言葉の中に自分を

脅かす意味を感じ取り、猛烈に相手を攻撃します。


即ちクレぺリンの定義では、パラノイアは前者を指すものと思われます。


ちなみに精神科で言う、『妄想』とは、

①誤った思いこみであり、

②誰にも共有されない、その人だけのもので

絶対的に確信しており、

訂正が不能である。

という特徴があるものを指します。


金曜日に診察した、妄想性障害の60代の女性は、数年前からご主人が浮気を

している、という妄想があります。今回は睡眠薬をまとめて飲み、救急車で受診。

身体的には問題なかったものの、現在でも希死念慮を否定しなかったため

入院となりました。


診察をした私の感想ですが…確かに自殺を考えてしまう辺り、また客観的に

“それは決め付けられないのでは?”という部分を確信しているのは病気と

言われても仕方ないなかもしれません。しかし、こういう状態に至る前に

ご主人に本当に、全く非はなかったのか?という疑問も沸きます。


何の理由も原因もなく、人間の心は壊れない

と私はこの精神科での研修が始まってからいつも感じています。


病気というレッテルを貼られると、みんな患者さんの言う事は信じなくなり

ますます患者さんは孤立します。妄想を肯定するのも逆効果ですが、

妄想の内容については肯定も否定もせず、ただ患者さんがそのような

妄想をする背景や気持ちを理解して受け止める姿勢は必要ではないか

と思っています。