ある程度経験のある、内科の先生であれば、高齢者の終末期の治療を悩まれた

経験があるのではないでしょうか?典型的には、アルツハイマーの寝たきりの患者さん。

例えば、誤嚥性肺炎で入院。

肺炎は治ったが食事が出来なくなってしまった。

経鼻栄養を行うべきか…胃ろうを造設すべきか。

治したは良いが、家ではもう看れません…。施設へ…。

誰のための治療だったのか…。など。


医師であれば目の前の患者さんを治療すべき。

しかし、かつては老衰と考えられた状況でも、『生かす』事が出来るようになってしまった。

それが時として、患者さんを苦しめるだけの延命になる事もある。

何処までが行うべき治療なのか…治療を行わないとすれば誰がその判断をするのか。

医療者でもなんでもない、時には高齢な家族にどのように説明すべきなのか。


高齢者の終末期医療は、癌の終末期とはまた違う難しさをもっています。

たくさん悩む先生は、きっととても優しい先生だと思います。

自分や家族なら、たくさん悩んでくれる先生に診て欲しいです。


http://www4.ocn.ne.jp/~tachi/


ここは、高齢者の終末期医療について医療者、ご家族が考えるサイトです。

20年ほど内科をやってこられた、『悩める内科医』さんが経営しておられます。

いくつも症例が挙げられ、意見や考察が書かれています。

悩んでおられる先生、ご家族は、是非ここで意見を求めてみたら如何でしょうか?

カンファレンスで取り上げられ、勉強になった症例です。


まず伝染性単核球症について。EB(Epstein Barr)ウィルスの感染によって起こります。

結構ありふれた病気です。感冒としていつの間にか感染し、

いつの間にか治っている人が殆どですが、成人になってから感染すると高熱が続く事があります。

①発熱、②咽頭、扁桃炎、③頚部リンパ節腫脹、④肝腫大、⑤脾腫

が見られます。この他に皮疹もよく見掛けます。

たいてい、血液検査で肝機能異常がみつかり、診断に至ります。

殆どは予後良好ですが、まれに合併症による死亡例があります。

ちなみに本症はペニシリン系抗生物質は禁忌とされています。

扁桃炎にペニシリンを出す時は、溶連菌等の診断が確実な時に限った方が良さそうです。


EBを疑った場合は、①VCA-IgM抗体、②VCA-IgG抗体、③EBNA抗体を測定します。

③が陰性で、①が陽性、②が高値(今日の診断基準第4版によれば160倍以上)

であれば診断としています。EBNAは既感染を示します。


さて、伝染性単核球症で近医で入院となった患者さん(30代女性)が退院後

38℃近い発熱が続くとの主訴で当院ERを受診しました。聞くと1ヶ月くらい

持続していたようです。外来であるレジデントの先生が担当となりましたが、

血液検査、胸部X線、尿検査は異常ありません。その時の指導医が、

“一応、血液内科にコンサルトしといたら?”

と言うので、その時は訳もわからず、とても忙しかったので詳しく聞く事もなく

血液内科に紹介しました。


上級医が何を考えて血液内科受診を勧めたかわかりますか?







実は『慢性活動性EBウィルス感染症』(以下CAH)という、合併症を考えていたのでした。

これは、伝染性単核球症に引き続いておこるもので、数年から十数年を経て死亡する、

極めて予後不良な合併症です。しかし、伝染性単核球症類似の症状がずっと続くので、

いつか何処かで診断されると思いますが。治療はCHOP等の化学療法が行われます。


CAHでは、EBNAが陽性にならない事が特徴で、従って伝染性単核球症の後に

熱が続く場合、EBNA抗体を調べる必要があり、陰性であれば、更に経過を追う

必要があります。この患者さんはEBNA抗体陰性でしたが、更に1ヶ月程度の経過

で陽性となり、熱も下がり外来に来なくなりました。ちなみに、伝染性単核球症後

1~2ヶ月の発熱はCAHでなくともよくみられるようです


CAHについては名前くらいしか知らなかったので、勉強になりました。

疫学的な事は調べてもわかりませんでしたが、まれなのは確かだと思います。


CAHについて、もう少し勉強したい方は、ここ へどうぞ。

診断基準などが説明されています。

本日担当した者さん。危うく大物を見逃すところでした。



51歳男性。主訴は胸部圧迫感、背部痛、呼吸困難感。

夜中の1時30分に目覚めたところ、上記主訴があり、次第に増強するため5時過ぎに来院。

表情は淡々としていますが呼吸苦、背部痛をなんとかして欲しい、と強い訴えあり。

HT、DM、HLの既往なし。虚血性心疾患の家族歴なし。煙草は20本。

来院時も症状は持続している。意識清明、血圧 132/78、P 75、SpO2 98。

血圧、脈の左右差なし。

血液ガスでは、pO2 89、pCO2 41

来院後、嘔吐1回。

心電図はsinus、ST変化なし。

胸部X線は縦隔拡大、心陰影拡大等の異常所見なし。

採血はWBC 13500。CRP、CK、AST、LDH、トロポニンは正常値。

取り直したECGも正常。


…異常ありませんね。心臓神経症と考えます。心臓の病気ではなくても、心臓疾患のような

症状が出現する事はめずらしくありません。説明してお帰りになって頂こうとした時、

“まてよ、WBC 13500ってのは結構高くないか?”

と急に気になりだしました。後から考えたら、まさに虫の知らせ、でした。

結局、訴えの強さと、WBC高値だけで循環器の先生を呼びました。

循環器の先生は、解離と肺塞栓の否定を、という事でechoをやりましたが

特に所見はありません。もう一人の循環器の先生も来て、

“大丈夫だと思いますけどね~”等と話していました。

しかし、それでも一応、CTをやろう、という事になりました。

いや~、それはさすがにいらないだろう…と思いましたが、お任せしました。


CTを行ったところ、なんと上行大動脈に解離が!!

ΣΣ(゚Д゚;) ←もうこんな感じでしたよ…。


救命救急センターに入院となり、Stanford Aでしたが特に臓器の虚血の症状はなく

保存的に経過をみる事になりました。


循環器の先生が、肺塞栓も動脈解離も、白血球上昇だけが所見の事もあります

とおっしゃっていました。白血球はご存知の通り、色々な状態で高値となり、非特異的

変化の場合も多いです。しかし、やはりこれだけの数字になっていたら、何かあるのでは

ないか、と考えた方が良さそうですね。



今、2人にひとりが『がん』になり、3人にひとりががんで亡くなると言われています。

治る人も多くなりました。外来をやっていると、既往歴に『がん』と書かれていても

何年、何十年と元気にしている方を見るのも珍しい事ではありません。


それでも尚、がんは『死』をイメージさせます。

実際、がんが進行し、転移するようになると治癒は困難になってきます。

末期と呼ばれる状態からの回復の見込みは殆どありません。


従って、がんと診断されると、その各Stageにおいて、精神的な問題(適応障害やうつ、せん妄など)

を発症する可能性が高く、精神、心理的、社会的な視点から支えが必要になる事があります。

この専門家をサイコオンコロジストと言います(医師に限らず)。

残念ながら、日本では未発達の分野で、がん専門病院やホスピス以外では殆ど見掛けません。


本当はがんだけが特別な病気ではないのですが、

数が多く、心理的なダメージが多い疾患である事は確かです。

特に緩和の場面において、多くの医師が興味を持ち、理解してくれる事を願っています。


日本サイコオンコロジー学会というものがありますので、リンクを張ります。


http://www.jpos-society.org/


せん妄は、短期間のうちに出現し、1日のうちでも変動する意識、環境認識の障害。


高齢者、痴呆の患者さんではせん妄を起こしやすい。

重篤な身体疾患で出現しやすい。

せん妄は予後不良の指標。せん妄を発症した入院患者の死亡率は20~65%にのぼるという。


以下の症状がみられる。

失見当識(常時ではない)

記憶欠損(短期、中期記憶)

③集中不能

④失行、失語、実行機能障害

⑤まとまりのない思考過程

誤った認識と妄想(病院が刑務所である、など。体系化した妄想はまれ)

⑦錯覚と幻覚(鮮明な幻覚、幻視)

⑧感情不安定

⑨加害または自殺行動

治療の実施をさまたげる行為(ラインを抜く)


内科や外科の不眠では、せん妄の率が高い。

(不眠です、と呼ばれてリエゾンに行くとせん妄の事も多い)


注意すべきは、BZ系はせん妄を起こしやすくなるという事。

せん妄患者さんがなかなか寝ない時に、更にマイナーを被せる事は、

たとえその時は眠っても、更に状態を悪化させる事もある。

使うとしたら、マイスリーやアモバンを入眠時に使用する程度に止める。


以下を用いる。

①ハロペリドール(セレネース)2~10mgの内服または筋注。第一選択

②代わりにリスパダール内服でも良い。液体は飲ませやすい。0.5mg~2mg程度。

液体は1mg/1mlである。

あとは、BZ系以外で寝かせる。

③テトラミド30mg内服(四環系抗うつ剤、鎮静作用強い)半減期長いので明け方では昼に残る。

④デジレル25mg~50mg。抗うつ剤、鎮静作用強い。半減期短い。

⑤ヒベルナ(ピレチア)25mg内服。抗ヒスタミン剤。注射でも良い。セレネースと混ぜて筋注も出来る。


部屋を暗くし、刺激を少なくする。自傷、他害の恐れがあれば拘束しても良い。